部材供給の不安定化にどう備えるか
IT調達の最適解を探る
調達を取り巻く環境は大きく変化している。
こうした状況下で、PCの安定確保と運用継続をいかに維持するかが重要な課題となる。
VAIOは長野県安曇野市の工場を核とした国内生産体制と安定調達の仕組みにより供給リスクを抑えつつ、製品ライフサイクルの延伸やリースアップ機の再整備など、運用面の最適化にも力を入れている。
こうした取り組みの背景や具体的な考え方について、VAIOに伺った。
長期契約が支える盤石な調達体制
納期遅延を防ぐ綿密な情報共有
世界的な原材料高騰と部品供給難が続く中、PCメーカーはかつてない難局に直面している。供給の乱れは納期遅延を招き、企業の事業継続性にも影響を及ぼしかねない。こうした環境下で、VAIOはどのように安定供給を実現しているのか。VAIO 代表取締役社長 糸岡 健氏は、安定供給を支える要因として「早期の長期調達契約」を挙げる。
「ご存じの通り、原材料の高騰や部品供給の問題は非常に厳しい状況です。我々は、主要な部品ベンダーさまと1年前から長期の調達契約を結び、翌年分の供給量を確保しています。その結果、現時点ではお客さまとお約束した納期に対して、遅延を起こすようなことは発生しておりません」と糸岡氏は説明する。

想定を上回る受注が重なる場合には、事前に顧客へ状況を説明し、納得の上で納期調整を行う誠実な姿勢を徹底しているという。 では、発注企業側はどのような対策を取るべきなのか。糸岡氏は「綿密な情報共有」の重要性を説く。「ポイントは、必要な情報をオープンに共有することです。すでにお取引のあるお客さまであれば、中長期の購入予定を共有いただくことで最適な購入方法をご提案できます。また、新規のお客さまにつきましても、必要な時期や仕様をお聞かせいただければ、納期を含めた現実的な最適解を一緒に探ることが可能です。こうした情報の透明性が高まるほど、納期トラブルの発生を抑えられると考えています」
TCOを最適化する長寿命設計の強み
変化する時代に求められる長期運用

代表取締役社長
糸岡 健 氏
こうした調達の安定化に加えて、企業の間では、PCをどのように運用し活用していくかというサイクルそのものを見直す動きが広がっている。PCの価格が高騰する現状を受け、従来の3〜4年での買い替えを前提とした運用から、より長期の使用を志向する企業が増えているのだ。こうした流れの中で、VAIOの価値が際立つのが、運用期間全体を見据えた「TCO(Total Cost of Ownership)」の視点だ。
「昨今の情勢を踏まえると、PCの買い替えサイクルを1〜2年ほど延ばす企業が増えています。そうした中で、最初から長く使える高品質な製品を導入することは、一つの賢明な選択肢です。我々は、多少初期コストが高くても、バッテリーの持ちや壊れにくさという、製品寿命を延ばすための品質向上にコストをかけています。日本の安曇野工場で作り込んでいるこの品質こそが、我々の最大の強みです」と糸岡氏はアピールする。

さらに、長く使うことで得られる経済的合理性にも触れる。「初期投資がかかるケースでも、ライフサイクル全体でのアフターコストを含めたTCOで見れば、割安となる場合は少なくありません。PC価格の高騰はこれからも続く可能性があります。ランニングコストを抑えるためには、良いものを先んじて購入し、長く使い続けていただくアプローチが有効です」(糸岡氏)
こうした長期利用を前提とした運用が広がる中で、安定した供給体制を確保することも重要な要素となる。VAIOでは、地政学リスクへの備えとして国内生産体制の強化にも注力している。国内部品メーカーとの連携をさらに深め、サプライチェーンの国産化をより一層推進していく方針だ。こうした取り組みは、経済安全保障の観点からも重要性が高まっている。
顧客に最適な一台を届ける
共創アプローチで高めるブランド価値
こうした国内基盤をしっかりと固めていく一方で、VAIOは販売台数といった数値指標を追うことだけに偏らず、顧客の認知や支持を高める「マインドシェア」の向上を重視している。顧客との接点を広げ、ブランド価値を育てることを成長戦略の中心に据える姿勢だ。

この考え方は、販売パートナーとの連携にも表れている。VAIOにとって重要なキーワードが「共創」だ。「販売パートナーさまと共に、お客さまのために何ができるかをこれからも探っていきたいと思っています。そして、販売パートナーさまが長年築いてきたお客さまとの信頼関係という強みと、VAIOの製品開発力を掛け合わせることで、お客さまに最適な一台を届けていきます。その積み重ねがVAIOへの支持を広げ、持続的な成長につながると考えています」と糸岡氏は語る。
パートナーとの関係性を深化させる一方で、循環型社会を見据えた試みとして展開しているのが「Reborn VAIO」だ。法人リースアップ品を安曇野本社工場で引き取り、天板・キーボード・タッチパッド・バッテリーなどを新品部品へ交換した上でメーカー保証を付与して再販する仕組みだ。価格は当時の定価よりも大幅に抑えられるため、最新スペックを必要としない部署などへ向けたコストパフォーマンスに優れた選択肢となるだけでなく、製品の循環利用を通じて企業の環境負荷低減や持続可能な経営を力強く後押しする。
最後に、今後の展望について糸岡氏は「法人向けであっても、ビジネスツールとしての高い信頼性はそのままに、使っていて思わずワクワクするような製品体験をお届けしたいと考えています。部品調達から製造、そしてリサイクルに至るまで、安曇野を拠点とした当社の挑戦を通じて、お客さまに新たな価値を提供し続けていきます」と意気込みを語った。

