不透明な市場を乗り越え
企業のIT調達を最適化する
エンタープライズ需要の急増に伴う半導体やメモリーの供給逼迫により、PC調達における納期遅延や価格高騰が深刻化している。
不確実性が高まる市場環境下において、企業はいかにして最適なITインフラを継続的に確保するべきか。
デル・テクノロジーズの取り組みや見解を通じ、供給網の最新動向をはじめ、価格変動への対応策など企業が取り得る具体的な調達戦略を解き明かす。
グローバル展開の強みを生かし
不透明な市場でも安定供給を維持

レベニューオペレーション統括本部
クライアント製品 プロダクトマーケティング部
フィールドプロダクトマネージャー 部長
佐々木邦彦 氏
エンタープライズ領域でデータ需要が急速に拡大する中、メモリーや半導体の需給は世界的に逼迫しつつある。その影響はPC市場にも及び、部材確保の競争が激しくなるとともに、供給不安や価格上昇といった課題が顕在化している。今年前半には、業界全体で一部CPUの納期が最長1.5ヶ月程度まで延びるケースも見られた。しかし、こうした不透明な環境下にあっても、持続可能な調達網を維持し、安定供給に向けた対応を進めているのがデル・テクノロジーズである。
「今年の前半は一部でサプライチェーンが厳しい局面もありましたが、当社として欠品に陥る状況は避けられました。特定のCPUの納期が長くなる場合でも、代替構成をご提案できる体制を整えていたからです。また、インテルさまやAMDさまといった主要メーカーさまと密に連携することで、今年後半にかけてのサプライチェーンの不安は解消に向かう見通しが得られています」と語るのは、デル・テクノロジーズ レベニューオペレーション統括本部 クライアント製品 プロダクトマーケティング部 フィールドプロダクトマネージャー 部長 佐々木邦彦氏だ。
同社が安定供給を実現できた背景には、グローバルスケールを生かした柔軟なアロケーション体制がある。北米、欧州、APJ(アジア太平洋・日本)といった各地域間で在庫を融通し合い、需要の変動に即座に対応する仕組みを構築している。「例えば、他国の案件で変動が生じた際には、その分をまた別の国へ回すといった運用を行っています。また、当社はPCだけでなくエンタープライズ向けサーバーも扱っているため、サプライヤーとの長年の信頼関係と大量調達によるスケールメリットがあります。このサプライチェーンの強みがあるからこそ、市場全体が不安定な時期でもお客さまへの影響を最小限に抑えられるのです」(佐々木氏)
価格変動への向き合い方と
調達プロセス見直しの重要性
供給面と並んで課題となっているのが価格変動への対応である。円安や部材コストの上昇を受け、同社は国内メーカーに先駆けて昨年12月ごろから柔軟な価格改定を進めてきた。市場の変動を迅速に反映する方針に対し、当初は顧客から戸惑いの声が寄せられる場面もあったという。しかし、丁寧な説明を重ねることで、現在では市場構造に対する理解が徐々に広がりつつある。

「価格改定の当初は、お客さまにご理解いただくまでに少し時間を要する場面もありましたが、市場環境の変化や当社の取り組みについて丁寧に説明を重ねることで、次第に納得いただけるようになりました。当社では、部材コストの変動に応じて価格を適切に見直す運用を行っています。コロナ禍で半導体不足が深刻化した際にも、可能な限り適正な価格運用を続けることで、お客さまから信頼をいただいてきました。今後も透明性を大切にした情報提供と対応に取り組んでいきます」と佐々木氏は説明する。
このような状況下で、企業が希望通りの納期と適正な価格でIT機器を導入するためには、調達プロセスそのものの見直しが求められる。従来のように半年先を見越して計画する方法では価格変動の影響を受けやすく、意思決定のスピードを高めることが有効な対策となる。「納納期遅延を避けるための最良の策は、早めに計画を立てて発注を前倒しすることです。当社の標準納期は約2週間ですが、仕様によっては時間を要する場合もあります。必要な仕様を見直し、場合によっては供給可能な構成へ適宜切り替えていただくこと、そして早めに発注を確定いただくことが、コストと納期の両面で効果的です。また、中堅中小企業さま向けには短期間での納品が可能な『即納モデル』も用意しており、急な調達ニーズにも対応しています」(佐々木氏)
次世代ワークプレイスの生産性を向上
快適な作業環境を整えるトータル提案
IT調達においては、単に納期を確保するだけでなく、将来の業務基盤に適した製品を選ぶことが重要となる。現在、企業での実用化が急速に進んでいるのが、PC端末側でAI処理を完結させる「AI PC」である。従来のクラウド依存型AIから、ローカル環境で自律的に業務を支援するAIエージェントへと移行する流れは、企業の生産性に大きな影響を与えつつある。「AI PCは議事録の自動作成や多言語翻訳、過去メールの検索・要約など、日常業務の負荷を大きく軽減します。Windows 10から11への移行が進む今、価格だけを優先して従来型PCを選択すると、2〜3年後に処理能力の不足が表面化し、想定より早い買い替えが必要になる可能性があります。将来の運用を見据えると、今の段階でAI PCを視野に入れていただくことが一つの選択肢になると考えています」と佐々木氏は話す。
さらに同社は、端末単体の提供にとどまらず、ワークプレイス全体の生産性と快適性を高めるソリューションを提案している。AI技術を応用したノイズキャンセリング搭載ヘッドセット、ハブ機能を備えた32インチ超ワイド曲面モニター、指紋認証マウスなど、多様な働き方に合わせたデバイス群を自社開発でそろえている。
「PC本体だけでなく、周囲の作業環境を含めて整えることが、最終的な業務効率化につながります。販売パートナーの皆さまとも連携し、幅広いラインアップと安定したサプライチェーン体制を通じて、不透明な社会情勢を共に乗り越えていきたいと考えています」と佐々木氏は語った。

