予期せぬ自然災害と脅威に備える
企業を守る確かなバックアップ
2024年に発生した能登半島地震のような広域大災害、そしてランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃。性質こそ異なるものの、いずれも企業に深刻な影響を与える脅威である。近年では、大規模災害によってシステムや運用体制が脆弱化した隙を突くサイバー攻撃が増加傾向にある。特に復旧の要となるバックアップ環境は、攻撃者の標的となりやすい。こうした自然災害とサイバー攻撃が重なる「複合災害」に備えるには、バックアップ環境に「災害に耐える地理的冗長性」と「攻撃に耐える不変性」の双方が求められる。これらの要件を満たすのが、クラウド型オブジェクトストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」である。予期せぬ事態にも揺るがない“備えの強さ”が、企業の安心を支えていく。
複合災害が迫る時代に
問われるデータの守り方

取締役社長
脇本亜紀 氏
現代の企業活動において、業務の基盤となるビジネスデータの保護は、事業継続計画(BCP)を支える重要な要素であり、両者は密接に関係する経営課題である。特に地震や台風、津波といった自然災害のリスクが極めて高い日本国内では、単一拠点や単一のシステム環境のみに重要なデータを保管することは大きな危険を伴う。その拠点が被災やシステム障害によって停止すれば、業務は即座にストップし、最悪の場合は二度と復旧できない致命的なデータ損失につながりかねない。
こうしたリスクに備えるためには、運用環境から物理的に切り離された遠隔地や、クラウド領域へデータを多重に分散保存するといった強固なバックアップ体制を構築することが不可欠だ。これは、BCPの中核を成すITレジリエンスを高める取り組みであり、事業を継続するための基盤となる。
さらに、自然災害と並んで深刻な問題となっているのが高度化するサイバー攻撃、とりわけランサムウェアの被害である。警察庁の公開データ「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2025年9月)によると、ランサムウェアに感染した被害組織のうち、85.4%が「バックアップデータの復元ができなかった」と回答している。バックアップから復元できなかった理由として、最も多かったのが「バックアップデータそのものも暗号化されてしまった」であり、全体の65.7%を占めた。データを守るための命綱であるはずのバックアップが、攻撃者によって真っ先に破壊されているのが現状なのだ。
こうした自然災害とサイバー攻撃という二重の課題に対し、多くの企業はパブリッククラウドのストレージサービスを活用して遠隔地バックアップを試みてきた。しかし、ここでも別の壁が立ちはだかる。それが、“予測困難なコスト”だ。主要なパブリッククラウドはデータ容量に対する課金だけでなく、データを別の場所に転送する際の「下り転送料(Egress Charges)」や「API呼び出し」など、利用タスクごとに細分化された従量課金が発生する。その結果、想定外の請求が発生し、月々の請求書を見て初めて状況を把握するというケースは少なくない。従量課金が運用の実態を見えにくくし、予算管理を難しくしているのが現状である。
そもそも、バックアップデータは「保存するだけ」で備えが完了するわけではない。保管しているデータに破損や不具合がないか確かめる「整合性チェック」や、障害発生時に手順に従ってシステムを起動・復元できるかを実地で検証する「リストアテスト」を定期的に実施して初めて、データは有事に役立つ備えとなる。しかし、こうした実効性のあるBCP運用に欠かせないこれらのプロセスが、従量課金制のクラウド環境では足かせとなっているケースが少なくない。
Wasabi Technologies Japan取締役社長 脇本亜紀氏は、企業の現状について次のように指摘する。「多くのクラウドサービスでは、バックアップデータの整合性チェックや、万が一のときのリストアテストを行うだけで追加費用が発生してしまいます。これでは、本当に必要とされる『いざという時のための備え』や定期的な復旧訓練の実施を阻む要因になりかねません。コストの不確実性は、企業の確実なBCP対策を阻む大きな要因となっています」
従量課金が生む不確実性
BCP運用を阻むコスト構造
こうしたセキュリティやコストをはじめとするさまざまな問題を解決するのが、Wasabi Technologiesが提供するクラウド型オブジェクトストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」だ。Wasabi Hot Cloud Storageは、複雑なストレージ階層の設計やアクセス頻度の最適化といった管理の手間を排除したシンプルさと、低コスト、そして強固なセキュリティを両立させている。
Wasabi Hot Cloud Storageの大きな特長は、複雑な料金体系を排除したシンプルなコストモデルにある。ユーザーが支払うのは基本となる「容量×期間」の料金のみであり、クラウドへの保存時や保管中に追加の従量課金が発生することはない。「一般的なパブリッククラウドとは異なり、Wasabi Hot Cloud Storageはリストア時のデータアウト料金(下り転送料)やAPIリクエスト料金が一切発生しません。これによって、お客さまは追加コストを懸念することなく、有事に備えた定期的なリストアテストを追加費用なしで実施していただけます。コストの変動が一切ないため、次年度以降の見通しも含めて非常に予算管理が取りやすく、年度の途中で不測の追加予算を確保することが難しい学校法人や医療機関、官公庁のお客さまにとっても、当初の計画通りに安全な運用ができる点は大きな安心材料となっています」と脇本氏はアピールする。
もちろん、低価格であるからといって品質が犠牲になっているわけではない。Wasabi Hot Cloud Storageは、イレブンナイン(99.999999999%)の高耐久性と、99.9%のSLA(サービス品質保証)を維持する堅牢なインフラを備えた上で、ランサムウェアに対抗する強力なセキュリティ機能を実装している。
まず、ランサムウェアへの最も強力な盾となるのが、一度書き込んだデータを変更・削除できないようにする「オブジェクトロック(イミュータブル機能)」だ。社内ネットワークが乗っ取られたとしても、バックアップデータは上書きや消去ができないため、暗号化を防ぐ最後のとりでとなる。アカウントの乗っ取りや不正操作に対しては、「マルチユーザー承認(MUA:Multi-User Authentication)」が効果を発揮する。これは、バケットの削除やアカウントの解約といった重要な操作を行う際、登録された複数の管理者による承認を必須とする仕組みだ。「直近1年間で、80件以上のデータ消去操作をMUAによって阻止した実績があります。内部犯行やアカウントハックから企業を守る非常に実用的な仕組みです」(脇本氏)
さらに、データレジリエンスを高める機能として「Covert Copy」がある。これはデータをバケットリストに表示されない不可視(Invisible)の状態にし、通常のアクセスをできないようにする機能だ。アクセスする場合にはMUAによる承認を必須となる。「見えないバケットは攻撃の余地がありません。攻撃者に対して存在自体を秘匿することで、高い安全性を確保することが可能です。万が一の事態に備えて、企業の事業継続を支える強固なデータレジリエンスを実現します」と脇本氏は説明する。

求められる遠隔地保護
運用改善と備えの強化
こうしたさまざまな強みを持つWasabi Hot Cloud Storageは、企業のBCPとセキュリティ対策にどれほどの恩恵をもたらすのか。それを示す具体的な導入事例として挙げられるのが、学校法人 上智学院のケースである。同法人では、全職員が利用する50数テラバイト規模の基幹ファイルサーバーを刷新するに当たり、自然災害対策とランサムウェア対策として遠隔地バックアップの構築を検討していた。そこで採用されたのが、学術情報ネットワークに直接接続でき、国内に複数のデータセンターを持つWasabi Hot Cloud Storageだ。Wasabi Technologiesは世界中に多数のリージョンを展開し、日本国内においても東京・大阪の国内二大拠点にデータセンターを擁している。これら複数拠点間でレプリケーションを行う際も、データ転送料は発生しない。主要なパブリッククラウドでは高額になりがちな遠隔地へのデータ同期コストを心配する必要がないのだ。
脇本氏はこの導入効果について次のように説明する。「上智学院さまでは、遠隔地バックアップという新たな業務が加わったものの、日々の運用はこれまでと同様に滞りなく進んでいます。さらに、従来のオンプレミス環境で必要だったメンテナンス工数やハードウェアの維持コストも解消されました。年度途中で追加予算を確保しづらい学校法人さまにとって、定額で運用できるWasabi Hot Cloud Storageは適合性の高い選択肢となっています」
昨今では、「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」や「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」などの新たなセキュリティ基準の策定や改定が進んでおり、最低限実装すべきセキュリティ対策として「遠隔地バックアップの実施」と「リストア手順の整備」が厳格に求められるようになってきている。最後に脇本氏は「Wasabi Hot Cloud Storageは、SCS評価制度などで求められる遠隔地バックアップやリストア手順の整備を、コストの障壁なく容易に実装できます。当社には、『爆発的に増えるデータを、シンプルに、低価格で、かつ安全に保存する』という創業当時からの揺るぎない原点があります。AIやロボティクスの進展によってデータ量がさらに増大するこれからの時代において、この使命は一層重要になります。また、自然災害とサイバー攻撃が複合化する予測困難な環境下でも、Wasabi Hot Cloud Storageは安価でありながら妥協のない堅牢性を発揮します。企業の事業継続という最大の責務を支える強力な盾となるはずです」と力強く語った。

