【特集】AI時代のWindows品質向上戦略

現在、マイクロソフトでは「Windows K2プロジェクト」と呼ばれる取り組みが2025年末から進められている。
このプロジェクトではWindows 11のレスポンスの低下や、多くのAI機能の急速な実装、Windows Update実行時の再起動などの不便さといった、パフォーマンスや品質の改善を目指している。
Windows K2プロジェクトで進められているWindows 11の品質改善について、日本マイクロソフトのWindows シニアテクノロジー ストラテジスト 高頭大昌氏に話を伺った。

Windows PCのレスポンスが
いつの間にか低下している

MOEKO●高頭さん、今日は仕事で使っているWindows 11搭載PCについてご相談があります。仕事で使っているPCのレスポンスが、使い始めた頃は快適だったのですが、最近は鈍くなったような気がしています。AI PCではないのでハードウェアの性能が不足しているのでしょうか。

高頭さん●どんなときにストレスを感じますか。

MOEKO●例えば右クリックメニューが以前は瞬時に項目の全てが表示されたのですが、最近はメニュー表示がされ始めるまでに間が空いたり、メニューの項目がだらだらと表示されたりします。ほんの少しタイミングが遅れる程度の違和感なのですが、仕事に集中してテンポ良く操作をしている時はストレスを感じてしまいます。

高頭さん●MOEKOさん、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。実はMOEKOさんが体験されたストレスは、一部のお客さまから同様のフィードバックをいただいています。

 このほかにもファイルエクスプローラーの起動や表示のレスポンスが鈍いことや、大量のファイルを削除する際に、ゴミ箱から消去するのに時間がかかることなども報告されています。

 マイクロソフトではこうしたWindows 11のパフォーマンス低下を改善する取り組み「Windows K2 プロジェクト」を2025年末より開始し、最優先で進めている最中です。

MOEKO●今使っているPCを使い始めた頃はWindows 11が快適に動作していたのですが、最近になってレスポンスに違和感を覚えるようになりました。何が原因なのですか。

高頭さん●Windows 11の動作環境に起因する要因はさまざまですが、メモリー利用の最適化は改善対象の一つとなっています。各種ソフトウェアのプログラムなどのデータは、通常はハードディスクやSSDなどのストレージに保存されています。

 そしてプログラムを実行する際は、より高速にやりとりできるメモリーにデータが格納されます。ウイルス対策ソフトのようにプログラムを常時稼働させて監視するような場合は、必要なデータを常にメモリーに格納しておきます。この仕組みから分かる通り、アプリケーションの起動やレスポンスを速くするには、動作に必要なデータをメモリーに常時格納しておけばいいわけです。

 しかしすぐに使わないアプリケーションのデータまでも常時メモリーに格納してしまうとメモリーのスペースが不足し、今すぐ使いたいアプリケーションのデータを格納するスペースを用意するのに時間がかかり、それがレスポンスの低下につながります。

レスポンス低下の原因は
テーブルに荷物を置きすぎた状態

教えてくれる人
日本マイクロソフト
Windows
シニアテクノロジー
ストラテジスト
高頭大昌

MOEKO●久しぶりに難解なお話を聞いて頭の中で混乱していますが、つまりメモリーの容量を増やせば解決できるということですか。

高頭さん●解決できるケースもありますが、根本的な解決にはなりません。例えばメモリーを大きなテーブルだと考えてみましょう。広いテーブルには大勢の人の荷物(ソフトウェアのプログラムなどのデータ)を置けますが、すぐに使わないものも含めてなんでもかんでも荷物を置いてしまうと、テーブルを利用できる人数が減ってしまいます。この使い方のままテーブルを広くしても、利用できる人数はさほど増えません。

 そこで、すぐに使うものだけをテーブルに置くといったルールを決めれば、テーブルのスペースを有効活用できますし、さほど広くないテーブルでもより多くの人が使えるようになります。

MOEKO●なるほど、理解できました。

高頭さん●メモリーの利用ルールを見直して、ソフトウェアベンダーとハードウェアベンダー、そしてマイクロソフトが協力して一緒に対応していかなければ、メモリーの容量がいくら増えても足りなくなってしまいます。

 そこでWindows K2 プロジェクトではWindows 11のパフォーマンスを改善するために、メモリー利用のベストプラクティスを見直しました。新しいベストプラクティスによってメモリーを占有するデータを減らしたり、サイズを小さくしたりすることで、Windows 11やアプリケーションのレスポンスが向上します。

メモリー利用を最適化
スタートメニューも刷新

教えてもらう人
MOEKOさん
ダイワボウ情報システム(DIS)に勤める入社2年目の営業職。

MOEKO●改善されたWindows 11を導入すれば、今使っているWindows 11搭載PCのメモリー容量を増やさなくても、多くのケースで改善が期待できますか。

高頭さん●その通りです。ただし改善されたWindows 11が一つのパッケージで提供されるわけではありません。改善されたプログラムやドライバー、BIOS、アプリケーションの機能などは、Windows Updateを中心として順次提供します。つまりWindows Updateを実行することによって、今使っているWindows 11が改善されます。

MOEKO●それは楽しみです。そういえばWindows Updateにも不満があります。Windows Updateを実行すると何度も再起動が必要になり、仕事を中断しなければなりません。これもWindows K2プロジェクトで改善されますか。

高頭さん●ご迷惑をおかけして申し訳ございません。すでに再起動しなくてもアップデートが完了できるよう改善を進めており、現在は再起動の回数が大幅に減っています。

 また、この数年間最優先で進めてきたAI機能の実装についても、ユーザーの要望も取り入れて見直しを図る計画です。このほかスタートメニューの配置を柔軟に設定できるようにするなど、使い勝手についても改善を図っていきます。

 プロジェクト名にある「K2」は、世界で最も過酷で登頂が難しい山の一つとして知られるK2にちなんでおり、Windowsが抱える複雑で難易度の高い課題に挑み続けるという意思を象徴しています。

 現在、より優れたWindows体験の実現を目指して「Performance(性能)」「Reliability(信頼性・品質)」「Craft(使いやすさ)」の向上に取り組んでいますので、その成果にご期待ください。

MOEKO●今使っているWindows PCが買った時よりも快適に使えるようになり、最新のCopilot+ PCならばハードウェアの性能がフルに発揮されてローカルでAIエージェントがサクサクと動くようになると期待しています。本日はありがとうございました。