活用支援サービス

AIが人のバディになるWith AI時代に向けて
AIイネーブルメント実現を包括的に支援する

生成AI・AIエージェントの法人活用を支援するギブリーは、創業当初から「Give&Give」を社員の土台となるDNAとして掲げ、自分が受け取る以上に他人に与え続ける姿勢や精神を重視している。そうした姿勢は生成AIの活用支援を行う同社のオペレーションDX支援サービスにも密接に関わっている。企業の生成AI活用に“伴走”による生成AI活用支援を行う同社の取り組みを見ていこう。

組織的な生成AI活用に向けた
四つのイシューとは

ギブリー 山川雄志
ギブリー
山川雄志

 ギブリーの取締役 CAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)を務める山川雄志氏は、2023年に業界に先駆けて法人向け生成AIチャットツール「法人GAI」をリリースするなど、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)におけるAI活用を推進してきた人物だ。現在は、AIエージェント構築プラットフォーム「MANA」をはじめ、CAIOとしてAIイネーブルメント推進に取り組むほか、自らも多数の法人への導入・活用支援を行っている。

 山川氏は「当社では『AIイネーブルメント』という概念を提唱しています。AIイネーブルメントとは、企業がAIを効果的に活用し、人とAIが主体的に協働する環境を整えるための総合的な取り組みを指しており、当社ではこのAIイネーブルメント実現に向けて、組織的な活用の支援を行っています」と語る。山川氏はこのAIイネーブルメントに関する著書「AIイネーブルメント AIエージェントと人間で協創するWith AI時代」も手がけており、この新しい概念を広めるべく活動を進めている。

 企業がAIイネーブルメントへの取り組みが必要な背景に、企業における生成AIの活用率がある。「ChatGPTが登場してから2年が経過した現在、企業の生成AI利用率を見てみると、生成AIを導入した企業の平均的利用率が全体の10%、よく使う企業で30%、大きく活用が進んでいる企業で50%程度という状況です。生成AIの推論能力は日々向上している一方で、組織の中でその利用率を向上させていくためには、企業の組織体制を大きく転換していく必要があり、これらをAIイネーブルメントと呼んでいます」と山川氏は語る。

 それではこのAIイネーブルメント実現に向けて、企業はどういった事柄に取り組む必要があるのだろうか。山川氏は四つのイシューを挙げた。

 一つ目が「戦略の設計」だ。ここ数年を見ても、AIは非常に進化のスピードが速い技術だ。そのAIをどのように中期経営計画をはじめ、人材戦略や組織戦略に組み込んでいくのかといったことは非常に重要視される。

 二つ目は「組織変革」だ。ビジネスにおいてAIを有効に活用していくためには、それらを活用するための人材の育成や組織体制の変革が重要になる。「一口に人材の育成といっても、プロンプトの作り方に限らず、自分の業務のどこにAIを活用できるのかを考えるBPR(Business Process Reengineering)の能力の育成も今後必要になるでしょう。また教えるだけでは使えるようにはならないため、組織の中でアンバサダーやエバンジェリストのような人材を育て、その人たちが組織内でAI活用を横展開していくようなアンバサダー制度や、AI活用の拡大に寄与した人を評価する制度の策定をしていくことも必要です」と山川氏は指摘する。

 三つ目が「業務変革」だ。AIを活用するに当たっては、これまで人が行っていた業務のどの箇所をAIが代替していくかといった見直しが必要になる。一方で、企業の業務はこれまで人に最適化されたワークフローで行われており、ただそこにAIを入れ込んだだけではスムーズな業務が行えない可能性が高い。組織的にAIを活用していくためには、AIフレンドリーなワークフローに再構築していく業務変革が求められるのだ。

 四つ目が「技術基盤」だ。どのようなLLMを使うか、RAG(検索拡張生成)を用いてどのように社内データと連係をしていくかといった技術的な要素の検討を、セキュリティ面も踏まえて進めていく必要ある。

生成AIの四つの導入フェーズを
包括的に支援するサービス

 ギブリーでは、これらの四項目に対して、包括的に生成AI活用の支援を行っている。山川氏は「それぞれのポイントで『検討』『導入』『利活用』『変革・事業創出』といったフェーズがありますが、当社はこの全てに対して支援を行えるカバレッジがあります。例えば人材育成を行いたいという要望があった場合、eラーニングや研修、学習管理システムなどの提供が可能ですし、技術基盤の導入が必要な場合は、当社のAIエキスパートが200人以上所属している『Givery AI Lab』が、AI導入を伴走型で支援します」と支援の例を述べる。同社はこのようなAI×業務改革支援のサービスを包括する事業ブランド「MANA(マナ)」を2023年10月24日に立ち上げている。本事業の中では生成AIのプロダクトを提供するほか、前述したような企業における生成AI活用の戦略策定から活用促進をワンストップで支援する「プロフェッショナルサービス」を提供し、企業のAIイネーブルメントへの取り組みを支援している。

 例えばプロフェッショナルサービスにおける「Givery AI トレーニング&アセスメント」では、企業のAI活用状況や従業員のAIリテラシーに合わせて、アセスメントやeラーニング、研修・ワークショップなどを組み合わせた最適な生成AI人材育成プログラムを提供している。「直近2年間はオンサイトでの研修が多くありました。先行して生成AIを導入している企業も全社員一斉に生成AIを導入するというよりは、一部の従業員に限定して導入し、成果が出ると分かった現在、全社的に導入を拡大する動きが広まりつつあります。そのため現在は全従業員に対して生成AI活用に向けたeラーニングコンテンツを導入する動きが増えています。当社のeラーニングコンテンツは生成AIツールの使い方を教えるというよりは、実務で生成AIツールがどう使えるかにフォーカスしたコンテンツが多くあり、実務に応用しやすいのが特長です。今後は、営業やマーケティングなど、職種にフォーカスした実務支援型のeラーニングコンテンツの拡充を進めていきたいと考えています」と山川氏は語る。

MANA Studio
ギブリーが提供する生成AI活用プラットフォーム 「MANA Studio」。複数のAIエージェントが連携し合う独自のシステムアーキテクチャーを構築しており、業務アプリケーションやデータベースと連携可能な拡張性も備えている。上記キャプチャーはその第一弾となる「MANA AI Chat」で、マルチLLMに対応し会話の文脈を引き継ぎながらスムーズな操作体験を提供する。

Use AIの時代から
With AIの時代へ

 こうしたeラーニングコンテンツが求められている背景には、いずれの企業も生成AIを実務で活用していくポイントが分からないという課題を抱えていることが挙げられる。チャットインターフェースで生成AIをアシスタント的に使う用途にとどまり、それ以上の活用に広がっていかないのだ。

 山川氏は「まずはリスキリング的なアプローチからAIについて学び、AIが得意な業務領域を理解してもらうことが重要です。しかし、学習者の主体性に左右されるこのアプローチには限界があります。そこでアーキテクト的なアプローチが求められます。例えば現在の生成AIはユーザーがプロンプトを記述する能動性が必要ですが、会議エージェントのような存在が会議を要約し、会議後に関係者に自動で内容を共有するようなサポートを行ってくれれば、ユーザー側はAIを使うという意識をしなくても業務活用が広がっていくでしょう」と語る。このような能動的で自律的なAIエージェントは、企業の生産性向上やコスト削減、競争力強化を実現する一方で、これまでの仕事の在り方を一変させる可能性を秘めており、そういった未来に向けての投資を進めていく必要性を山川氏は指摘した。

「これまでは人が生成AIにプロンプトを与えることでアシストしてもらうUse AIの時代でしたが、2025年からはAIが自律的に動くAIエージェントが人の右腕として伴走してくれるWith AIの時代になります。当社ではこのAIエージェントを“バディ”と呼んでおり、このバディを簡単に作れる生成AI活用プラットフォーム『MANA Studio』の提供も行っています。このプラットフォームでは簡単に自分たちの会社専用のAIバディ(AIエージェント)を作成して、業務の中で活用できます。まだまだAIエージェントの導入が進んでいない企業さまはMANA Studioの活用からスタートしていただき、そこから業務にコミットしたAIを活用したい場合は、当社のプロフェッショナルサービスをご利用いただくことで、AI活用のあらゆるフェーズで伴走できます。AIで困ったことがあれば、是非ギブリーを思い出してもらえればうれしいですね」と山川氏はメッセージを送った。

タレントマネジメント

従業員一人ひとりのスキルを一元管理
戦略的なタレントマネジメントを実現

従業員一人ひとりの知識、経験、資格、能力といった「スキル」は企業の成長とビジネスの成功に不可欠な要素だ。しかし、スキルは目に見えない部分が多く、把握しきれていないなどの課題を抱える企業は少なくない。昨今では、生成AIを筆頭とするテクノロジーの発展に伴って、従業員が保有するスキルは今まで以上に多様化している。こうした時代の中で、スキル管理をはじめ、タレントマネジメントに関する課題をどのように解決していけば良いのか。「“はたらく”にテクノロジーを実装し個の力から社会の仕様を変える」というパーパスの下、タレントマネジメント市場をけん引するカオナビに話を伺った。

スキルや習熟レベルに大きな差
情報の可視化で支援体制を整える

 企業において生成AIに対する関心が高まる中、実際にビジネスで活用していくためには、生成AIに関連する経験やスキルを持つ人材が不可欠だ。こうした人材を育成していくために重要となるのが、従業員のスキル管理である。「生成AIはここ1、2年で当たり前のように使われるようになりました。その一方で、従業員によってスキルや習熟レベルにかなりの差が生じていることが課題として浮き彫りとなっています。従業員一人ひとりの練度の差を埋めるには、個々のレベルに合わせたスキルアップ支援を行うなど、企業側でさまざまな取り組みを進める必要があるでしょう。そのためには、従業員のスキルを一元管理して、情報を可視化できる環境を整えておくことが大切です」と話すのはカオナビ AI Operation準備室 室長 藤田泰生氏だ。

 企業が抱えているのは、スキル管理に関する課題だけではない。タレントマネジメントに関する課題は多岐にわたるのだ。「タレントマネジメントの体制が整っていない場合、企業規模が拡大するにつれて、『従業員の顔と名前が一致しない』『社内にどのような人物が在籍しているのか分からない』といった問題が生じやすくなります。また、『スキルや能力に合わせた人材配置ができていない』『紙やExcelでの煩わしい評価業務の運用を改善したい』などの経営判断や人事戦略、業務の生産性向上に関わるさまざまな問題も挙げられます」(藤田氏)

生成AIが人材データを要約
従業員の強みと弱みを即座に把握

 こうした課題を解決するのが、従業員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステムの「カオナビ」だ。

 カオナビは、企業の人材情報をクラウド上で一元管理し、従業員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を可視化することで、最適な人材配置やリスキリング推進といった戦略的なタレントマネジメント業務を実現する。単なるスキルや経歴だけではなく、従業員のキャラクターやモチベーションまでを含めた総合的な人材データベースを構築することが可能だ。従業員の顔写真とともに人材情報を管理できるため、視覚的にも情報を把握しやすい。

 カオナビは、人材データの一元管理、スキル管理・人材育成、評価運用、人材配置・要員シミュレーション、経営の意思決定支援、人事業務の効率化などタレントマネジメントにおける幅広い用途に対応した機能を提供している。

 こうした豊富な機能の中で、スキル管理に特化しているのが「アビリティマネージャー」だ。アビリティマネージャーは、職種や職務レベルに応じたスキル項目の設定から、スキルの収集、可視化までをワンストップでサポートする。業界ごとの一般的なスキル定義のほか、厚生労働省の「職業能力評価シート」やIPAの「デジタルスキル標準」などのスキル標準に合わせた200種類以上のテンプレートを搭載しており、スキル管理を容易に始められる。「AIのスキルに関連する項目を設定すれば、AI人材に必要なスキルや知識を持つ従業員を体系的に整理できるでしょう。スキルの可視化によって、従業員個人の強みと弱みを正確に把握することで、個々のレベルに合わせた人材育成にもつなげられます。また、マトリクス分析や組織ごとのスキル分布の可視化で、抜てき人事や配置検討といった人事評価も的確に行えます。詳細検索で要件に合った人材を探すことも可能です」と藤田氏は説明する。

 カオナビには、生成AIを活用した機能も搭載されている。それが、AIで従業員の声を分析する「インサイトファインダー」だ。インサイトファインダーは、アンケートなどを通じて集約した従業員の声を、分解・整理・可視化することで、要点の把握や傾向の分析を助ける機能である。分析したいシートを選択すると、単語の頻出度に応じて視覚的な強調やランキングが表示されるほか、感情別の要約もワンクリックで行える。膨大な情報を短時間で整理し、重要なインサイト(潜在的な本音)を迅速に抽出することが可能だ。

 人材データベースの「プロファイルブック」にも、データを生成AIで要約できる機能が備えられている。「プロファイルブックにはスキル、評価、実績、性格、エンゲージメントといった従業員の情報や評価・面談の履歴などのシートが集約されています。シート内にある『AIで内容を要約』ボタンをクリックして対象となる項目を選択すると、入力されたテキスト内容の要約が行えます。従業員を理解する上で必要な情報を、人事やマネージャーが効率的に把握できるだけではなく、従業員が自身の解像度を高める手段としても活用可能です」(藤田氏)

カオナビのUI画面。
カオナビのUI画面。従業員の顔写真とともに人材情報を管理できるため、視覚的にも情報を把握しやすい。

導入企業の85%以上が登録
企業同士が学び合える場を提供

藤田泰生
カオナビ
藤田泰生

 タレントマネジメントシステムを利用するに当たって、従業員の個人情報や評価情報などの企業の機密情報を登録することに、セキュリティリスクの懸念を示す企業は少なくない。カオナビは、2段階認証、IPアドレス制限、パスワード強度設定、アクセス管理、SSL/TLS暗号化通信、システム基盤の冗長化構成、日次バックアップなどの万全なセキュリティ対策が講じられている。内閣官房・総務省・経済産業省が所管して発足した政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」の認証も取得している。セキュリティリスクを心配することなく、安心してサービスを利用できるだろう。

 カオナビの導入企業数は4,000社(2024年12月末時点)を突破している。多くの企業で導入されている理由は、豊富な機能に加え、誰でも直感的に使えてカスタマイズも自在に行えるユーザーフレンドリーなシステムであることや利用者に対するユーザーコミュニティ「カオナビキャンパス」が充実していることなどが挙げられる。

 カオナビキャンパスは、人事担当者や責任者がオンライン/オフラインで学び合える場だ。カオナビを利用する企業の85%以上が登録しているという。「カオナビキャンパスでは、タレントマネジメントの始め方から具体的な実践方法まで学べます。年間100回以上にわたるセミナーやユーザー会を開催しているほか、コンテンツ豊富なユーザー専用サイトを運営しています。また、カオナビキャンパスは、学びを得るだけではなく、互いに鼓舞し合いキャリアを考える場としても、活用していただけます。カオナビは導入したら終わりではなく、当社のサポートはもちろんのこと、カオナビキャンパスを通じた支援体制によって、戦略的なタレントマネジメントを継続して行っていける製品です」と藤田氏はアピールする。

 最後に藤田氏は、今後の展望について「カオナビはお客さまから寄せられるさまざまな要望を製品開発に生かしており、これからもそうしたニーズに応えながら機能強化を続けていきます。加えて、生成AIを活用した機能の提供なども積極的に行っていきたいと考えています」と語った。