長時間労働の抑制や休暇取得の推進を目的に2019年に施行された「働き方改革関連法」の猶予期間は、2024年3月末で終了した。これにより物流現場では、輸送能力の低下や人手不足の深刻化が課題となっている。さらに、2026年4月には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(以下、物流効率化法)が施行され、荷主企業には荷待ちや荷役時間の削減、積載率の向上など、物流効率化に向けた取り組みが求められるようになった。また、一定規模以上の荷主企業では、物流統括管理者(CLO:Chief Logistics Officer)の選任も義務化されている。こうした物流を取り巻く環境の変化を踏まえ、本稿では物流への理解を深めるための書籍を紹介する。

図解でスッと頭に入る物流

小野塚征志 監修
1,980円(税込)
昭文社

 物流は私たちの暮らしやビジネスを支える重要な仕組みでありながら、その全体像を理解する機会は意外と少ない。本書は、そうした物流の世界を地図や図解を交えて分かりやすく解説した入門書だ。豊富なビジュアルを活用しているため、文字だけでは理解しにくい「モノの流れ」も直感的に把握しやすい。1テーマを見開き2ページで完結させる構成を採用しており、複雑な物流の仕組みも整理された形で学べるため、初めて物流に触れる読者でも無理なく読み進められる。物流の基礎から世界の主要な物流拠点や輸送ルート、各国の物流戦略に加え、自動運転やドローン配送、物流DX、グリーンロジスティクスといった最新トレンドまで幅広く紹介。物流の現状だけでなく、将来の方向性にも目を向けられる。また、米国や中国、東南アジアなどの物流事情と、日本独自の物流システムや災害対策の比較も行っている。プロローグでは、スエズ運河やマラッカ海峡、上海港・洋山埠頭、貨物専用機、貨物列車、Amazonの巨大倉庫などの写真を掲載。物流のスケール感を視覚的に実感でき、その後の解説内容への理解も深められるだろう。物流を初めて学ぶ人はもちろん、物流を巡るニュースの背景を知りたい人にもおすすめしたい一冊だ。

グローバル物流の基本

樫山峰久 編著/山口雄大
2,640円(税込)
日本実業出版社

 私たちの暮らしは世界中を結ぶ物流、すなわちグローバル物流によって支えられている。その仕組みを理解することは、生活の基盤を知ることに直結し、持続可能な未来を考える第一歩となる。本書は、そうした視点をベースに、著者の豊富な経験と知見を基にグローバル物流の基本を分かりやすく解説した一冊だ。輸送モードごとの特徴をはじめ、在庫最適化に向けた倉庫の見える化や需要予測、さらに環境負荷の低減と効率化を両立する「グリーンロジスティクス」についても紹介。加えて、量子コンピューターやデジタルツインなどの先端技術を活用した最新のロジスティクスにも触れている。各章には参考文献が掲載されており、さらに知識を深めたい読者にとっても役立つだろう。

物流ファースト経営

船井総研サプライチェーンコンサルティング
2,970円(税込)
明日香出版社

 本書は物流を単なるコストや裏方業務としてではなく、企業の競争力を左右する重要な経営資源として捉え直す「物流ファースト経営」をテーマにした一冊だ。2024年問題や深刻なドライバー不足、物流コストの上昇など、物流を取り巻く環境が大きく変化する中、なぜ今この考え方が必要なのかを分かりやすく解説している。特に、2026年4月から一定規模以上の企業で選任が義務化されたCLOに焦点を当て、その役割や選任の進め方、組織変革のポイントを体系的に整理している点が特長だ。単なる物流改善のノウハウ本ではなく、経営視点から物流の在り方を考え直すきっかけを与えてくれる。CLOの選任・育成を検討している経営者や責任者はもちろん、これからの物流戦略を学びたい読者にも参考になる。