【事例】キョードー大阪
関西最大級の夏の野外音楽フェスティバルとして知られる「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL」(通称:ジャイガ)。今回のジャイガでは初めてアドビが協賛し、10周年を迎えるジャイガをより楽しむためのキャンペーンやアクティビティの提供を行った。音楽フェス×クリエイティブという新しい試みや、問い合わせ対応効率化を実現する対話型ナレッジハブの活用が生み出す可能性を見ていこう。

FireflyとExpressで
タトゥーシールをデザイン

マーケティング本部
マーケティングマネージャー
鈴木依子 氏
10周年の節目を迎えた「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026」(以下、ジャイガ2026)は7月25日、26日、8月1日、2日の4日間にわたり、舞洲スポーツアイランドで開催された。4日間合計で100組以上のアーティストが出演し、「SKY STAGE」「SKY ARENA STAGE」「SUN STAGE」「EPOCH STAGE」の四つのステージでさまざまなライブパフォーマンスが行われていた。
そのSUN STAGEの近くにブースを出展していたのがアドビだ。アドビは今回、同社のクリエイティブツールである「Adobe Firefly」(以下、Firefly)、「Adobe Express」(以下、Express)、「Adobe Premiereモバイル版」(以下、Premiere)や、PDFソリューション「Adobe Acrobat」(以下、Acrobat)を活用したアクティビティの提供を行った。
例えばFireflyでは、ジャイガの公式ロゴの画像データを基に、Fireflyの機能を活用してロゴを加工して「自分だけのジャイガロゴを作る」体験を提供した。さらにExpressではあらかじめ用意された二つのテンプレートを基に、「自分だけのマイタイムテーブルを作る」という体験を提供した。作成した画像を自身のXアカウントから指定のハッシュタグ付きで投稿すると、タトゥーシールとして印刷され、アドビブースで受け取ることができる。受け取ったタトゥーシールはその場で腕や手の甲などに貼り付けることが可能で、来場者は思い思いのデザインをしたジャイガロゴやマイタイムテーブルを貼り、フェスを楽しんでいた。



音楽フェス×クリエイティブで
アドビの認知度向上を図る
この新たな試みをスタートした経緯について、アドビ マーケティング本部 マーケティングマネージャーの鈴木依子氏は「当社では、FireflyやExpress、Premiereといったモバイルアプリを通じてクリエイティブ活動の裾野を広げることを目指しています。これまでクリエイティブな活動に縁がなかった方々にもこうした体験の機会を提供したく、今回ジャイガへの出展を決めました。このブースではFireflyやExpressを活用したタトゥーシールの作成のほか、Premiereを活用したジャイガの思い出ショート動画制作や、Acrobatの電子署名機能を活用した来場者証明書の提供といった四つのアクティビティを用意しています。混雑時は1アクティビティのみの体験になりますが、四つ全てのアクティビティを体験することも可能です」と語る。
ジャイガ2026は冒頭に述べた通り4日間開催しており、取材日の前の週にすでに2日開催し、アドビブースにも多くの来場者が訪れていた。鈴木氏によるとジャイガ2026の来場者の中心は20代の若年層が多い。アドビブースには1日当たり約600名が訪れ、アクティビティを体験した。特にロゴやタイムテーブルを制作し、タトゥーシールとして出力するアクティビティが人気で、体験者の約50%がSNSに投稿し、タトゥーシールの出力まで行っていた。
「アドビブースを訪れた来場者の多くはアドビという社名を知らない来場者も少なくありませんでしたが、今回のアクティビティ体験によって『こんなことができるんだ!』『スゴイ!』という喜びの声などもあり、認知も広がったと手応えを感じています」と鈴木氏は語る。

(左)前田穂乃香 氏 (右)杉山芽生 氏
スタッフの負担を大幅軽減した
PDFスペースの新たな活用法
ジャイガ2026では、クリエイティブツール以外にもアドビのツールが活躍した。それは「Adobe Acrobat」で作成できる「PDFスペース」を活用した問い合わせ対応だ。
ジャイガを主催するキョードー大阪は、以前から来場者からの問い合わせ対応に頭を悩ませていた。キョードー大阪を含むキョードー関西グループ全体のバックオフィス機能を担っているキョードーエンタテインメント セールスプロモーション部 前田穂乃香氏は「来場動線や運営内容に関する質問が多数寄せられます。運営側である当社からもSNSなどを活用し多くの情報を発信していますが、ジャイガに訪れる当日に必要な事柄を調べる人も少なくありません。また開催前日までの期間も『チケットを紛失してしまった』『事前に届いたリストバンドを装着してしまって外せないが再発行は可能か』といった問い合わせがあります。これらの対応窓口としてキョードーインフォメーションといった電話窓口を用意していますが、中には車椅子が必要な方や妊娠されている方など、スタッフのサポートが必要なお客さまに対して解放しているユニバーサル対応専用の問い合わせフォームから、一般的な問い合わせを行う来場者の方もおり、対応に苦慮していました」と語る。昨年はこうした問い合わせが約300件届いており、ジャイガのプロデューサー自らがメール返信に対応していたという。これらの問い合わせは深夜・早朝を問わずに届くため、スタッフに対する負担も大きなものだった。
そこでジャイガ2026から活用を開始したのが、PDFスペースだ。PDFスペースは複数の資料をまとめることで対話型ナレッジハブが作成できる機能だ。通常、このPDFスペースはビジネスシーンで活用されるケースが多い。そのためアドビによると、今回のジャイガのようなエンターテインメントシーンでの活用は初めての事例だという。
今回のジャイガでは、イベント公式Webサイトに公開されているQ&A情報やタイムテーブル、マップ情報などをPDF化し、PDFスペースへのアップロードを行った。PDFスペースはWebサイトのURLを入力するとその情報をPDF化して情報ソースとして扱えるが、Webサイトのデザインによっては正しく情報を追加できないケースもある。そのため今回は手動でWebサイトのテキストを抽出してPDF化を行い、情報の登録を行ったのだという。また、すでに開催された2日間で本部に届いた問い合わせを基に、追加でQ&A情報を作成することで、PDFスペースのアップデートも行ったという。
キョードーエンタテインメント セールスプロモーション部 杉山芽生氏は「今回PDFスペースを導入したことで、ユニバーサル対応用の問い合わせフォームに対する一般来場者からの問い合わせは減少傾向にあり、スタッフの負担が大幅に軽減されました。また来場者からの質問を受けたスタッフがこのPDFスペースを活用して回答をしていたという話も聞いています。PDFスペースの導入はジャイガ2026開幕の約2週間前に決定したため、準備期間は限られていましたが、データのアップロード作業自体は非常に簡単で手間なく運用ができています」と語る。
来年以降のジャイガでは、このPDFスペースの活用をさらに活発化させていきたいという。ビジネス領域にとどまらず、エンターテインメント分野にも広がり始めたPDFスペースの活用。その可能性に今後も注目したい。


