Digital Transformation Investment
企業を取り巻く環境の変化やさまざまな面でのコスト上昇を背景に、業務効率化や生産性向上を目的とした生成AI活用が進んでいる。この状況を受けて、富士キメラ総研は国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連投資状況を調査した。
本調査では、DXを実現するために、AIやIoT、ロボティクスなどのデジタル技術へ行うICT投資(ユーザーの投資金額)をDX投資と定義している。この定義の下、製造業、交通/運輸/物流業、金融業、小売/外食業、建設業、医療/介護、不動産、自治体、社会インフラ/情報通信/その他の9業種別でDX関連投資額を算出した。
対象とした業種における2026年度のDX関連投資額は7兆円を超える見込みだ。今後は生成AI・AIエージェントの活用を前提として、DX関連投資が活発化することから、2030年度のDX関連投資額が10兆円を超えると富士キメラ総研は予想している。
特にDX関連投資額が大きい業種として、製造業が挙げられる。データドリブン経営やESG経営の実現に向けて、社内外に跨るデータ連携の需要が増えているのだ。中でも、バリューチェーン連携に向けたデータ基盤統合のためのPLM(製品ライフサイクル管理)やBOM(部品表)、MES(製造実行システム)などの再構築が進んでいる。エンジニアリングや生産に関するデータを統合する基盤の整備に向けて、デジタルスレッド・設計・開発DXが大きく伸びているのだ。長期的にはフィジカルAIの実装を見据えた投資が製造DXをけん引するとみられる。
現場DXを実現するツール・ソリューションとしては、エンゲージメント向上ツールやマニュアル作成・現場教育ツール、現場帳票ペーパーレス化ソリューション、モバイルPOSシステム、クラウド型動画自動生成ツールが挙げられる。これらは、業務省人化と属人化の解消を通じて、現場の業務負荷軽減や人材確保・育成、外国人就業者の受け入れなど、労働力強化に寄与することから注目されている。

AIエージェントがDX推進を加速
戦略・基盤DXはモダナイゼーションサービスやERP刷新の需要の大きさ、バックオフィスDXは大手企業から中堅・中小企業へと続くユーザーの裾野の広がりにより、それぞれ順調に伸びている。これらのDXは、AIエージェントをソリューションに組み込みながら今後も大きく伸びるとみられる。
戦略・基盤DXやバックオフィスDXの成長に見られるように、DXを推進するツールとして注目されるのがAIエージェントだ。実務に直結する生成AI活用を目指す企業が増えたことにより、2024年度ごろからAIエージェント市場は急拡大している。導入検討やPoC(概念実証)段階の企業も多く、適用業務の選定やロードマップの策定、AIエージェントを活用した業務フローの検討、PoC段階の開発・構築サービスが市場をけん引している。今後はAIエージェント活用がPoC段階から本格運用へ移行する企業が増加し、大幅な市場拡大が続く予想だ。ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やAIベンダーが提供する個別業務向けのプロダクト型および内製化への関心が高まっているため、特にノーコードのAI開発プラットフォームの活用が進むとみられる。

