新たな時代を切り拓く
DynabookのCopilot+ PC
Dynabookの14インチノートPC「dynabook XP9」は、同社初のCopilot+ PCだ。Windows 11に搭載されたAI性能だけではなく、Dynabook独自のAI機能も備えているため、ローカル環境でのAI利用もサポートする。1kgを切る軽さと、どこへでも安心して持ち出せる強靭さを併せ持つdynabook XP9。Dynabookのプレミアムモバイルノートとして、最先端の性能を惜しみなく投入した1台となっている。
text by 森村恵一
Dynabook独自のAI機能を搭載
世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」が発表されたのは1989年。あれから36年、Dynabookは常に時代の最先端を切り拓くノートPCを発表してきた。今回レビューする「dynabook XP9」は、マイクロソフトが定義するCopilot+ PCの仕様に準拠し、Windows 11のAI性能を十二分に引き出す製品になっている。
CPUには「インテル Core Ultra 7 プロセッサー 258V」を採用。手書きのラフスケッチから画像の生成が行える「コクリエーター」、出力されている音声のリアルタイム翻訳が可能な「ライブ キャプション」、PCで見たコンテンツを過去にさかのぼって検索できる「リコール」(プレビュー版)といったWindows 11に標準搭載のAI機能が利用可能だ。
これらに加えて、Dynabook独自のAI機能も四つ備えている。まず一つ目は、文章の翻訳や要約が行える「dynabook AI アシスタント」だ。この機能はPCローカル環境で使用できる。翻訳・要約のほかにも、AIが作成したバーチャルキャラクターとの会話や、PC操作についての質問もチャット形式で実行可能だ。二つ目は、バッテリーセーブ機能をオンライン通話向けに最適化する「AIパワーオプティマイズ」だ。AIがオンライン通話アプリの起動を検出して最適化を行うので、外出先でもバッテリーの心配をせずにWeb会議ができる。三つ目は、PC利用者以外の人物が後ろから画面をのぞき込んだ際に、AIが検知してPC利用者に警告する「AIプライバシーアシスト」だ。利用者が画面を表示したまま席を離れてしまった場合は、AIが自動的にスリープモードにしてくれる。四つ目は、ハンドサインでアプリを操作可能な「AIハンドコントロール」だ。異なるハンドサインをAIが判別し、キーボードやマウスに触れずに、動画の再生や停止、プレゼン資料のページ送りなどが行える。

(左)国内マーケティング本部 国内商品企画部 部長 原田健史 氏
(右)商品統括部 グローバル商品開発部 部長 鈴木進吾 氏
ユーザー自身でバッテリー交換可能
Dynabook 国内マーケティング本部 国内商品企画部 部長 原田健史氏は、dynabook XP9誕生の経緯を次のように話す。「昨今、AI機能が強化されたPCの需要が高まる予測が出てきています。我々も市場の期待に応えるために、Dynabook第一号のCopilot+ PCとなるdynabook XP9を開発しました。AI時代をけん引するモバイルノートPCであり、ビジネスだけでなく日常生活でも使える製品になることを目指しています」
dynabook XP9は、インターフェースにUSB Type-C(USB Power Delivery対応)×2、USB Type-A×2、HDMI、有線LAN、マイク入力/ヘッドホン出力端子、microSDカードスロットを搭載する。ビジネスでの利用を考えると、充実したポート設計になっている。さらにバッテリーカバーのねじを2カ所外すだけで、簡単にバッテリーを交換できる「セルフ交換バッテリー」の設計も秀逸だ。ビジネス向けPCは、3〜5年は使い続けられる。しかしバッテリーの性能は、その途中で劣化する。劣化したバッテリーの交換のためにノートPCを修理に出すと、修理期間中はビジネスが止まってしまう。そうした課題を、セルフ交換バッテリーは解決してくれるのだ。


LCMを代行するサービスも用意
dynabook XP9をはじめとしたDynabookのノートPCをビジネスに導入するメリットとしてDynabook 商品統括部 グローバル商品開発部 部長 鈴木進吾氏は、同社が提供するアウトソーシングサービス「LCM運用サービス」に触れる。「LCM運用サービスは、当社がお客さまのPCライフサイクルを代行します。PCメーカーならではの知見や豊富なキッティング実績を基に、マスターイメージ作成の効率化や業務内容に見合うモデル機種の提案、最適な調達・導入タイミングのアドバイスも行っています」
dynabook XP9は4月中旬から発売を開始したため、どのようなビジネスニーズに広がっているのかは、まだ情報が集まってはいない。しかし、当面は迅速な意思決定が求められる経営幹部や、クリエイティブな作業を行うビジネスパーソンを中心に需要が拡大すると考えられる。軽くてパワフルなだけでなく、約15時間(動画再生時)という長時間のバッテリー駆動が可能なdynabook XP9は、この1台で十分にCopilot+ PCとしての性能を発揮してくれる。数年先の当たり前を先取るdynabook XP9は、まさにDynabookならではの先進性を盛り込んでいる。