複合災害時代の事業継続を守る
強靭なデータ保護基盤

自然災害の激甚化に加え、ランサムウェアをはじめとする悪意ある攻撃が増加し、企業の事業継続を脅かすリスクは複合化している。もはや「バックアップを取っておけば安心」という時代ではなく、確実に復旧できる体制を平時から整備することが不可欠だ。重要なのは、単にデータを保存することではなく、有事の際に業務のダウンタイムをいかに最小限に抑えるかであり、その成否が企業の命運を左右する。こうした状況下で注目されるのが、仮想・物理・クラウド・SaaSといった多様な環境を横断してデータを保護できるバックアップソリューションである。データ保護・管理ソリューションを展開するヴィーム・ソフトウェアに、複合災害対策へのアプローチと具体的なソリューションについて話を伺った。

激甚化する複合災害に立ち向かう
バックアップの新たな意識改革

ヴィーム・ソフトウェア
パートナー営業統括本部
チャネル・セールス・マネージャー
金子正明

 近年、台風や地震などの激甚化する自然災害に加え、その混乱に乗じて企業を容赦なく襲うサイバー攻撃の脅威が急速に高まっている。こうした状況により、現代の企業は自然災害とサイバー攻撃が同時に発生する「複合災害」への対策を、極めて重要な経営課題として突きつけられている。

 企業のバックアップ運用は長らく、「1カ所に保存しておけば十分」という認識が主流であった。しかし、昨今の深刻なインシデントの急増を受け、企業の安全意識はこの2、3年で大きく変化している。データを複数拠点へ分散コピーし、クラウドを活用した二重の備えを取る構成が広がっているのだ。さらに、半導体価格の高騰によるハードウェアコストの上昇や機器の納期遅延も背景に加わり、オンプレミスの物理サーバー中心の運用から、迅速に導入できて拡張性に優れたクラウドへの移行を本格的に検討する企業が増えている。

 しかし、実際の現場では、いざ災害や攻撃の被害に遭って復旧を試みる際に「具体的な手順が分からない」「実はバックアップが正常に取得できていなかった」といった問題に直面する企業が多いのが現状だ。定期的な復旧訓練を実施する体制が整っていない企業も多く、有事の際に「データを確実に元の状態へ戻せるのか」という不確実性が大きな課題として残されている。

 ヴィーム・ソフトウェア パートナー営業統括本部 チャネル・セールス・マネージャー 金子正明氏は、こうした現状における企業のデータ保護に関する課題について「かつてはバックアップさえ取得していれば安心という風潮もありましたが、現在はランサムウェアなどの悪意ある攻撃者が、真っ先にバックアップデータそのものを狙って暗号化や消去を仕掛けてきます。万が一の事態が起きたときに、ただデータを保存しているだけでなく、汚染されていないクリーンな状態で迅速にシステムを復元できる仕組みと、それを日常的に検証する訓練体制を築くことが急務です」と話す。

迅速な復旧と確実性を実現する
先進的な統合プラットフォーム

ヴィーム・ソフトウェア
システムエンジニアリング本部
シニア・システムズ・エンジニア
相合谷修平

 複合災害への備えと、バックアップ運用の高度化が求められる現場の課題を解決するには、企業全体のデータを一元的に保護し、確実な復旧を実現する統合ソリューションが必要となる。その役割を担うのが、ヴィーム・ソフトウェアのデータ保護・管理ソリューション「Veeam Data Platform」である。

 Veeam Data Platformは、データバックアップソフトウェアの「Veeam Backup&Replication」、インフラ全体の監視と分析・可視化ツール「Veeam ONE」、災害復旧のプロセスを自動化する「Veeam Recovery Orchestrator」で構成されている。オンプレミスの仮想環境、物理サーバー、NAS、クラウド、SaaSなどに散らばる多種多様なデータをシームレスに統合し、一元管理の下でバックアップを実行できる。

 バックアップ機能には、サイバー攻撃などからデータを守る仕組みも備えられている。その中でもランサムウェア対策として重視されているのが、「イミュータブルバックアップ」だ。一定期間中、改変・削除・暗号化することのできないバックアップを指す。データの暗号化から保護するだけでなく、人的ミスによる偶発的な変更や削除によるデータ消失も防止できる。

 また、データのバックアップ取得時、保存中、さらにはリストアを実行する際の三段階において、マルウェアの感染や疑わしい挙動がないかを自動でチェックする仕組みも備えている。各フェーズで異常をいち早く検知して管理者に警告し、リストア前にはデータの安全性を検証する。これらの仕組みにより、本番環境へのマルウェアの侵入や、侵入後の感染拡大といった二次被害の防止に向けた管理者の判断を支援する。

 さらに、企業の復旧対応を強力に後押しするのが、災害復旧機能である。認証用のADサーバー、データベース、Webサーバーといった複数サーバーの復旧順序をあらかじめ詳細に定義し、復旧シナリオとしてジョブ化できる仕組みである。有事の際には、このシナリオに基づき、ボタン一つで全自動リストアを実行できる。ほかにも、通常なら数時間を要するリストアを、バックアップファイルから直接起動することで、約5分という短時間で一時復旧させられるインスタントリカバリー機能も搭載している。

 ヴィーム・ソフトウェア システムエンジニアリング本部 シニア・システムズ・エンジニア 相合谷修平氏は、インシデント発生時の業務停止時間を、極限まで短縮する復旧機能の重要性について次のように説明する。「災害や攻撃を受けた緊迫した状況の中で、エンジニアが手動で復旧作業を行うのは、ヒューマンエラーのリスクを伴い、多大な時間を要します。当社のオーケストレーション機能を活用すれば、事前に設定したシナリオに沿って完全に自動化された復旧が短時間で完了します。業務のダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。復旧を迅速かつ確実に進められる体制こそが、災害対策の要となります」

 このように多角的な機能でレジリエンスを高めるVeeam Data Platformだが、保護対象はオンプレミスのシステムにとどまらない。ユーザー数が多く、攻撃の侵入口となりやすい「Microsoft 365」の環境に向けて、専用の「Veeam Data Cloud for Microsoft 365」を提供している。Exchange OnlineやTeams、SharePoint、OneDriveなどのデータのバックアップ運用をサポートする。ほかにも、乗っ取りや改ざんの被害が相次いでいる「Entra ID」の認証基盤を保護・復旧を支援する機能など用意し、企業全体のセキュアな稼働を根本から支えている。

クラウドストレージの活用と
AIが導くデータ保護の未来

 災害対策を確実なものとするには、バックアップデータの保管先の選定が重要となる。特に、昨今需要が高まるクラウドを活用したバックアップ環境の整備は、BCPや遠隔地への災害対策を進める上で欠かせない。こうした要件に対応するため、同社はクラウドストレージサービス「Veeam Data Cloud Vault」を提供している。

 これまで、オンプレミスにあるバックアップデータをクラウドへ保管する「オフサイト保管」を実装するためには、企業が個別に異なるクラウドベンダーと契約を結び、複雑な操作を習得しなければならなかった。しかし、Veeam Data Cloud Vaultを利用すれば、使い慣れたVeeam Data Platformと完全に統合されているため、同一の操作画面から簡単に設定などが行える。別個のクラウド契約や専門知識が不要で、サポート窓口も同社に一元化されるため、導入や運用にかかる人的負荷を大幅に削減できる。

 ヴィーム・ソフトウェアでは最新技術の統合にも力を入れている。テクノロジーロードマップではAI領域への戦略的投資を強化し、AI機能の実装も進めている。バックアップ中におけるマルウェアの挙動を監視する振る舞い検出などの機能にAIが活用されているという。また、ユーザーをサポートする生成AIを活用した機能「Veeam Intelligence」の提供も行っている。自然言語の質問を通じて自社環境の分析、自動診断、技術情報の検索などを支援してくれるものだ。

 今後もヴィーム・ソフトウェアでは、最先端技術を取り入れながら、企業のデータを守り抜く体制の強化を進めていく。