生成AIの利用拡大により、日本国内でも日本メーカーへの出資や海外メーカーの工場誘致が進むなど、半導体デバイスの需要が急増している。この状況を受けて、富士キメラ総研は半導体デバイスの世界市場を調査した。本調査は、AIアクセラレーターチップやDRAMといった生成AI、エッジAI、DX、GXを実現する先端/注目半導体デバイス15品目を対象としている。

 2026年の半導体デバイス15品目の市場は、前年比6割以上の大幅な増加が見込まれる。これは、投資が活発化しているAIおよびデータセンターに関連の深いサーバー向けCPUやAIアクセラレーターチップ、データセンター向けスイッチIC、SSDコントローラー、各種メモリーが市場をけん引しているためである。

 中でも大きく市場を押し上げているのが、メモリーだ。AI関連製品で大量に必要とされることから、メモリーの需要は急速に高まっている。しかし、メーカー各社は過去のシリコンサイクルの経験から設備投資には非常に慎重であり、2026年は供給不足により価格が高騰しているのだ。メモリーの供給不足は、メーカーの設備投資によって、2028年ごろに解消されるとみられる。これに伴い、メモリーの単価も2025年の水準まで下がり、メモリー市場も縮小する見通しだ。これを踏まえて、2020年代後半には半導体デバイス15品目の市場も一時的にほぼ横ばいになると富士キメラ総研は予想している。

AI半導体デバイス市場は今後も伸長

 半導体デバイス市場の中でも注目されるのが、AIサーバーに搭載される製品であるAI半導体デバイスの市場だ。同市場は、サーバー向けCPU、AIアクセラレーターチップ、データセンター向けスイッチIC、HBMの合計であり、サーバー向けCPUはAIサーバー向け製品のみ、データセンター向けスイッチICはAIサーバーシステムネットワークに採用される製品のみを対象とする。

 AIサーバーはデータセンター向けの需要が拡大している。メモリー価格の影響で鈍化する年があるものの、AIサーバーの需要拡大に伴い、AI半導体デバイス市場も一貫して伸びが続くとみられる。その結果、AI半導体デバイスが半導体デバイス15品目の市場全体に占める割合は、2025年の3割強から2031年には6割弱まで上昇すると富士キメラ総研は予測している。

 こうした伸びをけん引するのは、AIアクセラレーターチップやHBMである。AIアクセラレーターチップ市場は、半導体チップを基板に接続するパッケージ技術であるFC-BGAの基板部材の供給不足によって伸びが抑えられているが、2027年後半には部材の調達難が解消する見通しだ。さらに2027年は、HBMを搭載しない推論用AIアクセラレーターチップの増加や、クラウドベンダーによる内製製品の増加、中国メーカー製品の増加が進むと想定される。これらのことから、ローエンドからミドルレンジ製品を中心に、同市場は大幅な拡大が予想される。

 HBMはDRAMメーカーの優先的なHBM製造の設備投資により、供給不足には陥らないとみられている。生成AIをはじめとするAI関連の投資拡大に付随し、今後もHBMの投資は優先される。加えて、AIアクセラレーターチップの高性能化に伴い、アクセラレーターボード1台当たりのHBM使用量が増加することにより、市場は順調に拡大する見込みだ。