【テーマ】作業を効率化する周辺機器

静かなブームになっているノートPCスタンド

PCに向かっている時間が長い人は、少しでも快適に使って疲れを軽減したいところだ。そこで最近注目されているのがノートPCのスタンドだ。高さを調整することで画面が見やすく、タイピングしやすくなる。今回は据え置きタイプと持ち歩き可能なタイプの2製品を紹介する。

スタンドで目線を上げる

 1年ほど前まで、某専門学校で3年間ほど教鞭を執っていたのだが、その際に驚いたのが、学生の多くがノートPCスタンドを使っていたことだ。

 その学校では、ノートPCの利用がマストだったので、全員持ち込んで授業を受けていたのだが、半数ほどの学生がスタンドを使っているではないか。不思議に思ってヒアリングすると「見やすいから使っている」という回答であった。特に学校指定などではなく、また、ブームになっているわけでもないという。なんとなく使っている人が半数ほどいたのだ。

 確かに、長時間ノートPCを使っていると姿勢が結構厳しい。特に授業を受けていると、ノートPCの画面と正面のホワイトボードやプロジェクターの投影などを交互に見ることになる。視線の移動が多くなり、結構大変なので、スタンドを使いたくなるのもうなずける。

 PCを利用する環境としては、目線を10度の見下ろしにするのが適切といわれている。この角度には諸説あるのだが、どちらにしろ首を上げすぎていたり、下げすぎたりしていると疲れることは想像に難くない。自然な見下ろし程度が適切なのだ。

 そう考えると、ノートPCの画面は、本体の上に付いているのでかなり低い。特に画面が小さく、本体が薄型のモバイルノートPCはより低くなるわけだ。

TK-CLN30Uは、高さ調整の幅が広いのでモニターを高く掲げられる。

角度を付けて打ちやすく

 そこで、ノートPCスタンドが役立つ。画面の高さがかなり上がるので、目線が自然になるわけだ。

 今回紹介するサンワサプライの「TK-CLN 30U」は、机から約15センチまで上げられる。13〜16インチ程度のノートPCの画面を、28インチクラスのモニターと並べて使っても高さが違いすぎるという違和感がなくなる。もちろん、高さは調整可能なので、自分が見やすい高さにセットすればいい。

 TK-CLN30Uは、スタンド部分に回転機構が組み込まれているので、使う角度によって簡単に回せる。これも、ノートPC単体では難しいことだが、姿勢に合わせて回したり、人に説明する際に画面を見せたりするのに役立つ。

 TK-CLN30Uは、かなり高く調整できるので、本体は宙に浮くスタイルとなる。ノートPCのキーボードを打つにはあまり向いていない。できないということではなく、安定性を含めて個人的にはお勧めしないということだ。特に低めにセットすればタイピングも可能だが、外付けのキーボードを利用して組み合わせるのがマッチしていると思う。また、タブレットやモバイルモニターのスタンドとしても使いやすい。

 もう一つ紹介するエレコムの「PCA-LTSC ANSV」は、9段階の角度調整機能で、ノートPCのお尻の部分を上に上げられる。つまり、角度をつけるようなイメージだ。後端がせり上がるので、当然ながらディスプレイの高さも上がるわけだ。

 こちらのモデルは、手前部分はテーブルから1cm程度しか上がらず、どちらかというと角度をつける程度の使い方になる。画面を高くする効果もあるのだが、どちらかというとタイピングしやすい角度を維持するのに向いている。

 ノートPCのキーボードは、机と平行に近い製品が多い。人の手は少し角度がついていて手前下がりになっている方が自然にタイピングできる。もちろん、好みは人によるのだが、一般的には手前下がりのキーボードを打ちやすく感じる人が多いはずだ。

 そこで、一部のノートPCは天板を開くと、後端がせり上がる構造を採用している。VAIOなどが代表選手だ。同様に後端を上げられるのがPCA-LTSCANSVで、9段階まで高さ調整が可能。PC内蔵の機構よりも調整範囲が広いわけだ。

 PCA-LTSCANSVは、折りたたみ式なので、手軽に持ち歩ける。外出先での利用が多い時にもお薦めだ。価格も手ごろなので、気軽に導入できる。

ノートPCと大画面モニターを並べても違和感がない高さになる。
本体を回転する機構をベースのスタンドに内蔵する。
大型のファンを内蔵しており、PCのUSB端子に接続して使う。
PCA-LTSCANSVは、コンパクトな折りたたみ式なので持ち歩きにも向く。
角度は9段階で調整可能となっている。
後端部分を高くすることでキーボードに角度をつけて、画面もある程度高くできる。
キーボードを置いて角度調整をすることも可能だ。

冷却効果を見込む

 そもそも、ノートPCは吸排気を底面で行う製品が多い。一部のモデルは本体側面や後端から吸排気するケースもあるが、多くのモデルが、吸排気のどちらかは底面だ。

 スタンドで本体をテーブルから上げることで、冷却効果も若干ながら見込めるのだ。実際には、どのメーカーも普通に机の上に置いて使うことを想定して設計しているので、スタンドがなくても十分な冷却効果がある。ただ、個人的にテストをした経験から言うと、高い負荷がかかってファンが回りっぱなしになったようなケースではスタンドを使った方が多少有利になることもある。特に、PCが自分で吐き出した熱い排気を吸い込むと冷却性能は落ちる。スタンドで上げることで、空気が拡散してより冷えるわけだ。

 TK-CLN30Uは、スタンドの下部分にファンを内蔵しており、強制的に本体を冷却できる。こちらの方が高い効果が見込めるので、特にヘビーな作業をする人や、ファンレスのPCを使っている人にはお薦めだ。ただし、どこまで効果が感じられるのかは機種や普段行っている作業によって変わってくる。

 前記のようにTK-CLN30Uは、かなり高くなるのでモニタースタンドやタブレットスタンドとしても便利に使えるだろう。机の上に置いておけば、必要な時にデバイスを交換して使えるのがいい。角度調整ができるので、ノートPCとタブレットなどで、それぞれに合わせて調節可能だ。ただし、かなり固いので、気軽に変更する気にはならないだろう。駆動部分のネジが緩んできたら付属の六角レンチで再度固定しないと、角度が変わってしまうことがある。

 PCA-LTSCANSVは、そもそもの角度が低いので、タブレットやモニターのスタンドには向かない。だが、キーボードの角度調整には最適で、個人的には類似のモデルを机の上に据え置いて使っている。手前にパームレストを置くことでかなりタイピングの疲れが軽減できているのだ。こちらもぜひ試していただきたい。