今回のMicrosoft AzureによるAIとクラウドの未来では、新たに発表したパートナーオファリング「SMB path for Azure designation」(SMB path)について説明します。SMB pathは、パートナーさまがノウハウやスキル、専門性などの特長を明確にできる認定制度の「Microsoft AI Cloud Partner Program」(MAICPP)の考え方を前提に新たに提供するオファリングです。新たな特典プログラムを見ていきましょう。


日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人

Azure利用中の顧客にさらなるメリットを

 SMB pathは、以前、本企画で取り上げた、メンバーシップのレベルが上がるほど手厚いサポートや特典を提供できるMAICPPのプログラムがベースとなっています。マイクロソフトと連携した共同販売、マーケティング活動、オンラインストアの「Azure Marketplace」「Microsoft AppSource」へのサービス掲載により商談機会の創出やメンバーシップごとのマイクロソフト製品の特別ライセンスの利用、技術スキル習得支援などのさまざまな特典を享受できるプログラムです(図①)。

 MAICPPのメンバーシップレベルは、ネットワークメンバーから最上位のSpecializationで段階ごとに振り分けられます。その中でも、ソリューションパートナーに認定され、各条件が適合された場合にSMB pathが利用可能となります。SMB pathの条件とは、まず年間の取り引きが100万ドル未満のACRのご利用額であることです。次に、お客さまのうち80%以上がマイクロソフトの定義するSMB/SMCセグメントを利用していれば活用できます。ACRが「Enterprise path」より少なく、主にSMB/SMCのお客さまに対してビジネスを行っているパートナーさま向けに活用できる内容です(図②)。

 また、本プログラムを検討中のお客さまがどの認定に該当しているかは、マイクロソフトのパートナーさまが顧客との関係を簡単に管理できるサポートサイトの「Partner Center」に表示されているスコアで確認可能です。

 併せて、SMB pathを利用するためには、前提条件となる認定資格者のポイントの獲得や、Azure案件の獲得件数、前年成長率などの条件が含まれます。ソリューションパートナーの認定を受けるための基準と同様で、パフォーマンス、スキル、カスタマーサクセスのカテゴリー全体のパートナーさまのスコアによって決まります。SMB pathの対象となるパートナーさまは70ポイントに達し、各サブカテゴリーで少なくとも1ポイントを取得している必要があります。

SMB pathで可能となる四つのシナリオ

 SMB pathの特典として、マイクロソフトは、パートナーさまがSMBとSMCセグメントでビジネスを推進できるように、「Azure Migrate & Modernize」と「Azure Innovate」のパートナー主導のオファリングについて各々該当した場合に利用可能です。SMB Pathに該当するパートナーさまは「Azure CSP Incentive」を受け取るとともに、Specializationが必須要件となっているAzure Migrate & ModernizeとAzure Innovateを利用し、異なる二つの案件規模のプロジェクトサイズを選択することで、該当する案件規模に応じてオファリングを活用してもらうことができます。

 Azure Migrate & ModernizeとAzure Innovateでは、お客さまがアプリケーション、インフラストラクチャ、データワークロードをAzureに安全に移行およびアップグレードして、システム拡張やAI機能の実装を実現可能です。

 また、アプリケーションのAIの組み込み、高度な分析の開発、カスタムメイドのクラウドネイティブ・インテリジェント・アプリケーションの作成により、エクスペリエンスを向上させ、ビジネスの成長を促進できます。

 これらのオファリングにおいてサポートされているシナリオは四つあります。一つ目がMicrosoft Defender for Cloudを利用したインフラ/データベースの移行、二つ目がインフラ/データベースの移行、三つ目がAzureアナリティクス、四つ目がAIアプリの構築と最新化です。

申請に伴う日本語ガイダンスも用意

 パートナーさまが該当するお客さまの案件をSMB pathにノミネートする方法として、まずはPartner Centerから申請を行います。申請を行ってお客さまに同意してもらうことで、プロジェクトが開始、実行されます。

 パートナーさまがオファリングのガイダンスや申請プロセスなどでご不明な点がある場合は、日本語で支援することが可能なパートナーエンゲージデスクも準備しているので、そちらを活用しながら、申請を進められます。

 今回は新しいパートナーオファリングのSMB pathを紹介しました。中堅・中小企業のお客さまとのAzureビジネスを多く担当しているパートナーさまが活用できる新たなプログラムとなっていますので、すでに認定を取得されているパートナーさまは該当するお客さまの状況を確認し、オファリング内容を共有してみてください。

 併せて、オファーリングに興味を持っているパートナーさまは、まずはソリューションパートナー認定取得に向けた活動を進めていきましょう。

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏