今号のAzureから始めるAIとクラウドの未来では、Windows Server 2016のサポート終了(EOS)について説明します。Windows Server 2016は機能追加や仕様変更が行われるメインストリームのサポートが2022年1月11日にすでに終了しており、そして2027年1月12日には最終段階の延長サポートも終了となります。本稿では、OSサポートが終了したWindows Serverの継続利用によるリスクを踏まえ、クラウド環境であるMicrosoft Azureへ移行するメリットを見ていきましょう。

Windows Serverのバージョンをチェック

 現在OSの延長サポート期間中であるWindows Server 2016には、暫定措置として「拡張セキュリティ更新プログラム」(ESU)があります。ESUでは、最大3年の延長が可能です。しかし、EOS後はセキュリティ更新プログラムが提供されないため、サポート終了後も製品を継続利用することは、多くのリスクを伴います。例えば、セキュリティ更新プログラムの提供終了、新たなマルウェアによる情報漏えいといったセキュリティリスクの増大、ドライバーソフトやアプリケーションなど周辺サポートの終了、さらには、最新ソフトの未使用によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を利用したビジネスの妨げなどが挙げられます。また、コンプライアンス上の指摘として、サポート切れOSが使用できない可能性も生じ得るでしょう。37Pの左下にあるQRコードのWebサイトでは、Windows Serverの各バージョンのサポート期限などを紹介しています。Windows Server利用中であれば、確認してみてください。

 EOS後の対策方法としては、オンプレミスの環境を継続したWindows Server 2022やWindows Server 2025へアップグレードする選択もあります。しかし、変化の激しい事業環境において、お客さまのIT基盤には安定性に加え、柔軟性・拡張性が求められています。また、オンプレミス中心の運用では更改負荷や拡張性に限界があることから、クラウド活用を前提とした基盤への転換が必要な段階に来ています。2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」でも「2025年の崖」として、多額の経済損失リスクについて警鐘が鳴らされてきました。計画的に動ける今こそ、オンプレミスのサーバー環境をクラウドへ移行するリホスト(リフト&シフト)やクラウドでのPaaS化を実現するMicrosoft Azureの移行について、最も現実的に判断・検討できるタイミングといえるでしょう。

システムを最適化するMicrosoft Azure

 オンプレミス環境をMicrosoft Azureへ移行するメリットは複数あります。今回は、現在利用しているオンプレミス環境をほとんど変更せずにクラウドへ移行するプロセスであるリホストにフォーカスを当てて、メリットを紹介します。まずはリホストにより、シンプルかつ迅速にクラウドへの移行を推進します。リホストによるアプローチでは、最小限の変更でオンプレミスのワークロードをクラウド環境に移行できるため、移行プロセスがシンプルで迅速です。これにより、移行期間を短縮し、ビジネスの中断を最小限に抑えます。

 また、コードやアーキテクチャの変更を伴わないため、移行中に発生するシステム上のリスクが最小限となり、既存のアプリケーションやデータの整合性を保ちやすくなります。技術的なリスクや運用上の問題が最小限に抑えられるため、初めてのクラウド移行には最適です。

 そして、クラウドならではのメリットを享受することも可能です。クラウドではオンプレミスでは実現不可能な、全世界規模でのインフラストラクチャとネットワーク環境を保持しているため、分散配置が可能となり、高可用性、信頼性が実現できます。また、市場の需要に合わせてリソースを調整するスケーラビリティや現在の負荷状況を基にした、最適な自動スケーリングが可能となります。さらには高水準のセキュリティ面やコンプライアンス、災害復旧機能などのメリットをすぐに享受できます。併せて、各国のコンプライアンス制度に準拠しているため、標準のコンプライアンス/ポリシー機能で組織ルールに基づく利用が可能となります。これらのさまざまなクラウドの利点を迅速に活用することで、お客さまのビジネス価値を向上させられます。

 そしてコスト面のメリットもあります。リホストでは、アプリケーションコードやアーキテクチャを変更する必要がないため、OS移行時の再設計やリファクタリングにかかる初期投資が不要です。リソースに合わせてコストを最適化することにより、初期費用を抑えつつクラウド移行を迅速に実施することが可能となります。Windows Server 2016のEOSは、お客さまならびにパートナー企業さまのビジネス変革のチャンスとなり得る機会です。従来社内で運用していたオンプレミスサーバーをこの機会にAzureのクラウド環境へ移行しましょう。そうすることで、今後のセキュリティリスクや運用負荷の増大を回避し、IT基盤と運用の在り方を見直す契機にもなります。

 今回は、Windows Server 2016 EOSとMicrosoft Azureへの移行メリットについて説明しました。現在Windows Server 2016を利用しているお客さまは、2027年1月12日に延長サポートが終了する前のこのタイミングにMicrosoft Azureへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。

マイクロソフトのWebサイトにて、Windows Server 2016のメインストリームの終了日と延長サポート終了日を記載している。詳細は右下のQRコードより確認可能だ。

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏