パナソニック エレクトリックワークス
エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの生活家電で知られるパナソニック。この家電事業から住宅事業、電気事業への広がりを見せたパナソニックグループは、住宅のIoT化を推進しているほか、これらのテクノロジーを活用したオフィスづくりにも注力している。「いい今日と いい未来を 電気設備から」をパーパスに掲げるパナソニック エレクトリックワークスは、パナソニックグループが培ってきた技術やノウハウを基に、オフィスのウェルビーイングな空間づくりをワンストップで提案している。その取り組みを紹介していこう。
WELL認証取得オフィスを拡大

安藤聖師 氏
パナソニック エレクトリックワークス社の事業を引き継ぐ新事業会社として2026年4月に設立されたパナソニック エレクトリックワークス。電気設備を起点に、ウェルビーイングやエネルギーマネジメントなどの新たな価値を創出し、持続可能な豊かな社会づくりに取り組む企業だ。
同社はパナソニックグループとしてWELL認証を取得するオフィスを拡大させている。2021年1月に「WELL認証(WELL v2)」のゴールド認証を取得した大阪府門真市のシステムソリューション開発センターを皮切りに、現在東京で2カ所、大阪で1カ所のオフィスがWELL認証を取得している。そのうち東京の汐留にある「worXlab」は、2020年12月に開設された“働くを実験する”ライブオフィスだ。2021年3月にWELL認証の「WELL Health-Safety Rating」(WELL H-SR)※を、2025年5月にWELL v2のプラチナ認証を取得しており、多様な働き方に応じて働きやすさと生産性の向上を両立させるワークプレイスとして、さまざまな取り組みや実験を重ねて進化を続けている。
WELL認証のWELL v2はWELL v1と比較してコンセプト数が7から10に増加し、より柔軟で実践的にWELLの概念を実装できる認証へと進化している。
具体的には空間全体の健康・快適性能を、10のコンセプトを軸に、加点項目およびイノベーションを評価し、その取得点数に応じてランク付与を行う。10項目は空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティから構成されており、60〜79点以上がゴールド、80点以上がプラチナとなる。
※WELL H-SR:WELL認証の中でも感染症や災害などの緊急事態対策に特化した施設に対する認証。
快適性を向上する温熱や音
worXlabではこれらの10項目に対して、どのような設備を導入しているのだろうか。パナソニック エレクトリックワークス ソリューションエンジニアリング本部 Well-being事業開発室 Wellマーケティング・営業推進部 マーケティング・営業2課 課長 安藤聖師氏は「オフィスにおいて課題になりやすいのが“音”です。例えば会議室では、音漏れや反響音などの課題が発生しやすいでしょう。そうした課題に対して、当社では『環境音BOX』という製品を活用して、人の話し声に合わせた環境音でマスキングを行っています。また音の反響に対しては吸音材を壁に貼り付けることにより、残響音を抑制した聞き取りやすい空間で会議が行えます。前述した環境音BOXは、会議室以外にもさまざまなエリアに設置されています」と語る。
worXlabは大きく分けて、休憩を行う「リフレッシュエリア」、会議に適した「ミーティングエリア」、従業員の交流を促進する「マグネットエリア」、集中して作業に取り組む「執務エリア」に分かれている。安藤氏が紹介した環境音BOXは、これらのエリアのさまざまな場所に設置することで、“音によるゾーニング”を実現している。例えばリフレッシュエリアでは自然を想起させるような鳥のさえずりや渓流音を流しているが、執務エリアでは行いたい作業に応じて流れる音楽のジャンルを変更することで、作業効率をアップさせ快適に業務を行えるようにしている。
また、温熱や空気環境も、テクノロジーによる課題解決を図っている。worXlabの空間は「空間見える化ソリューション」によって常に混雑度と温湿度などの環境計測が行われているほか、換気や気流、調湿や除菌などによる空気質コントロールによって、快適性の高いオフィスで働ける環境を整えている。また湿度のムラや空気のよどみなどが発生する場所に対しては「スポット気流」というデバイスでスポット的に自然な風を送ることで、穏やかな環境でリラックスしたり執務を行ったりする環境を整えている。

WELLなオフィスづくりをサポート
こうしたworXlabの環境は、ウェルビーイングな働き方を体感できる「Well-being体感ツアー」として多くの見学者を受け入れており、2020年の開設時から2026年4月現在までに1万人以上の見学者が訪れている。またこのオフィスづくりのノウハウを生かし、ユーザー企業のオフィスに対して、ウェルビーイングな空間づくりをワンストップで提案している。例えば前述したWell-being体感ツアーから始まり、顧客が抱えるニーズに合わせて、オフィスのWELL認証取得を支援したり、ウェルビーイングなオフィス空間づくりを支援する「オフィス診断レポートサービス」を提供したり、オフィスのエリアごとに適した製品やソリューションを「空間パッケージ」として提供したりする。
「WELL認証取得支援サービス」では、WELL認証取得を目指すオフィスの可能性検証(フィジビリティスタディ)を行い、プラチナやゴールドなどの目標レベルを設定する。次に本認証フェーズで、図面や運用状況から点数を獲得する方法を検討し、実装支援を行う。パナソニック エレクトリックワークスにはWELL認証資格を持つコンサルタントが33名在籍しており、WELL認証に必要な英訳資料の作成から設備提案、書類申請までを一気通貫で支援でき、WELL認証に関わる業務全体をサポートする。
worXlabのリラックスエリア、マグネットエリア、ミーティングエリアのような、エリアに応じた空間パッケージの提案も行っている。空間パッケージでは音やコミュニケーションといったピンポイントな悩みに対して、商材レベルで提案したり、パナソニック エレクトリックワークスのグループ会社と共に内装を含めたウェルビーイングなオフィス空間の実装に取り組んだりしている。
安藤氏は「グローバルでは、WELL認証を取得したオフィスで働くことで、営業利益率や労働生産性の向上などの効果が報告されている例もあります。worXlabは『ウェルビーイングを科学する』ことをテーマに、この場所でさまざまな科学をしながら、ウェルビーイングな働き方の追求を行っています。我々が実感し、研究したことをお客さまに提案し、よりウェルビーイングな環境づくりに生かしていけるような取り組みを、今後も進めていきます」と語った。


