Smart Agriculture
矢野経済研究所は国内におけるスマート農業市場を調査した。2025年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比115.2%(前年度比15.2%増)の455億200万円の見込みである。
この背景には、米価高騰による生産者の所得向上の期待感から設備投資意欲が回復したことがある。スマート農機導入に関する補助事業や、RTK基地局をはじめとした自動化システムを支えるインフラ整備が全国的に進んだことも追い風となっている。特に大規模生産者を中心に、GPSガイダンスシステムや自動操舵などの技術を搭載したスマート農機の導入が進んでいる。
スマート農業を支える技術として注目されるのが、国内でも近年普及しつつある衛星リモートセンシングだ。普及の背景は大きく三つある。一つ目は気候変動・異常気象によるリスクが増加していること、二つ目は化学肥料の高騰により、肥料の散布ムラの把握が必要であること、三つ目は圃場の巡回コストが限界に達していることだ。こうした背景の下、衛星リモートセンシングを活用したソリューションの上市が相次いでいる。しかし、衛星画像は中山間地域の通信インフラが脆弱なため、画像の精度が低下するという課題を抱えている。通信網の高速化やみちびき衛星の精度向上により、今後は衛星画像を利用したリモートセンシングが普及拡大するとみられる。
スマート農業は生産現場のみでは小さい市場である。しかし、スマート農業技術で取得したデータをAIによって分析・加工することで、農業・食品関連業界向けに新たなサービスを発展させられる可能性がある。生産者や農業資材メーカー、農業関連団体などが連携・協業することで、この可能性を高められるだろう。これを踏まえ、2031年度のスマート農業の国内市場規模は969億400万円まで拡大すると矢野経済研究所は予測している。


