パブリッククラウドの長所と
プライベートクラウドの長所を融合
Broadcomは2026年5月5日(米国時間)、同社のプライベートクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」の最新版である「VMware Cloud Foundation 9.1」(以下、VCF 9.1)を発表した。不確実な経済や労働人口の減少、経済安全保障の強化といった課題がある中、これらに対応可能なモダンプライベートクラウドのニーズが高まっているという。本記事では、会見で語られたVCF 9.1の特長をレポートしていく。
ITインフラストラクチャの再定義が
必要な時代におけるクラウドとは

まずはヴイエムウェア カントリーマネージャ 山内 光氏が登壇し、日本を取り巻く現状について次のように話す。「日本は今、不確実な経済、労働人口の減少、経済安全保障の強化という課題を持っています。こうした現状を踏まえ、ITインフラストラクチャの再定義が必要になっているのです」
では具体的に、ITインフラストラクチャにはどのような要件が必要なのだろうか。山内氏はその内容をこう続ける。「要件は三つあります。一つ目は、『運用効率が高くコスト管理・制御が可能』なことです。ここでは効率性、自動化、セルフサービスがキーワードになってきます。二つ目は、『変化に柔軟でテクノロジーの進化に追随』することです。ここでは俊敏性、拡張性、柔軟性がキーワードになります。三つ目は、『セキュアで強固なプラットフォーム』です。ここでは安全性、可用性、持続性がキーワードになっています。我々はモダンプライベートクラウドを、これら三つを包含したものと定義しています」
さらに山内氏は、同社のモダンプライベートクラウドについて「プライベートクラウドとパブリッククラウドには、それぞれの良さがあります。これらの良いとこ取りをするのが、我々が目指すモダンプライベートクラウドです」と強調する。

本番環境向けAIに最適な
プライベートクラウドプラットフォーム
山内氏に続いてBroadcom VCF部門 製品担当 バイスプレジデント ポール・ターナー氏がオンラインにて登場し、VCF 9.1がフォーカスしている点をこう語る。

「当社が2026年5月に実施したアンケートによると、新規AIワークロードの展開先にプライベートクラウドを優先したい企業は、56%に上ることが分かりました。そこでVCF 9.1は、本番環境向けAIに最適な、セキュアでコスト効率に優れたプライベートクラウドプラットフォームになっています。そしてVCF 9.1は、『大規模環境における効率的なインフラと運用』『高速なアプリケーションデリバリー』『サイバーレジリエンスとデータセキュリティ』の3点にフォーカスしています」

本会見では、VCF 9.1から強化された機能と、追加された新機能が計五つ紹介された。
まずは強化された機能を三つ紹介しよう。一つ目は、NVMeを使用したメモリーの階層化だ。NVMeを第2階層ストレージとして活用することで、サーバーの総コストを最大40%低減できるのだ。NVMeデバイスの状態や摩耗状況を事前に把握しておけば、ダウンタイムのリスク低減も行える。また、適用対象となるクラスターの状況を可視化することで、標準メモリー構成と階層型メモリー構成を比べた場合の、コストと性能の相関関係を明確化することが可能だ。
二つ目は、サービスとしてのコンテナ(Containers as a Service:CaaS)のデプロイだ。コンテナは同社の仮想化プラットフォーム「VMware vSphere」の第1級オブジェクトとして、ほかのワークロードと同様に管理されていく。仮想マシン、同社のLinuxコンテナを実行可能な占有量の小さい仮想マシン「vSphere Pod」、VMware vSphere上でKubarnetesをネイティブに利用できる「vSphere Kubernetes Service」のクラスターから、ワークロードに最適なランタイムを同一プラットフォーム上で選択可能だ。
三つ目は、セキュリティパッチ適用のダウンタイムを最小限、またはゼロに抑える「ライブパッチ」だ。新たな脆弱性の公開にも迅速に対応し、環境全体をパッチ適用済みにする時間を短縮できる。この機能により運用負荷とリスクを軽減するだけでなく、大がかりな計画策定や関係各所との調整の手間も削減可能だ。
次に新しい機能を二つ紹介しよう。一つ目は、プラットフォームに組み込まれたAIモデルおよび、エージェント向けのAIオブザーバビリティだ。1秒当たりのトークン、KVキャッシュの利用率、エージェントやMCPサーバー数などの主要なメトリクスを、VCFの統合運用基盤「VCF Operations」および同社のAIプラットフォーム「VMware Private AI Services」に標準搭載した。ボトルネックの特定からモデルのチューニング、確実なリリースまでを、リアルタイムに本番環境で実現できる。
二つ目は、オンプレミス環境でのサイバーリカバリーだ。アプリケーションレベルだけでなく、仮想マシンレベルまでリカバリーが行える。サイバー攻撃からの迅速な復旧、日常的な運用効率化、検証済みのクリーンなリストアといったメリットを顧客にもたらしてくれる。

主権、財務、人材、安全に関する
課題を解決するソリューション

会見の最後はヴイエムウェア 執行役員 ソリューションアーキテクト本部 本部長 塩﨑 崇氏が登壇し、「VCF 9.1は、日本のエンタープライズを取り巻く主権の問題、財務の問題、人材の問題、安全の問題の解決に寄り添えます」と改めて強調する。
「主権の観点では、経済安全保障や個人情報保護などの課題があります。VCF 9.1はプライベートクラウドなため、プライベート環境でAIを実行できる状況を提供可能です。社外秘のデータをしっかり守れるのです。次に財務の観点では、ハードウェアやコストの高騰が起きています。我々はもともと、仮想マシンなどを得意としてきた企業です。NVMeを使用したメモリーの階層化により、サーバーの総コストを最大40%低減するなどで、お客さまのトータルコスト削減に役立てます。人材の観点では、自動化やAIの活用がテーマになるかと思います。自動化の面では、VCF 9.1でプライベートクラウドの運用を自動化するツール群を一緒に提供することで実現しています。自動化によってお客さまの運用の時間が短縮するだけでなく、手動で作業をした際に発生するミスも減らせるのです。最後に安全の観点では、我々は仮想マシンやコンテナの単位で、さまざまなセキュリティ機能を提供しています。そのため境界セキュリティが突破されたとしても、プラットフォームレベルで内部拡散の防止ができるのです。また昨今では防御だけでなく、復旧も重要になっています。VCF 9.1では、サイバーリカバリーといった復旧のフェーズの自動化に力を入れています。このように主権、財務、人材、安全それぞれに対して、しっかりソリューションを適用できるのが、VCF 9.1なのです」

最後に塩﨑氏は、VCF 9.1を以下のようにアピールした。「AIエージェントは、すでにビジネスへ直結するところに来ています。そのためプライベートクラウドでAIワークロードを動かすことが、非常に重要になっているのです。そこでVCF 9.1は、当社の環境以外に何か用意するのではなく、当社の環境にAIワークロードを乗せられることが、ポイントになっています」

