マニュアルの作成業務を効率化し
攻めのDXを推進する原動力を生み出す

現代の日本企業では、デジタルトランスフォーメーション(DX)加速に伴うITツールの普及や、在宅勤務をはじめとする働き方の多様化が進んでいる。一方でIT人材の不足や、教育・技術継承の難しさといった課題も浮き彫りになってきた。こうした背景を受け、マニュアルの役割は従来の「記録・保管」から、企業の成長を支える「教育・伝達の戦略ツール」へと進化している。この新たな役割を担うマニュアル作成を効率化する「iTutor」の特長について、BluePortに話を聞いた。

負のスパイラルを生み出す
マニュアル作成における三つの課題

 既存作業の引き継ぎや新人教育を円滑に進めるためには、手順や操作内容を正確に記録したマニュアルの存在が欠かせない。とはいえ、そうしたマニュアルを作成するには課題も多い。この点について、BluePort 事業統括部長 兼 広報室長 朝武絵梨子氏は次のように語る。「マニュアル作成の課題は、『作成』『品質』『運用・管理』の三つに集約されます」

 作成においては、マニュアルの作成に時間がかかり過ぎる点が課題となっている。日々の業務で多忙な現場の担当者は、スクリーンショットの撮影や加工、説明文の記述といった作業に多くの時間を割くことは難しい。必要性を感じながらも、マニュアルの作成まで手が回らないのだ。

 品質においては、作成者によって体裁が異なったり、文字中心で操作のイメージが伝わらなかったりすることが課題だ。さらにシステムの仕様変更に追いつけず、マニュアルが形骸化してしまうことも多い。結果として、問い合わせや教育コストが増加するケースも少なくない。

 運用・管理においては、保管場所が周知されていないことが課題として挙げられる。また管理者側もマニュアルによる業務効率化の効果が測定できないため、次の改善につなげられない。

 これら三つの課題は互いに影響し合い、負のスパイラルを生み出している点に、企業におけるマニュアル作成の課題の根深さがある。「こうした負のスパイラルを断ち切る取り組みが『守りのDX』です。質の高いマニュアルを効率的に作成・運用可能な体制を築く守りのDXを徹底することで、問い合わせ対応のような間接業務を削減します。そこで創出されたリソースを、新サービスの企画や顧客体験の向上といった『攻めのDX』の原動力へと転換させます。マニュアル作成の効率化にとどまらず、企業全体の生産性向上と新たな価値創造につなげていく視点こそが、マニュアル作成の課題を乗り越える鍵となるでしょう」と朝武氏は語る。

事業統括部
カスタマーサクセスグループ
リーダー
兼 研修事業推進室長
永田欧介
事業統括部長
兼 広報室長
朝武絵梨子

PowerPointライクな操作感覚
誰でも直感的にマニュアルを作成

 マニュアル作成の三つの課題をワンストップで解決するのが、BluePortのマニュアル作成ツール「iTutor」だ。

 まず作成の課題に対して、iTutorは質の高いマニュアルを短時間で作成可能な点で解決する。普段通りにPCを操作するだけでその操作を自動で記録し、スクリーンショットの撮影や説明文入りの吹き出しを自動で生成してくれるのだ。編集画面はPowerPointのような感覚で直感的に操作できるため、ITに詳しくない現場の担当者でも簡単に扱える。「特にユーザーから評価が高い点として、動画マニュアルを手軽に作れることがあります。テキストやスクリーンショットだけでは分からない複雑な操作も、動画を見てまねすることで理解しやすくなります。ITに不慣れな顧客へのシステム説明などに効果的です」と、BluePort 事業統括部 カスタマーサクセスグループ リーダー 兼 研修事業推進室長 永田欧介氏は語る。

 次に品質の課題に対して、iTutorは一つのソースデータを複数の用途に使用する「ワンソース・マルチユース」をコンセプトに開発を行うことで解決する。一度の操作記録から、WordやPDF、動画、HTML5形式の体験型コンテンツといったさまざまな形式にワンクリックで出力できる。作成者による品質のバラつきを防ぎ、全社で統一されたフォーマットの維持が可能だ。システムの仕様変更時も大元のファイルを変更するだけで、全ての形式のマニュアルを一括更新できる。常に最新の内容を保てるのだ。

 最後に運用・管理の課題に対して、iTutorはマニュアルを「作って終わり」にしないための機能を多数備えることで解決する。作成したコンテンツには、理解度を確認するためのテストやアンケートを簡単に追加できる。SCORM形式で出力すれば、既存のLMSに組み込むことも可能だ。誰がいつどこまで学習したかを把握でき、マニュアルの活用状況や効果の可視化を実現する。さらに「kintone」と連携することで、テスト結果の集約が可能だ。研修の進捗管理や記録にかかる負担を軽減する。

 こうした特長を持つiTutorは、業種や企業規模を問わず、約2,300社以上に導入されている。最近では、海外に拠点を持つ製造業での人材育成への活用が注目されている。言語の壁が研修の障害だったが、自動翻訳機能により現地スタッフでも理解できる動画マニュアルを展開。品質基準の統一と早期戦力化に成功している。

iTutorのUI例

音声の文字起こし
動画の音声を高精度でテキスト化し、画面上に字幕として表示できる。
画像生成
日本語でプロンプトを入力すれば、AIがその内容に沿った画像を作ってくれる。

最新バージョンではAI機能を追加
頼れるアシスタントが常に隣に

 iTutorの優位性について、永田氏は以下のように語る。「お客さまの事情に合わせた柔軟な導入方法と、充実したサポート体制が挙げられます。行政機関や金融機関など、セキュリティに厳しい環境では、社外にデータを出したくないというニーズが根強くあります。iTutorはPC上のローカル環境で完結するため、インターネットへの接続不要で安心して利用可能です。さらに外部ネットワークへの接続が行えない、よりセキュリティの高い環境下でも全ての機能を利用できる『クローズドネットワーク認証』というライセンス認証方式を提供しています。ユーザー限定のセミナーや無料レクチャーなども開催しており、導入後のサポートも手厚いものとなっています」

 iTutorは、2025年夏にAI機能を全面的に搭載した最新バージョンをリリース予定だ。今回のアップデートは単なる機能追加ではなく、マニュアルを「作るのが大変なもの」から、「作りたくなる、創造的なもの」へ変えることを目指しているという。

 新バージョンでは、すでに搭載されている自動翻訳機能に加え、AIが文章を分かりやすく校正・リライトする機能や、プロンプトを基にイメージに合った画像を自動生成する機能が追加される。さらに、テキストから自然な音声を生成する読み上げ機能も搭載される。これまで作成者の経験やセンスに頼りがちだったクリエイティブな作業をAIがサポートすることで、誰でも迷うことなく、伝わるマニュアルをスピーディーに作れるようになるのだ。

 最後に、iTutorの拡販に向けたダイワボウ情報システム(DIS)をはじめとしたパートナー企業との取り組みについて、朝武氏は次のように語る。「パートナーの皆さまと成功するために、効果が期待できるお客さま情報の共有と、提案活動を支える研修や事例紹介、営業ツールの提供、専用相談窓口といった支援を行っています。これからもDISさまをはじめとするパートナー企業の皆さまと力を合わせて、より多くのお客さまの役に立てるよう取り組んでいきます」