テクノロジーとスキルの溝を解消
未来を支える人材を創出する
2026年3月27日、デル・テクノロジーズは「包括的人材育成プログラムに関する説明会」を開催した。深刻化するIT人材不足という日本の構造的課題に対し、「デジタル強化=国力強化」を掲げて始動した本プログラム。ITビギナーから次世代リーダー、AIの実践スキルを求める技術者まで、幅広い層を支援する教育施策の全容が明かされた。
スキルの空白を埋める
多層的な育成施策の展開

常務執行役員
ソリューションズアーキテクト統括本部長
藤森綾子 氏
現在、日本が抱えている構造的課題は極めて深刻だ。労働人口の減少や少子高齢化が進み、多くの企業が人手不足に直面している。ビジネスの現場においてもデジタル人材の不足や生産性の低迷、さらには「デジタル負債」の蓄積といった課題が山積しており、これらが経済成長を阻む大きな足かせとなっている。生成AIをはじめとするテクノロジーが急速に進化する一方で、国内ではそれらを扱う人材や学びの機会が不足しており、この「スキルの空白」が成長のボトルネックとなっているのが実情だ。
「テクノロジーがかつてないスピードで進化する今、日本の成長を左右するのは、“どれだけ最新の技術があるか”ではなく、“それを使いこなす人材がどれだけ育っているか”だと考えています。一人ひとりがデジタルの知識を自分たちの力として習得し、実務に生かせるよう支援すること。当社は今、そのための環境づくりに注力しています」とデル・テクノロジーズ 常務執行役員 ソリューションズアーキテクト統括本部長 藤森綾子氏は説明する。
デル・テクノロジーズが今回発表した「包括的人材育成プログラム」は、まさにこの「テクノロジーの進化とそれを使いこなす個人のスキルとの間にあるギャップ」を埋めるための取り組みだ。
デル・テクノロジーズの「包括的人材育成プログラム」は、まさにこの「テクノロジーの進化と、それを使いこなす個人のスキルとの間にあるギャップ」を埋めるための取り組みだ。同社では2024年に自治体と連携してデザイン思考を学ぶ「Next Gen Leaders Program」を開始し、次世代のリーダーの育成に力を入れてきた。Next Gen Leaders Programは、企業の次世代リーダー候補が地域のリアルな社会課題に向き合い、デザイン思考とデジタル活用を通じて解決策を創出する、9カ月間の長期プログラムだ。1年目は埼玉県さいたま市、2年目は千葉県印西市を対象に実施し、参加企業は11社から17社へと拡大した。自治体・参加企業・参加者のいずれからも高い評価を得ているという。
そしてNext Gen Leaders Programに加えて、2026年4月から新たに展開するのが、ITビギナー向けの「ITインフラストラクチャー基礎講座」や中堅技術者向けの「AI講座」だ。
「AIをはじめとするテクノロジーへの理解は、今やエンジニアだけでなく、全てのビジネスパーソンにとっての必須教養になりつつあります。本プログラムは、インフラの基礎から次世代リーダー育成までを網羅し、日本の未来を担う人材を育てるためのプラットフォームです。一人でも多くの方がこの学びを通じて自信を深め、自らのキャリアを切り拓くとともに、日本の未来を支える存在になっていってほしいと考えています」と、藤森氏は包括的人材育成プログラムに懸ける想いを語った。
未経験者を支える
ITインフラ学習の最初の一歩
「現代の読み書きそろばん」としてのITリテラシーを、誰もが短期間で身に付けられる場を目指して開講するのが、ITインフラストラクチャー基礎講座だ。本講座は、IT未経験者やキャリアのブランクがある人でも参加できるよう設計されており、ITインフラの基礎を体系的に学べる内容となっている。講座は全10セッション(各80分)で構成され、以下の2段階のコースを用意する。
・エッセンシャルコース(セッション1〜2)
コンピューターの成り立ちや情報の扱いといったITの出発点から始まり、サーバー・ストレージ・ネットワークの役割を水道やガスなどの社会インフラに例えながら、ITインフラ全体の流れを理解していく。
・アドバンスドコース(セッション3〜10)
サーバー、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティ、そしてAIまでを順序立てて学んでいく。アニメーションや身近な例を用いて、視覚的にも理解を深める工夫が施されている。


プリセールス センター オブ エクセレンス 部長
上田倫子 氏
デル・テクノロジーズ プリセールス センター オブ エクセレンス 部長 上田倫子氏は、「ITインフラは公共インフラのように当たり前に動くものと捉えられがちですが、アプリケーションを安定稼働させるためにはその理解が不可欠です。一番のこだわりは、難解な言葉を使わずに知識を“点”ではなく“線”でつなぎ、全体像を把握できるようにしたことです。IT未経験の方も、ぜひこの機会に知識を深めていただきたいです」と話す。なお、ITインフラストラクチャー基礎講座の初回開催は2026年5月12日を予定している。
現場で使えるAIスキルを
“体験”で磨く実践講座

フィールドCTO
望月 亮氏
包括的人材育成プログラムの最先端を担うのが、IT中堅技術者を対象とした「AI講座」である。本講座は、現場で活躍するIT・情報システム部門の中堅技術者層を対象に、AIの基礎からビジネス適用までを短期間で集中的に学べるプログラムだ。シンガポールに設立された「AI Innovation Hub」で培われたグローバルな知見を日本のエンジニア向けに展開するもので、以下の2種類のコースを用意している。
・AI Workshop for NVIDIA NIM
生成AI/LLM/NLPの基礎を1日で学べる。実際に「NVIDIA NIM」を用いて、エンタープライズ向けAI開発・展開を行う。AIの基礎を学びたい若手から中堅エンジニアなどAIに関心のある担当者が対象となる。
・AI Workshop featuring AI ISV
「Run.ai」「ClearML」「Rafay」といったAI ISVソリューションを3日間で比較体験できる。マルチテナント構成や自動化を含むアーキテクチャーの差異を理解しながら、GPUaaSを学べる。AIサービス事業のビジネス責任者やITアーキテクトが対象となる。
「AIの知識を座学で得ることも重要ですが、それだけでは現場の課題に即した確信を得るのは難しいのが実情です。実際に環境を構築し、手を動かして試行錯誤する『体験』があってこそ、ビジネスの実装フェーズで通用するスキルが磨かれます。私たちが目指すのは、お客さまが当社の支援を離れた後も、自律的にAIプロジェクトを牽引できる『自走』の形です。個々のエンジニアが現場をリードしていくことこそが、日本全体のAI変革を加速させる近道であると信じています」とデル・テクノロジーズ フィールドCTO 望月 亮氏は説明する。
デル・テクノロジーズでは、こうした実務者向けの教育プログラムに加え、将来のIT人材の裾野を広げる取り組みにも並行して携わっている。その一環として参画しているのが、公立はこだて未来大学、神奈川工科大学、法政大学、京都橘大学が主催する産学連携プロジェクト「ミライケータイプロジェクト」だ。企業が大学と連携して、ビジネスモデルを含めたサービスの企画・開発に取り組む学生プロジェクトを支援するものである。同社は合宿や発表会に参加し、社会人目線で評価・納品までの流れを共に体験し、アドバイスを行っている。将来のビジネスやスタートアップにつながるような、独創的なアイデアの具現化を後押ししている。
デル・テクノロジーズが本格始動させた包括的人材育成プログラムは、ITインフラの基礎から次世代リーダーの育成、さらには実践的なAI活用までを網羅する多層的な取り組みだ。こうした支援を通じて、テクノロジーの力で日本の未来を切り拓く人材を育むことで、個々の企業のみならず、社会全体に持続的な変革の波が広がっていくだろう。

