アプリ開発などにお得な認定を取得
Azure Specialization V.Nextが開始

今号のMicrosoft AzureによるAIとクラウドの未来では、「Azure Specialization V.Next」を案内します。Azure Specialization V.Nextは、Microsoft Azureの分析ソリューションの計画と提供に際しパートナーさまの実績を構築する「Specialization」といった認定制度に近しい内容となります。今回、「Data&AI (Azure)」と「Digital&App Innovation (Azure)」の両方の認定に準拠し、Module Bという監査要件を満たすために更新されたパスを取得しています。この新しいオプションにより、どのようなビジネスメリットが生まれるのか、見ていきましょう。


日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人

認定取得にかかる監査を省略

「Azure Specialization V.Next」(以下、V.Next)とは「Build AI Apps on Microsoft Azure Specialization」(以下、Build AI Apps)の取得・更新において、「Azure Innovate Partner-led(Post)」の完了実績3件により、Specializationの監査Module Bを代替可能なオプションです。V.Nextでは、Azure Innovate Partner-led(Post)で条件を満たす提供実績を持つパートナーさまはModule Bの監査を受ける必要がなくなるため、従来の監査に比べてより少ない時間とコストでAzure Specializationの新規取得および更新を行えます。

 V.Next以前は、監査はサードパーティーのサプライヤーによって実施され、Module AとModule Bで構成されていました。V.Nextが収集する情報では、監査のModule B部分を満たせます。Module Aは引き続き必要となり、各パートナーさまは隔年で実績を達成する必要があります。

 従来では、Specializationの前提条件を満たすとパートナーさまが顧客との関係を簡単に管理できるサポートサイト「Partner Center」上で、新規取得/更新のための監査申込を行います。更新には2年ごとに監査が必要でした。

 新たなV.Nextは、事前要件や更新条件に変更はありませんが、監査の代替になる選択肢が追加され、Azure InnovateのPartner-Led Postの完了済みプロジェクトにより監査要件を満たせます。この変更は「Build AI Applications with Azure specialization」から開始となります。現時点では、V.Nextオプションが提供されているのはBuild AI AppsのSpecialization限定ですが、将来的には全てAzure準拠のSpecializationへの拡大を目標としています。

 2025年2月1日より、Azure ソリューション パートナー指定のData&AI、Digital&App Innovation、Infrastructureと三つあるAzure SPD SMB Pathに該当するパートナーさまにはAzure CSP Incentiveが受け取れるようになり、3月1日からはそのIncentiveに加え、AMMとInnovateをXSとSの二つのプロジェクトサイズで活用できるようになっています。

アプリ設計・開発・運用できるスキルを証明

 次にBuild AI Appsについて説明します。この資格は、Microsoft Azure上でAIアプリケーションを構築するための専門的な認定資格です。AzureのAIサービスや機能を活用して、インテリジェントなアプリケーションを設計・開発・運用できるスキルを証明するものです。

 Azureでは、AIアプリケーションの開発を支援するさまざまなサービスが提供しており、例えば「Azure OpenAI」「Azure Machine Learning」「Azure AI Services」などが挙げられます。これらのツールを活用することで、自然言語処理、画像認識、音声処理、データ分析などの高度なAI機能をアプリケーションに組み込めます。この認定資格を取得することで、Azure上でAIワークロードを構築・管理する能力を証明でき、企業や開発者にとって大きなメリットとなります。さらに、Azureのクラウド環境を活用すれば、スケーラブルで安全なAIアプリケーションを迅速に展開可能です。

パートナー企業の認定資格利用条件

 V.Nextのパートナーさまは現在の全ての要件を満たす必要があります。Solutions Partner Designation、パフォーマンス、スキリング、そしてAzure Innovate-Partner ledの活用です。取得のために必要な取得要件と案件条件は下記の通りです。

・パートナーはAzure Partner-led Governanceの要件を満たしていること
・パートナーはいずれかのAzure Specializationを取得していること(一つのみ必要)
・パートナーは少なくとも3件のAzure Innovate Partner-led案件を完了していること

<案件条件>
・Post-sales案件のみ(PoV案件は対象外)
・案件サイズはSmall、Medium、Largeのみ(XS案件は対象外)
・想定ACRがData Platform、AI Platform、App Platformの各ピラーでそれぞれ300ドルを超えるもの

 今回はAzure Specialization V.Nextについて紹介しました。本プログラムを検討しているパートナーさまはBuild AI Appsの要件を確認し、Partner Centerから条件の達成状況を確認してみてください。そうした中で、お客さまのビジネスアプリケーション開発のメリットを享受できる認定取得の活動などを一つひとつ進めていきましょう。

 そして、このプログラムを利用し、お客さまへのアプリケーション、インフラストラクチャ、データワークロードをAzureに安全に移行およびアップグレードし、スケーラビリティとAIの準備を進めていきましょう。

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏