年次フラッグシップイベント
「Microsoft Build 2025」が開催
新たなAzureとAIのソリューションに注目

2025年5月19〜22日に、米国シアトル会場とオンラインのハイブリッド形式でマイクロソフトの年次フラッグシップイベント「Microsoft Build 2025」が開催されました。今号のMicrosoft Azureから始めるAIとクラウドの未来では、本イベントの概要を紹介します。


日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人

10万人以上を動員したMicrosoft Build

「Microsoft Build」は、AIのイノベーションとつながりの中核となる開発者やイノベーティブな開発にフォーカスしたイベントです。本イベントでは、開発者と意思決定者が集まって最新のイノベーションを探索し、世界中のパートナー企業や専門家から分析情報を得て、AI、Copilot、エージェント、セキュリティ、Windowsなどの分野でスキルを高められます。

 今回の「Microsoft Build 2025」には、全世界で10万人以上のお客さま、パートナーさまが3.5日間の技術学習とコミュニティに参加するために登録し、3,200名がシアトル会場に訪れました。日本からも多くの人が参加しました。またライブイベントに参加できない方のために、ほとんどのコンテンツはオンデマンドで視聴可能となっています。現地では、日本からの参加者向けに「Corp Exec」とのRound Tableや Japan Programなど、独自のプログラムを実施し、Build 体験の価値向上に貢献いたしました。そして日本のお客さまに向けた現地からの速報ライブ配信イベントでは、2,500名以上に視聴いただき、Build の最新発表への関心の高さを示す結果となりました。

 本イベントの本編では、「Open Agentic Web」をキーワードとして、開発者向けのツール・プラットフォームに関する50以上のアップデートが発表されました。また、本イベントのKeynoteでは、日本からAzureやAIなどに関する先進的な取り組みが世界に向けて発信されました。

Azure全体にわたる革新的なエージェント

 Microsoft Build 2025では、AIの進化、開発者向けツールの強化、クラウド技術の発展など、AIと開発者向けツールの進化が大きなテーマとなりました。主な発表内容を以下にまとめています。

●Azure AI FoundryでAIとエージェントの開発を加速
AIアプリとエージェントを大規模に設計、カスタマイズ、管理するための統合プラットフォームである「Azure AI Foundry」を通じて、AIとマルチエージェント ワークフローでお客さまを強化できます。エージェントファクトリーを持つように、Azure AI Foundryの新機能は開発ワークスペースに最先端のイノベーションをもたらすことになりました。開発者がエンタープライズレベルの AIエージェントを設計、デプロイ、スケーリングしてビジネスプロセスを自動化する「Azure AI Foundry Agent Service」のGAも紹介されています。そのほか、「Azure AI Foundry Observability」などが発表されました。本ソリューションでは、Azure AI Foundryモデルとユーザーの会話履歴で「Azure OpenAI」を使用してクエリプランを定義および作成、そのプランを実行し、複雑な質問を分解します。それと並行して、検索を一度に実行する「Azure AI Search」でのエージェントによる取得、パフォーマンス、品質、安全性の組み込みメトリックと詳細なトレースを全て統合ダッシュボード内で提供します。

●エージェント型DevOpsでAIを開発チームに導入
ソフトウェア開発ライフサイクルのあらゆるステップにAIを導入できるエージェント型のDevOpsにより、価値が高く、より創造的な作業に集中できるようになります。DevOpsの品質とスピードを拡大します。また、AIによるコード提案・生成機能を搭載している「GitHub Copilot」を中心に据えて、エージェントのクルーを開発チームに迎えられるようになりました。

●強力なデータ基盤を持つAIとエージェントの形成
AIアプリ、エージェント、マルチエージェントシステムがビジネス全体に組み込まれるにつれて、データに対する負荷は高まっています。そのため、マイクロソフトはフルマネージドのサーバーレスデータベースの「Azure Cosmos DB」をデータ分析が行える「Microsoft Fabric」に導入しています。これにより、デジタルツインビルダーを開始し、データエージェントをAIアシスタント開発ツールの「Microsoft Copilot Studio」に統合すると同時に、Azureデータベースと開発者向けのPostgreSQLエクスペリエンスを進化させています。

●研究開発のための最初のエージェントプラットフォーム
「Microsoft Discovery」は、Azure上に構築された新たなAIエンタープライズエージェントプラットフォームであり、科学者やエンジニアにAIを提供します。本プラットフォームは、より継続的で反復的な研究開発サイクルを可能にします。研究者は、推論だけでなく、研究自体を行うために、時間をかけて学習し適応する専門のAIエージェントのチームを指導し、調整できます。

 今回は、Microsoft Build 2025のまとめを紹介しました。Microsoft Buildのより詳細な情報については、以下のQRコード先のWebサイトに掲載されている情報を閲覧してみてください。

Azure AI Foundryの概要

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏