今月のテーマは……
Google Cloud Next’25で発表された
「 Google Workspace Flows 」の魅力に迫る

2025年4月9〜11日、米国・ラスベガスで当社のカンファレンスイベント「 Google Cloud Next’25 」が開催されました。イベントでは、Google Workspace の生産性を飛躍的に向上させる新たな生成AI機能が発表され、大きな話題となりました。今号では、特にワークフロー自動化の未来を切り拓く「 Google Workspace Flows 」に焦点を当て、機能や活用シーン、そしてどのようなメリットがあるのかなどを解説します。なお、執筆時点では機能の内容や提供はあくまで予定であり、仕様が変更となる可能性もございますこと、あらかじめご了承ください。

庄司大助(Dandy)
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門で、ITインフラ担当者として入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。

ワークフロー自動化の進化形

「 Google Workspace Flows 」は、Google Workspace アプリケーション間の連携をかつてないほど容易にし、複雑な業務プロセスを自動化する革新的なツールです。プログラミングの知識がなくても、直感的な操作で複数のアプリを跨いだワークフローを構築できる点が大きな特長となっています。

「 Gmail 」「 Google ドキュメント 」「 Google スプレッドシート 」「 Google スライド 」「 Google カレンダー 」といった日常的に利用する Google Workspace アプリを、まるでブロックを組み立てるように連携させられます。Google Workspace Flows で実現できることは以下の通りです。

トリガーとアクション:特定のイベント( Gmail の受信、スペースでの会話、フォームへの回答など)をトリガーとして、一連のアクション(別のアプリへのデータ転送、承認依頼の送信、関係者への通知など)を自動的に実行できます。
直感的なノーコードインターフェース:複雑なロジックも、コードを書くことなく、視覚的なインターフェース上で設計が行えます。これにより、IT部門の専門家でなくても、現場の担当者が自らの業務に合わせてワークフローの構築・改善を行えるようになります。
・拡張性と連携性:今後のアップデートでは、Google Workspace 以外の外部アプリケーションとの連携を強化する予定です。より広範な業務自動化が期待されています。

【活用シーンの一例】
人事部門:新入社員のオンボーディングプロセス(入社書類の自動送信、アカウント作成依頼、歓迎メールの送信など)、休暇申請の承認フロー(申請書の自動転送、承認状況の可視化、カレンダーへの反映など)を自動化。業務効率を大幅に向上させ、人的ミスを削減できます。
営業部門:顧客からの問い合わせ受付、関連資料の自動送信、営業担当者への通知、SFA(営業支援システム)へのデータ連携などを自動化。リードタイムを短縮し、顧客対応の質を高められます。
経理部門:経費精算申請の受付から承認、会計システムへのデータ入力、支払い処理のリマインダー通知などを自動化。処理時間を短縮し、人的エラーを防止します。

 これまでは、「 Google Apps Script 」のように、ある程度のプログラミング知識がないと実現できなかったことも、Google Workspace Flows によってかなえられるようになります。組織全体の業務効率化を促進し、従業員がより付加価値の高い業務に集中できる素地を作れるでしょう。

▲Google Workspace Flowsの使用例。「 Google フォーム に投稿されたら、所定のスペースに投稿内容のサマリーを自動的に送付する」というフローを作成したところ。

業務フローを改革

 今回は、複雑なフローのシナリオを例に、Google Workspace Flows の活用方法を紹介します。あるサポート窓口がお客さまからの問い合わせを「 Google フォーム 」で受け付けるとします。その際、お客さまからの投稿があると、これをトリガーとして、問い合わせ内容を「 Gemini 」に聞き、その回答を自動作成するように指示します。それをお客さまに直接送ることもできますが「サポート要員によるチェックを経て回答をする」という確認のフローを追加します。これで、問い合わせ対応の一連の流れが完成です。

 サポート要員が質問の中身を理解し、それに合った回答を探して文章を構成するといった時間を短縮します。多くのお客さまに、より早く的確な回答を返信できるようになり、サポート品質を高められるでしょう。こうした複雑なフローもGoogle Workspace Flowsによってノーコードで実現できます。

 Google Cloud Next’25では、 Google Workspace Flows 以外にも、下記のような業務を革新する魅力的な生成AI機能が発表されました。

Google スプレッドシートのAI関数:特定のセルに「=AI()」と入力。()内には、関数や数式、プログラムではなく、Gemini にこんな値を入力してほしいと自然言語で書くことで、その結果を代入してくれます。ITスキルに自信のない方も、関数を覚えなくても、業務を遂行しやすくなります。
Help me analyze:Google スプレッドシート において、AIがデータ探索と洞察の発見をサポートします。データ分析には「どういう切り口でデータ分析をするか?」というデータサイエンティストのようなスキルが必要ですが、それを Gemini がサポートしてくれます。
Gemini Teammate:組織変更や特定の商談チームのチャットスペースに急遽参画することがあるかもしれません。その際に、AIアシスタントに自分に対しての期待、タスクを確認することが可能です。業務を素早く、正確に遂行できる可能性を高めます。

よりスマートな未来に向けて

 今号ではGoogle Cloud Next’25で発表されたさまざまな機能を取り上げました。Google Workspace Flows は、Google Workspace の各アプリの親和性をさらに高め、日々の業務における自動化とデータ連携をよりスムーズにしてくれます。

 また、Google スプレッドシート に搭載されるAI関数や Help me analyze は、ITスキルの高くない社員をサポートし、高度な業務の実現を可能にします。組織全体で実現できることが大きく広がり、より効率的に賢く働けるようになるでしょう。今後も Google Workspace の進化にぜひご期待ください。


Google Cloud および Google Cloud 製品・サービス名称は Google LLC の商標です。