今月のテーマは……
Google Cloud Next ’24 で発表!
Gemini for Google Workspace の機能拡充

2024年4月に当社のカンファレンスイベント「 Google Cloud Next ’24 」が米国・ラスベガスで開催されました。このイベントで「 Google Workspace 」の生成 AI 機能である「 Gemini for Google Workspace 」に関する新しい発表がありました。そこで今号では、Gemini for Google Workspace に追加された新たなアドオンのラインアップについて紹介します。

庄司大助(Dandy)
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門で、ITインフラ担当者として入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。

新しい生成AIラインアップの拡充

 本連載で「Google Workspace」の生成AI機能である「 Gemini for Google Workspace」 が旧 Duet AI for Google Workspace から進化したという内容をお伝えしました。この分野における革新はとても早いもので、2024年4月に開催した当社のカンファレンスイベント「 Google Cloud Next ’24 」において、この Gemini for Google Workspace に関する新しい発表がありました。

 今まで、提供している Google Workspace の生成AIアドオンは「 Gemini Enterprise 」と「 Gemini Business 」の二つだけでしたが、新たに「 AI Security 」アドオンと「AI Meetings and Messaging 」アドオンを追加リリースしました。拡充した四つの生成AIアドオンの機能カバー範囲を簡単に表したものが右上の表になります。

「 Google Meet 」の翻訳や、文字キャプションといった会議サポート機能は、世界中のお客さまからのニーズが高く、Google Workspace をお使いのお客さまのニーズにより一層合った選択をしていただけるようになりました。

ユーザーをサポートする豊富な機能

 AI Security アドオンと AI Meetings and Messaging アドオンに含まれる機能の一部を紹介します。

 まず、AI Security アドオンです。これは、一言で表すと、企業内固有の機密データをAIのサポートを受けて、機密データとして位置付け、情報漏えいを未然に防止するための仕組みです。現在、Google Workspace には、Data Loss Prevention(DLP)などの情報漏えいを未然に防止するための仕組みはあります。データにラベルを付けることで、特定のラベルの付いたデータを社外に共有しようとすると、あらかじめIT管理者が設定をしたアラートが表示されたり、共有をブロックしたりすることが可能です。このラベルは、今まで手動での設定が必要でした。例えばクレジットカード番号のように4桁の数字+ハイフン+4桁の数字……というような取扱注意としたいデータの書式に基づいてラベル化するものです。しかし、業務で利用するデータは、必ずデータフォーマットで一律に定義できる規則性のあるものばかりではないはずです。そこで、AIに社内データを学習させて「これは、機密データ扱いでは?」とサポートしてくれるのが、AI Security アドオンの機能です。

 次に、二つ目の追加ラインアップとなった、AI Meetings and Messaging です。これは、会議への参加により集中してもらうためのアドオンです。具体的には、会議参加者のために、AIがリアルタイムに議事録を作成してくれたり、会議終了後に関係者へ共有をしてくれたりします。また、「字幕表示」機能もあるため、外国語の苦手な方向けの機能だけではなく、聴覚に自信のない方へのサポート機能としても利用可能です。外国語の翻訳については、これまでも Google Meet で提供をしてきましたが、Gemini for Google Workspace のアドオン機能に実装されている言語翻訳は、裏側で動いている大規模言語モデル(LLM)がより高度なものになり、品質向上が期待されます。さらに、今までの言語翻訳では、変換元の言語を手動で指定していましたが、言語の自動認識が可能になりました。あまり、多いケースではないかもしれませんが、英語のスピーカーが発言した後に、フランス語のスピーカーが発言するといった国際色豊かな会議もこのアドオンがあると、スムーズに実現できるようになるでしょう。

 海外出張や海外旅行時に携帯型の翻訳デバイスを持ち歩かれるケースがあるかもしれませんが、進化した Google Meet の自動翻訳機能を利用することで、50を超える言語に対応したマルチな翻訳デバイスの代わりとしても活用できるでしょう。世界各国の方々と言語の壁を越えて、コミュニケーションしたいという想いを持った人は多いと思いますが、そんな時代がもうすぐそこまで来ています。

柔軟な購入形態を用意

 今回ご紹介した AI Security アドオンと AI Meetings and Messaging アドオンは、Google Workspace をお持ちのお客さまであれば、単独で購入可能です。Gemini Enterprise や、Gemini Business とセットで購入しなければならないということはありません。また、複数の異なるプランを購入し、ユーザーに割り当てられるため、より柔軟に、必要な人が必要な機能を、適切なコストで利用できます。前述の機能カバー表を参考に、プランをご選択ください。

▲ Google Cloud Next ’24 の内容についてはこちらをご参照ください。

Google Workspace 、Duet AI for Google Workspace、Gemini for Google Workspace 、Gemini 、Google Meet は、Google LLC の商標です。