今月のテーマは……
「 Take notes for me 」で議事録作成から解放されよう!

Google Workspace をご利用の皆さま、大変お待たせいたしました! ついに、Google Meet の議事録作成機能である「 Take notes for me 」が日本語で利用できるようになりました。これまで議事録作成に費やしていた貴重な時間を、会議の本質的な議論に充てられます。今号では、Take notes for me のご紹介、そして日本のビジネスシーンにもたらすメリットを解説します。

庄司大助(Dandy)
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門で、ITインフラ担当者として入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。

議事録作成に時間と労力がかかる

 会議における議事録作成は、内容の記録、参加者への共有、そして後々の参照のために不可欠な作業です。しかし、実際には以下のような課題が多く存在します。

・会議への集中阻害:議事録作成に気を取られ、活発な議論に参加できなかったり、重要な発言を聞き逃したりする可能性があります。
・時間と労力の負担:長時間にわたる会議の議事録作成は、担当者にとって大きな負担になりやすく、残業の原因となってしまうこともあります。
・属人化と品質のばらつき:議事録の質は担当者のスキルに左右されやすく、抜け漏れや誤解が生じる可能性もあります。
・作成後の手間:作成した議事録の見直しや修正、共有作業にも時間がかかります。

 このような課題を解決するために、多くのユーザーが Google Meet への自動議事録作成機能の実装を待ち望んでいました。「 Take notes for me 」は、まさにこれらのニーズに応える機能として、日本のビジネスシーンにおいても大きな変革をもたらすことが期待されます。

▲「Geminiでメモを生成する」を選択し、表示されたメニューから「メモの作成を開始」ボタンをクリックする。
▲会議進行中の途中経過を確認したところ。

Take notes for me とは?

 Take notes for me は、Google Meet の会議中に発言された内容をリアルタイムで文字起こしを行い、自動的に議事録を作成してくれる機能です。AIを活用することで、発言内容だけではなく、話者の特定、重要なキーワードの抽出、アクションアイテムの候補の提案なども行えます。主な機能は次の通りです。

・リアルタイム文字起こし:会議中の発言をほぼリアルタイムでテキスト化します。
・話者識別:誰が発言したかを自動的に識別し、記録します。
・キーワード抽出:会議の中で頻繁に使われた単語や重要なキーワードを自動的に抽出します。
・アクションアイテム候補の提案:会議の流れから、今後取るべき行動(タスク)の候補を自動的に提案します。
・議事録の共有:Googleドキュメント形式で作成された議事録を、自動的に予定表アイテムに添付、参加者への通知、共有します。

 Take notes for meは、Google の高度な音声認識AIと自然言語処理技術を活用しています。会議中の音声をクラウド上で解析し、テキスト化、話者識別、キーワード抽出などの処理を行っています。これにより、高精度かつ迅速な議事録作成が可能になっています。

 Take notes for meの利用は非常に簡単で「会議を開始または参加する」「Take notes for meを開始する」「会議に集中する」の三つのステップで、会議の議事録作成を自動化できます。

 会議終了後、自動的に生成された議事録は Googleドキュメント に保存、参加者と共有できます。必要に応じて、議事録の内容を編集したり、アクションアイテムを確認したりすることが可能です。

 出来上がった議事録の中身を確認すると、メモと文字起こしのタブの二つのコンテンツに分かれています。メモタブには議事録そのものが作成されます。文字起こしタブは、実際に発言した内容を一言一句漏らさず、文字起こししたものです。メモタブに記載されている議事内容の基となった発言を確認できます。ただし、ここには課題もあります。AI による文字起こしは進化していますが、専門用語や固有名詞、発言者の滑舌などによっては、誤変換が生じる可能性があるのです。

▲メモタブで確認できる議事録のイメージ。会議の内容が分かりやすくまとめられている。
▲文字起こしタブに記録された発言のイメージ。実際の発言内容が一言一句漏らさず、文字起こしされている。

ビジネスシーンにもたらすメリット

 Take notes for meの導入は、日本のビジネスシーンにおいて以下のような多くのメリットをもたらすことが期待されます。

・会議の質の向上:議事録作成の負担から解放されることで、参加者は議論に積極的に参加し、より深い意見交換が可能になります。
・生産性の向上:議事録作成にかかる時間と労力を削減し、ほかの重要な業務に時間を有効活用できます。
・議事録の標準化と品質向上:AI による自動作成で、議事録の品質が安定し、抜け漏れや誤解のリスクを低減できます。
・情報共有の効率化:作成された議事録は簡単に共有できるため、会議内容の伝達がスムーズになります。
・リモートワークの促進:リモート環境での会議においても、議事録作成の負担を軽減し、円滑なコミュニケーションを支援します。
・アクセシビリティの向上:字幕機能と組み合わせることで、聴覚に障害のある方など、より多くの人が会議の内容を理解しやすくなります。

 これまで英語圏のサービスでは十分な効果が得られなかった日本のユーザーは、日本語での高精度な文字起こしと話者識別が可能になったことで、さまざまなメリットを得られます。Take notes for meは会議の生産性向上、時間と労力の削減、そしてより質の高いコミュニケーションを実現するための強力なツールとなるでしょう。ぜひこの機会にTake notes for meを活用して、議事録作成から解放され、より本質的な議論に集中できるスマートな会議体験を実現してください。


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