
「Windows 11には Copilot というAIが標準搭載されているらしいけれど、何ができるの?」「業務効率化に使えるなら試してみたいけど、どう活用したらよいかよくわからない」と感じたことはありませんか?
Microsoft Copilot は、チャット形式で質問や指示ができるAIアシスタントで、情報収集から文書生成、画像生成といった幅広く業務で活用できる機能を備えています。特に Windows 11 では、追加でアプリなどをインストールすることなく、デスクトップ上ですぐに使い始められる点が大きな魅力です。
とはいえ、無料でどこまで使えるのか、どのように業務に活用できるのかなど、具体的な使い道が見えず、社内での導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Windows 11 に標準搭載されているCopilot の活用メリットや、具体的な活用方法などをわかりやすくご紹介します。Copilot を活用して業務効率を高めたいと考えている企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、本記事では 2025 年 6 月時点の情報を掲載しています。
Windows 11 は Copilot が標準搭載されている
2025 年 6 月現在では、新たに Windows 11 の PC を購入したり、OS を最新バージョンへアップデートしたりすると、標準搭載のアプリとして Copilot が使用できます。Copilot が利用できるのは、以下の現在 Microsoft でサポートしている OS のバージョンです。
- Windows 10 Home and Pro バージョン 22H2(2025 年 10 月 14 日サポート終了)
- Windows 11 Home and Pro バージョン 23H2(2025 年 11 月 11 日サポート終了)
- Windows 11 Home and Pro バージョン 24H2(2026 年 10 月 13 日サポート終了)
参照:Windows 10 Home and Pro|Microsoft
参照:Windows 11 Home and Pro|Microsoft
Windows10や11に標準搭載されている Copilot では、チャットを介したメッセージのやり取りや情報検索、画像生成などが行えます。利用時にはインターネットへの接続が必要なため、オフライン環境では使用できない点に注意が必要です。
Windows 11 に標準搭載の Copilot でできることは、「Windows 11 の Copilot でできること」で詳しくご紹介します。
Windows 11 のデスクトップ上で使用できる Copilot とは
Windows 11 に標準搭載の Copilot は、デスクトップアプリとして提供されており、起動すると以下のようなウィンドウが開きます。

ウィンドウの大きさは自由に変更でき、「Copilot にメッセージしてください」と書かれているテキストボックスに質問やプロンプト(指示文)を入力すると、やり取りを始められます。なお、Microsoft アカウントにログインのうえ利用すると、画面左側にチャット履歴が表示されます。
2024 年の更新プログラム「KB5040442」の提供前は、「Copilot in Windows」として、タスクバーの右端に Copilot のアプリが配置されていましたが、「KB5040442」の提供以降は、通常のデスクトップアプリと同じ仕様となり、タスクバーの任意の位置に配置したり、ピン留めで固定したりできるようになりました。

Windows 11 の Copilot の特長
上記では、Windows 11 に標準搭載されている Copilot の概要をご紹介しました。Windows 11 標準搭載の Copilot は、無料で利用できたり、ウィンドウを最前面に固定しながらやり取りができたりするなどさまざまな特長があります。具体的には、次のとおりです。
無料で利用できる
Windows 11 に標準搭載の Copilot は、無料で利用できます。Copilot の中には、「Copilot Pro」や「Microsoft 365 Copilot 」といった有料版がありますが、標準搭載されている Copilot は使用時に料金は必要なく、インターネットに接続できていれば誰でも無料で活用できます。
有料版の Copilot を使用することで、Microsoft Word や Excel、PowerPoint などの Office 製品と連携できるようになりますが、基本的なチャットでのやり取りや文章生成、画像生成などは標準搭載の Copilot でも行えるため、業務上あまりOffice製品を使用しない場合は、標準搭載の Copilot でも十分に活用できます。
なお、Windows 11 に標準搭載の Copilot は、Microsoftアカウントにログインせずに使用すると、ファイルのアップロードなど一部の機能が制限されるため、注意が必要です。
ウィンドウを最前面に固定できる
Windows 11標準搭載のCopilot は、「クイック分類」を適用させることでアプリのウィンドウを最前面に固定できます。
クイック分類は、Copilot を開き、画面上部の「クイック分類を開く」をクリックすると適用され、ウィンドウが縮小されます。

クイック分類で縮小されたウィンドウは以下のように画面の端に小さく表示させられるようになるため、ほかのブラウザやアプリなどを開いて作業を進めながら、Copilot に質問や指示を出せるようになり、作業効率化が期待できます。
なお、Copilot には Microsoft の標準ブラウザである Microsoft Edge にも標準搭載されており、Edge のサイドバーから起動できます。
Edge の Copilot では、Edge で表示中のページの要約や、ページ上で選択した箇所の検索など作業に役立つ機能がそろっていますが、Edge 上でしか動作しない点に注意が必要です。
「普段はほかのブラウザを使用しており、Copilot を使うためにEdgeを別で起動するのが面倒に感じる」「ほかのブラウザに登録したブックマークや拡張機能を使いながら Copilot も活用したい」といった場合は、Windows 11 標準搭載の Copilot が便利でしょう。
Edge の Copilot でできることや詳しい使い方は以下の記事でご紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
Microsoft Edge での Copilot の使い方は?主な機能や起動方法を紹介
Copilot + PC でさらに活用の幅を広げられる
Microsoft では、Copilot をより活用できる「Copilot + PC」を提供しています。Copilot + PC は、AIでの高速処理を快適に行える高性能の NPU を搭載しており、スペックの高さを生かした独自の Copilot の機能も利用できます。
例えば、Windows のエクスプローラー内のファイルを検索する際に、「バーベキュー大会」など、ファイル名と関係のない情報で検索したとしても、AI が入力された情報から写真を選び、該当する写真をピックアップできます。
ほかにも、Bing での画像検索におけるヘルプの提案や、フォトでの背景ぼかし、オブジェクト消去、テキストの要約、メールの送信といったさまざまなアクションをクイックアクションの候補として提案する「Click to Do」といった機能も搭載されています。
業務で Copilot を積極的に活用したい方や、Copilot の機能を生かしてさらに作業効率を高めたいといった方は、Copilot + PC の導入もおすすめです。
Copilot + PCの製品を詳しく見る
Copilot + PC の機能の詳細は、以下の Microsoft のブログをご確認ください。
参照:New experiences coming to Copilot + PCs and Windows 11|Microsoft
参照:Copilot + PC と Windows 11 の新しい体験|Microsoft
Windows 11 の Copilot でできること
ここまで Windows 11 標準搭載の Copilot の特長をご紹介しました。では、具体的に Windows 11 の Copilot ではどのような作業が行えるのでしょうか。ここからは、Windows 11 の Copilot でできることをご紹介します。
チャットを使った情報検索や会話
Windows 11 標準搭載の Copilot では、チャットを使った情報検索や会話ができます。

上記のような簡単な質問はもちろん、「〇〇をするための Excel の関数を教えてほしい」「〇〇をするための Javascript コードを教えてほしい」など、関数やコード生成に関する質問も可能です。

業務で Excel やプログラミング言語を扱う必要があるものの、操作に不慣れな場合や、自力で調べてもうまくいかないといった場合には、Copilot を活用することで素早く解決できるでしょう。
なお、Copilot では、「『〇〇〇〇』という関数を作成したが、うまくいかなかった。関数を正しい内容に修正してほしい」など、既存の関数やコードを読み取ってもらい、修正することも可能です。
メールの下書き作成
Copilot では、メールの下書き作成ができます。以下のように、作成したいメールの内容をプロンプトに含めることで、内容に基づいたメールを作成してもらえます。

なお、「もっとカジュアルな文体にしてほしい」「もっと丁寧な文体にしてほしい」「この内容を追加してほしい」など追加での指示も可能です。このように、Copilot にメールの下書きを作成してもらうことで、メール作成にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。
ブログ記事や SNS 投稿文などの文書作成
Copilot では、ブログ記事や SNS 投稿文といった長文の文書作成も可能です。作成したい記事などの内容を記載することで、内容に沿った文章を作成してもらえます。

また、Copilot が生成した文章の中には、「1」「2」といったように数字のマークが添付されていることがあります。これは Copilot が Web 上の情報を参考にした際に表示されるもので、数字のマークをクリックすることで参照元のページを確認できます。
Copilot は本格的な記事や SNS 投稿文、レポート、資料などの生成が可能なものの、記載されている情報は 100 % 正しいとは限りません。そのため、すべての内容をうのみにせず、必ず参照元のページなどを見ながら生成された文章に誤りがないかを確かめましょう。
文章の要約・翻訳
Windows 11 の Copilot では、文章の要約や翻訳が可能です。例えば、以下のように Microsoft のブログの文章を Copilot に読み込ませると、瞬時に翻訳した文章を生成してもらえます。
これにより、長文の資料やメール、記事、外国語で書かれた文書などを素早く読みたいときも、Copilot に要約・翻訳してもらうことですぐに内容を把握できるようになります。
なお、Copilot で要約や翻訳を行ってもらう際は、該当のテキストをチャット画面に貼り付ける必要がありますが、文章量が多い場合は一度のチャットですべてを読み込めないことがあるため、小分けにして送るなどの工夫が必要です。このとき、該当の文章が Word や PDF、PowerPoint などの形式の場合は、ファイルをアップロードすることでより多くの文章を読み取ってもらえます。
ファイルのアップロード
Microsoft アカウントにログインして Windows 11 の Copilot を使用することで、ファイルのアップロードが可能です。ファイルをアップロードすることで、より多くの文章を要約・翻訳できるようになったり、アップロードしたファイルの内容に関する質問ができたりするなど、活用の幅を広げられます。
Copilot にアップロードできるファイル形式は、2025 年 6 月時点では以下のとおりです。
- 書類: PDF、DOCX、XLSX、PPTX
- 画像: PNG、JPEG、PJP、JFIF
- テキスト・マークアップ:TXT、TEXT、JSON、CSV、MD
参照:Microsoft Copilot でのファイルのアップロード|Microsoft
なお、アップロードしたファイルは Copilot 上に30日間保存された後、自動的に削除されます。アップロードしたファイルの内容は Copilot の学習には使用されません。
スクリーンショットの読み込み
Windows 11 の Copilot では、チャット画面上からスクリーンショットを撮影し、そのまま撮影した画像を Copilot に読み込ませることが可能です。
チャット画面の「+」をクリックすると、「スクリーンショットを撮る」という項目があるため、クリックすることでスクリーンショットの撮影モードに切り替わります。

スクリーンショットの撮影が完了すると、以下のように撮影した画像がチャット画面上に添付されるため、プロンプトを添えることでスムーズにやり取りを進められるでしょう。

アップロードした画像の文字起こし
Windows 11 の Copilot では、アップロードした画像の文字を読み取り、文字起こしが行えます。例えば、以下のように「Copilot + PC これまでで最も速く、最もインテリジェントなWindows PC」という文字が書かれた画像をアップロードすると、以下のように読み取ってもらえます。
また、以下のようにある程度長文のテキストも文字に起こせるため、画像に書かれた文字をコピー&ペーストで引用したいときなどに活用しやすいでしょう。
なお、画像によってはすべての文章を文字に起こせず、要約した文章が生成されることもあるため、ご注意ください。
音声会話
Windows 11 の Copilot では、音声会話が可能です。チャット画面右端のマイクのボタンをクリックすることで、音声会話画面が起動します。

音声会話画面では、Copilot と実際に話しながらやり取りが行えるため、テキストの入力ができないときや、文章化しづらい話をしたいときなどに役立つでしょう。なお、実際に話した内容は、音声会話を終了した後にテキストとしても残るため、やり取りの記録を後から確認できます。

画像生成
Windows 11 の Copilot では、画像生成が行えます。例えば、「雨の日に窓の外を眺める猫のイラスト」「リアルなタッチではなく、かわいらしい雰囲気のイラスト」といった内容のプロンプトを送信すると、以下のようなイラストが生成されます。

Copilot での画像生成の具体的な方法などは、以下の記事でも詳しくご紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
Copilot は画像生成が可能!使い方や活用のコツを紹介
Windows 11 の Copilot の使い方
ここまで、Windows 11 に標準搭載されている Copilot の主な機能をご紹介しました。このような豊富な機能を持つ Copilot を実際に有効化して利用するには、以下の2つの使い方が挙げられます。
- Windows 11 を最新バージョンにアップデートする
- Microsoft Storeからダウンロードしてインストールする
Windows 11 で Copilot を利用するためには、Windows 11 バージョン 23H2以降のバージョンへのアップデートが必要です。なお、バージョン22H2以前のOSはすでにサポートが終了しているため、安全性の面からも早急にアップデートを進めるか、最新版のOSを搭載したPCへ買い替えることをおすすめします。
また、「過去に Copilot をアンインストールしてしまったけれど再度インストールしたい」といった場合は、Microsoft StoreのアプリまたはWebサイトからダウンロードし、再インストールが可能です。
参照:Copilot - Windows に無料でダウンロードしてインストールする|Microsoft Store
Windowsで Copilot を有効化する方法について詳しくは、以下の記事でご紹介しているためぜひご覧ください。
Windows 標準搭載の Copilot を有効化する方法や使用できないときの原因
Windows 11 の Copilot がうまく利用できないときに考えられる原因
上記では、Windows 11 の Copilot を有効化する方法をご紹介しましたが、「ファイルのアップロードができない」「動作が遅い」などうまく利用できないことがあります。このとき、以下のような原因が考えられます。
- Microsoft アカウントにログインしていない
- PC のスペックが不足している
Microsoft アカウントにログインしていない場合、ファイルのアップロードができなかったり、これまでのチャットの履歴が確認できなかったりするなど、一部の機能が制限されます。また、PC のスペックが不足している場合は、動作に支障が出ることがあります。
Copilot にログインしていない場合は、以下のような表示が出るため、ログインを済ませたうえで使用しましょう。

また、Microsoft から提示されている Windows 11 の最小要件とほぼ同等のスペックの場合は、Copilot をはじめさまざまな作業を行う際に動作が重くなるなど快適操作を進められない恐れがあるため、以下のページに記載の要件よりもある程度余裕を持ったスペックの PC を導入することをおすすめします。
参照:Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する|Microsoft
Windows 11 の Copilot に関するよくある質問
ここまで、Windows 11 の Copilot がうまく利用できないときに考えられる理由をご紹介しました。Windows 11 でデスクトップアプリの Copilot を利用するにあたって、「ブラウザでも使用できるのか?」「有料版を使ったほうがよいのか?」などさまざまな疑問が浮かぶこともあるでしょう。最後に、Windows 11 の Copilot に関するよくある質問をご紹介します。
Copilot はブラウザでも使用できる?
Copilot は、ブラウザでも使用できます。「Windows 11 の Copilot の特長」で挙げたEdgeに標準搭載されている Copilot のほかに、Web版として利用できる Copilot (https://copilot .microsoft.com/)があります。
Web版の Copilot では、Windows 11 標準搭載の Copilot と同様にチャットでのやり取りや画像生成、文章生成、ファイルのアップロード、音声会話などが行えるため基本的な機能は変わりませんが、会話相手のキャラクターを設定できる点が特長で、「ミカ」「アクア」「エリン」といったキャラクターとの会話が楽しめます。
Copilot を有料版にアップグレードするメリットは?
「Windows 11 の Copilot の特長」で触れたように、Copilot には個人向け有料プランのCopilot Proと、法人向け有料プランのMicrosoft 365 Copilot があります。
有料版の Copilot では、Word 上に Copilot を呼び出して文書の下書きを作成してもらったり、PowerPoint でプレゼンテーションの下書きを作成してもらったりなど、Office 製品との連携が可能で、文書や資料、メールの作成からデータ分析などあらゆる作業を効率化できます。
特に、Microsoft 365 Copilot は法人向けに設計されているため、Copilot に読み込んだ内容は学習データとして使用されず、企業の機密情報や個人情報を Copilot に入力してしまうことで生じる情報漏えいリスクを防げます。そのため、企業で Copilot を利用する際は、Microsoft 365 Copilot の利用もおすすめです。
参照:Microsoft 365 Copilot |Microsoft
AI でプレゼンテーションを自動生成するメリットや注意点、無料でAI資料作成が行えるツールなどは以下の記事で詳しくご紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
パワーポイントの AI 自動生成ツール 8 選!利用時の注意点も紹介
Windows 10 でも Copilot を利用できる?
「Windows 11 は Copilot が標準搭載されている」でも挙げたように、2025 年 6 月時点では、Windows 10 バージョン 22H2でもCopilot を使用できます。
しかし、Windows 10 バージョン 22H2 は 2025 年 10 月 14 日にサポートが終了予定であり、バージョン 22H2 のサポート終了をもって、Windows 10 のすべてのバージョンがサポート対象外となります。
サポート対象外となった OS は、脆弱性を狙ったサイバー攻撃を受けやすくなるなどセキュリティリスクが高まるため、現在 Windows 10 を利用している方は、なるべく早く Windows 11 へアップデートするか、PC を買い替えることをおすすめします。
参照:Windows 10 サポートは 2025 年 10 月 14 日に終了します|Microsoft
まとめ
この記事では、Windows 11 に標準搭載されている Copilot の特長やできること、使い方、うまく利用できないときに考えられる原因などをわかりやすくご紹介しました。
Windows 11 の Copilot は最新バージョンの Windows 11 であれば標準搭載されているため、デスクトップアプリとしてタスクバーにピン留めしたり、任意の位置に配置したりできます。
なお、ファイルのアップロードや過去のチャット履歴を確認する際はMicrosoftアカウントへのログインが必要です。
また、Copilot の機能を最大限活用し、より快適に Windows の PC を利用する際は、AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ、Intel® Core™ Ultra 200V シリーズ、Snapdragon® X シリーズといった高性能の NPU を搭載した Copilot + PCの導入がおすすめです。
Copilot + PCは、これらの NPU を用いて、毎秒 40 兆回以上の演算(TOPS)処理が可能なため、Click to Do をはじめ Copilot + PC ならではの機能が豊富にそろっています。
詳しくは、以下の Copilot + PC のページをご確認ください。