ハイブリッド・マルチクラウド環境の
シンプル化と継続的な最適化を実現する新サービス

日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)は11月20日に開催した記者説明会にて、「HPE Unified Cloud Management 統合サービス」の提供開始を発表した。本サービスは、AI時代におけるハイブリッド・マルチクラウド管理を包括的に実現することを目的としている。同サービスの提供背景と特長を詳しく見ていこう。

ハイブリッド・マルチクラウド環境で
企業が直面している五つの課題

 最初に登壇したHPE 執行役員 アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部長 挾間 崇氏は、昨今のIT環境における変化をこう語る。「2022年にChatGPTが登場し、翌年にはマイクロソフトがCopilotをリリースしました。これを契機に、日本市場でも生成AIの活用ニーズが急速に高まり、実際の導入が広がっています。企業がAIを本格的に活用するためには、従来以上に俊敏かつ柔軟なサービスの開発・提供・運用が求められています。しかしそのサービスの対象となるIT環境は、オンプレミス、エッジ、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドと多岐にわたり、複雑さを増しています。この複雑性は、単にデータの機密性の問題にとどまらず、どの場所で、どのデータを、どのように処理すれば俊敏性と柔軟性を最大化できるのかという視点も不可欠です。こうした背景から、企業にはハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境への対応力が一層求められます。このような動きはすでにグローバル市場では顕著となっており、多くの企業は単一クラウドに依存するよりも、マルチクラウドを活用することでより高いROIを実現できると考えています」

HPE
執行役員
アドバイザリー&プロフェッショナルサービス
事業統括本部長
挾間 崇

 しかしその一方で、ハイブリッド・マルチクラウド環境における課題が多くの企業で顕在化している。企業が直面する課題は次の五つの要素に集約できる。

 一つ目は複雑性だ。管理すべきIT環境がオンプレミスからエッジ、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドまで広がり、統合や管理の難しさに72%の企業が苦慮している。さらにその複雑性から、各環境で利用するツールやサービスの相互運用性の確保も困難となっっている。二つ目はサイロ化だ。部分最適を重ねた結果、複数のIT環境が分断され、全社的な連携や効率が損なわれてしまっている。三つ目は可視性の欠如だ。サイロ化の影響により、データに基づくリソースやパフォーマンスの管理が不十分となり、コストを含めたリソースの増大を招く結果となっている。四つ目はGASC(Governance,Assurance,Security,Compliance)の不均一性だ。セキュリティポリシーやコンプライアンス規制が均一に適用されておらず、インシデントリスクが高まっている。五つ目は継続性の欠如だ。課題が発生するたびに行われる局所的な作業と、膨大なマニュアル作業が重なり、最適化の取り組みが持続しない状況に陥っている。「中でも継続性がお客さま環境を真のハイブリッド・マルチクラウド環境にデザインする上で、非常に重要だと考えています」と挾間氏は強調する。

ITインフラにおける八つの領域を網羅し
AI時代の競争力を確保する

 こうした課題を解決するサービスとして、HPEは11月20日に「HPE Unified Cloud Management 統合サービス」の提供を開始した。HPE Unified Cloud Management統合サービスは、複雑なIT環境のシンプル化を実現し、最適化を継続しながら、AI時代の競争力を加速させるための新たなリソースの確保と活用を目標としたサービスだ。これらの目標を達成するために、ITインフラにおける八つの領域を網羅している。八つの領域は以下の通りだ。

PlatformOps:一元管理とインテグレーションによる継続的な最適化
AIOps:AIを最大限に活用した可観測性向上と自動化
NetOps:ネットワーク環境の自動化とプログラム化による効率化
SecOps:サイロ化の解消と継続的な最適化によるセキュリティ・ガバナンス強化
DataOps:データのライフサイクル管理によるデータ活用の効率化
FinOps:資産とコストの可視化による企業全体の財務管理
SSAMOps:ソフトウェア資産の最適化によるコスト削減
GreenOps:電力消費の可視化など、サステナビリティ戦略の促進支援

「これら八つの領域は、AI時代の競争力を確保するというお客さまの市場戦略を可能にするものであり、戦略的意図に基づいて二つのグループに大別されます。一つ目は『より進化させるべきOps』です。従来のIT環境の運用管理において一般的に検討されてはいるものの、今までに増して進化・発展が必要だと考えられている四つの領域です。これには、PlatformOps、AIOps、NetOps、SecOpsが含まれます。二つ目は『新たに検討すべきOps』です。当社は、より進化させるべきOpsだけではAI時代を勝ち抜くことはできないと考えています。今後、いかにAIを活用し、他社に先駆けて新たな価値を生み出せるかが最も重要になる中、必要なタイミングで加速できる環境を準備することが不可欠です。そのために、これらの領域の検討を新たに進める必要があります。具体的には、DataOps、FinOps、SSAMOps、GreenOpsです。これら八つの領域が互いに連動し合うことで、局所的な最適化を避けたハイブリッド・マルチクラウド環境が実現します。そして、その連携の中心を担うのがPlatformOpsです。この中核製品として当社は『HPE Morpheus Enterprise Software』(以下、Morpheus)を保有しています。Morpheusは他の領域と統合し、PlatformOpsから各領域をコントロールすることで、IT環境全体の一元化と自動化を実現できます」と、HPE アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス開発部 部長 魚住広貴氏は語る。

HPE
アドバイザリー&プロフェッショナルサービス
事業統括本部
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ビジネス開発部
部長
魚住広貴

コンセプトの整理から運用まで
一気通貫でHPEが対応する

 HPE Unified Cloud Management統合サービスでは、「コンセプト整理」から「構想・計画・検証」、そして「構築・運用」までの3ステップを、アドバイザリーサービスとプロフェッショナルサービスの双方で一貫して提供している。

HPE Unified Cloud Management統合サービスの概要図。アドバイザリーサービスとプロフェッショナルサービスが、コンセプト整理、構想・計画・検証、構築・運用のそれぞれの段階をサポートする。

 アドバイザリーサービスでは、コンセプト整理段階の勉強会やワークショップに加え、構想・計画・検証段階でのロードマップ策定を支援する。勉強会では、最新トレンドを把握するために市場動向や課題、主要プレイヤーを幅広く紹介し、必要に応じてグローバル事例やデモも実施する。ワークショップでは、HPE独自の成熟度モデルを活用し、顧客のIT環境における課題を洗い出し、深掘りし、整理した上で具体的なアクションプランに落とし込む。さらに、候補選定や既存環境とのインテグレーションを考慮しながら、優先順位やスケジュールを決定し、ロードマップを作成する。必要に応じて、社内承認に向けた上申資料の作成も行う。

 プロフェッショナルサービスでは、構想・計画・検証段階のPoCと、構築・運用段階の設計・実装、展開・運用を支援する。PoCでは、構築環境の準備からQ&A対応、既存環境への影響評価、効果測定までを実施する。グローバルで実績のあるテンプレートを活用することで、期間短縮も可能だ。設計・実装では、既存環境とのインテグレーションを考慮し、基本設計から詳細設計までを行い、専門家がグローバル知見を活用して構築を進める。展開・運用では、グローバルPMOを活用し、海外展開や国内グループ企業への導入を推進し、統一された品質での運用を提供する。

 最後に魚住氏は「当社は、お客さまのハイブリッド・マルチクラウド環境を最適にデザインするご支援を、HPE Unified Cloud Management統合サービスを皮切りに、さらに加速させていきます」と意気込みを語った。