AIが動かす次世代PCの未来像
“使う”から実務を“任せる”存在へ

2026年1月22日、Dynabookは「インテル Core Ultra シリーズ3 プロセッサー」を搭載した法人向けノートPC「dynabook X83/PA」および「dynabook B86/PA」に関する記者説明会を開催した。2026年を「AI PCの活用が本格化する年」と位置付ける同社は、AIを“使う”レベルから、実務を“任せる”段階へと引き上げる次世代のワークスタイルを提示した。

ビジネス現場でのAI体験を加速
AIエージェント時代に対応

Dynabook
商品統括部
統括部長
須田淳一郎

 Dynabookは、2026年をAI PCの活用が本格化する年と位置付けている。PCにおけるAI活用の歩みは、大きく三つの段階に分けられる。一つ目がクラウド上の生成AIを利用する段階、二つ目がPCに搭載されたローカル生成AIを使う段階、そして三つ目が、AIがユーザーの意図をくみ取り、自律的に判断して行動する「AIエージェントとして活用する段階」である。Dynabook 商品統括部 統括部長 須田淳一郎氏は「これまでのAI PCは、いわば『AIに尋ねる』という一問一答の使い方が中心でした。しかし、当社が目指すのは、さらにその先を行く『AIにお願いする』世界です。PCが単に指示を待つだけでなく、ユーザーが何をしたいかをくみ取り、自律的にタスクを遂行するパートナーとしてのPCを提案したいと考えています」と語る。

 このビジョンを具現化するのが、13.3インチノートPC「dynabook X83/PA」と、16インチノートPC「dynabook B86/PA」だ。両機種共に、最新の「インテル Core Ultra シリーズ3 プロセッサー」を搭載し、高い処理性能と省電力性を両立させた。前世代を大きく上回る演算能力によって、ビジネス現場でのAI体験を加速させられる。

 AI処理の中核となるNPUは第5世代となり、最大毎秒約49兆回(49TOPS)の高いピーク性能を実現している。マイクロソフトが提唱する「Copilot+ PC」の基準をクリアするこの性能によって、クラウドに依存しがちな高度な推論や生成処理も、手元のPCだけで完結できるのだ。

 高度なAI処理をローカル環境で継続的に実行するようになると、必然的にPCの電力消費管理が重要な課題となる。こうしたAI時代の電源ニーズに応えるのが、dynabook X83/PAに備えられた「セルフ交換バッテリー」機構である。バッテリーが劣化・消耗した際に、PC利用者自身で新たなバッテリーに交換が行えるのだ。

 須田氏は「AI処理をフル回転させるビジネス現場では、どうしてもバッテリー消費の早さが課題となります。予備のバッテリーをユーザー自身で容易に交換できる仕組みは、作業を中断させないための、AIエージェント時代におけるモバイルPCの必須要件だと確信しています」とアピールする。

13.3インチノートPC「dynabook X83/PA」(左)と、16インチノートPC「dynabook B86/PA」(右)

進化した独自AI機能で
誰でも簡単に業務改善

 Dynabookは、単に最新チップを搭載するだけでなく、その性能を最大限に引き出す独自のAI機能群を開発した。ここでDynabookが強調したのは、企業がAI導入に踏み切れない最大の要因であるセキュリティやプライバシーの懸念を、PC内で処理を完結させる「ローカルAI」によって払拭するという姿勢だ。

 ビジネスの最前線では、社外秘の機密データをクラウドにアップロードすること自体が、コンプライアンス上の大きなリスクとなり得る。同社の独自AI機能は、クラウドを介することなく、全てPCのローカル環境で処理を完結させる設計思想を貫いている。これにより、ネットワーク環境に左右されることなく、瞬時に応答できる高速なAI体験を実現している。加えてセキュリティも担保できる。

 具体的には、独自アプリ「dynabook AI アシスタント」が大幅に強化された。特筆すべきは新たに追加された二つの新機能だ。一つ目は、PC内に蓄積された膨大な社内資料から必要な情報を瞬時に探し出し、根拠となる参照先まで提示する「AI知識サーチ」。二つ目は、「画面を暗くして」「壁紙を変えて」といった曖昧な指示でも、AIがOSの設定変更を代行してくれる「PC操作エージェント」である。誰でも簡単にAIを活用でき、業務改善につなげられる。これこそが、ユーザーが操作を「任せる」エージェント機能の真骨頂といえる。

 こうした高度なAI処理は、PCに極めて高い負荷をかける。そこで重要になるのが、同社が誇る独自の冷却・放熱技術「エンパワーテクノロジー」だ。長時間の高負荷状態でもプロセッサーの性能を落とすことなく維持し続けるこの技術が、AIエージェントが真の力を発揮するための土台となっている。NPU、GPU、CPUの役割を最適に分散管理することで、ユーザーにストレスを感じさせない処理スピードを追求した。

 さらに、AIがPCの動作を監視し、オンライン会議アプリケーションを検出するとバッテリーの消費電力を抑制して長時間駆動を可能にする「AIパワーオプティマイズ」や、背後からののぞき見を検知するとユーザーに警告を行ってプライバシーを守る「AIプライバシーアシスト」など、AIがユーザーの周辺環境を常に監視し、安全で快適なワークスペースを維持する仕組みも実装されている。

AI導入の壁を打破する教育支援と
PCのセキュアな運用管理

Dynabook
ニューコンセプトコンピューティング統括部
NCCソリューション戦略部
部長
小川岳弘

 どれほど優れたAI機能を搭載しても、それを使いこなすユーザーのスキルが乏しければ、期待されるほどの成果は得られない。AIを導入しても活用が進まないという企業にとって、ユーザーのAIスキルの向上が課題として挙げられる。そうした教育の課題に対する解決策として、Dynabookは日本ビジネスシステムズ(JBS)の教育動画コンテンツ「JBS AI Starter Learning」を今後発売する全ての法人向けモデルに無料でプリインストールして提供する。

 JBS AI Starter LearningではAIに関する基礎から実践までを体系的に学べる13本の教育動画コンテンツを利用できる。Dynabook ニューコンセプトコンピューティング統括部 NCCソリューション戦略部 部長 小川岳弘氏は、「調査によれば、企業の約7割がAI導入に関心を持っていますが、現場からは『プロンプト(指示文)をどう書けばいいか分からない』といった戸惑いの声が依然として多く上がっています。そうした企業に向けて、JBS AI Starter Learningを法人向けPCに標準搭載することで、導入したその日から全社員のAIスキルを底上げし、実務へのスムーズな適応を支援したいという思いがあります」とその狙いを語る。

Dynabook
国内PC事業本部
国内マーケティング本部
本部長
杉野文則

 このようにAI PCの利活用を促進する一方で、企業にとっては「高度な機密データを扱う端末」をいかに安全に管理するかという運用面での責任も重くなる。こうした利活用と背中合わせにある運用管理の不安を解消すべく、同社はIT管理者向けの支援サービスも大幅に拡充した。

 Dynabook 国内PC事業本部 国内マーケティング本部 本部長 杉野文則氏は、同社が提供する「PCアセットモニタリングサービス」の機能強化について説明した。小川氏が紹介したのは、新たに実装された遠隔データ消去機能「リモートセキュア」だ。これはワンビとの技術連携により実現したもので、遠隔地からPCのロックやデータ消去を行える。

 この機能の最大のメリットは、場所や端末の状態を問わず、機密情報の流出を確実に阻止できる点にある。ハイブリッドワークによってPCが社外へ持ち出される機会が増えるなか、このリモートセキュアによって、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが可能となる。杉野氏は「物理的な回収が困難な状況下でも機密情報を確実に守り抜き、PCのライフサイクル全体をより安全かつ一元管理できる環境を整えられます」と、サービス拡充の意義を強調した。