月刊マイクロソフト - 日本マイクロソフト 仲西 和彦 氏

AIエージェント、エージェンティックAI、Copilot+ PCって何?

本連載では、日本マイクロソフトが取り組むビジネスや提供するソリューションにフォーカスし、今のビジネスにつながる旬な情報をお届けしている。近ごろはAIなどの新しいテクノロジーの登場によってビジネスを伸ばす機会が増えている一方で、新たなビジネスを理解することがとかく難しくなっている。
そこで今回より目の前にあるビジネスチャンスのモヤモヤをスッキリさせるスタイルにリニューアルする。本連載を担当するMOEKOさんが、あなたに代わって「いまさら聞けない」モヤモヤを解消する。リニューアル第一弾は生成AIが日常に浸透する中、次なる革新として注目されている「AIエージェント」や「エージェンティックAI」、そして「ローカルAI」を取り上げ、その違いを説明する。

生成AIとAIエージェントって
どう違うんですか?

日本マイクロソフト 仲西和彦 氏
マイクロソフトでは最近、「エージェンティックWeb」を提唱しています。

教えてくれる人
日本マイクロソフト
デバイスパートナー
セールス事業本部
Commercial Windows
戦略部長
仲西和彦 さん

MOEKO●最近、生成AIって言葉はよく聞くんですけど、「AIエージェント」っていうのも出てきて何が違うのかよく分からなくて…。

仲西さん●MOEKOさんはChatGPTやMicrosoft Copilotのような生成AIチャットは使ったことありますよね? あれはMOEKOさんが知りたいことを聞くと、専門家並みの知識を動員して回答してくれますよね。でもあくまで都度ごとにユーザーに何をしたらいいのか指示を求め、自律的に一連の作業を完了することはありません。一方AIエージェントは作業の指示を受けると、その作業に必要なプロセスをエージェントが決定して自律的に実行してくれるんです。

MOEKO●なるほど、生成AIは都度人間の指示を必要としてるけど、AIエージェントは自律的に作業してくれるのですね。あと、最近「エージェンティックAI」っていう言葉も出てきて、さらに混乱しています……。

仲西さん●混乱するのも当然です。AIエージェントとエージェンティックAIの境界線はまだ曖昧です。マイクロソフトではエージェンティックAIはユーザーの目的にふさわしい結果を出力するために、より自律的で、より広範囲のアクションができるAIだと説明しています。マイクロソフトは最近「エージェンティックWeb」という概念を提唱していますが、これは異なる機能を持った複数のAIエージェントがクラウド上で連携して一つのチームのように複雑な作業を自律的に行うというコンセプトです。ちょっと乱暴な比較ですが、大工さんが一軒家を建てるのと、ゼネコンがタワマンを造るようなイメージですかね。

MOEKO●それって、まるでチームワークみたいですね。質問ばかりで恐縮なんですが、最近「ローカルAI」という言葉も聞きます。AIはクラウドで使うものだと思っていますが、ローカルっていうことはクラウドではなく手元のPCでAIが使えるということですか。

仲西さん●その通りです。インターネットの向こう側で動くAIはクラウドAIという仕組みです。一方のローカルAIは、あなたのPCの中でAIが動く仕組みです。
MOEKO●PCの中でAIが動くと何が良いんですか。

仲西さん●まずインターネットがなくても使えること。そしてPC上のあなたの個人情報や会社の機密情報を、あなたのPC上で直接AIに使わせることができるので、より安心と感じる人もいるでしょう。

MOEKO●でも、なぜ今になってローカルAIが使えるようになったんですか。

仲西さん●それはPCの性能がすごく上がったからです。AI処理に優れるPCには「NPU」と呼ばれるAI処理専用の頭脳(半導体)が入っていて、AIの処理を高速かつ省エネでこなせるようになったんです。特にローカルAIの利用においては、より快適かつ安全に利用できるCopilot+ PCが注目されています。

AIをうまく使うには
コツがあるって本当ですか?

教えてもらう人 MOEKO
複数のAIエージェントが連携して作業するなんて、まるでチームワークみたいですね!

教えてもらう人
MOEKOさん
ダイワボウ情報システム(DIS)のパートナー企業に勤める入社2年目の営業職。顧客の課題に親身になって向き合う姿勢が評価されている伸び盛りの若手社員。次々と出てくる新しいテクノロジーの理解に苦戦している。

MOEKO●そのCopilot+ PCって、簡単に言うとどんなことができるようになったのですか。

仲西さん●一言で言えば「AIがPCの中で動くように作られた新世代のWindows PC」です。Copilot+ PCを使えば、あなたが昔作った報告書を探すときに、ファイル名や格納したフォルダー名を完全に忘れてしまっていても、その報告書の特徴、例えば「長崎駅の写真が貼ってある、イベントの報告」というと、きっと去年のDISわぁるど in 長崎の報告書を見つけてきてくれますよ。

MOEKO●すごい、それって私の仕事内容をちゃんと見てくれているってことですよね。

仲西さん●その通りです。でも、うまく使いこなすにはMOEKOさんがAIをうまくリードしてあげる必要があります。

MOEKO●え? AIはソフトウェアというか機械ですよね。リードするってどういうことですか。

仲西さん●AIに対する指示の仕方です。AIがちゃんと働けるように、MOEKOさんがAIに期待している作業結果をきちんと伝えて、その作業に必要となる手がかりを渡してあげることです。さっきの例で言うと、報告書を見つけることが結果で、「長崎駅の写真が貼ってある」というのが手がかりになります。これって人に仕事を頼むときと同じですよね。

今からCopilot+ PCを導入する
メリットってありますか?

仲西さん●もちろんあります。今から使い始めることで、AIも道具ですから、道具の使い方を覚える一番の方法は使ってみることです。将来的にAIがもっと進化したときに、もっと活用できるようになります。早く始めた人ほど、仕事の効率がぐっと上がりますよ。

 今年5月に開催したマイクロソフトの 開発者コミュニティ向け年次イベント「Microsoft Build 2025」では「Windows AI Foundry」という、Windows上でAIアプリケーションやAIエージェントを構築・最適化・実行・配布するための統合開発基盤が発表されました。

 Windows AI Foundryによってクラウド上だけでなく、Windows PC上でもAIアプリケーションの開発・利用がしやすくなり、またAIエージェントもほかのAIやツール、システムと連携しやくなり、ローカルで動作するエージェントも増えてくるでしょう。この変化はすぐに訪れます。そのときにAIが快適に動作しないPCでは困りますよね。PCを導入すると3年は使い続けますから、今からCopilot+ PCを導入すべきなんです。

MOEKO●今日のお話、とても勉強になりました。仲西さん、私のエージェントになってください。ありがとうございました。

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