スペース・フレームのコンセプトで
AI時代に活躍するThinkPadを提供
4月7日、レノボ・ジャパンは同社のノートPC「ThinkPad」シリーズの新製品を発表した。今回発表した最新ラインアップは全10モデルで、4月7日より順次発売予定となっている。10年以上採用してきたユニボディ構造を見直し、新たに「スペース・フレーム」のコンセントを打ち立てたThinkPad。一体どのような特長があるのか、会見の内容を詳しくレポートしていこう。
AIで働き方が変容する時代に
当初のコンセプトに立ち返ったPCを
4月7日に発表された「ThinkPad」シリーズの最新ラインアップは、以下の10モデルだ。
・14インチノートPC「ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition」
・14インチ2in1PC「ThinkPad X1 2-in-1 Gen 11 Aura Edition」
・14インチノートPC「ThinkPad T14s Gen 7」
・14インチ2in1PC「ThinkPad T14s 2-in-1 Gen 2」
・14インチノートPC「ThinkPad T14 Gen 7」
・16インチノートPC「ThinkPad T16 Gen 5」
・13.3インチノートPC「ThinkPad X13 Gen 7」
・13インチ2in1PC「ThinkPad X13 Detachable Gen 1」
・14インチノートPC「ThinkPad L14 Gen 7」
・16インチノートPC「ThinkPad L16 Gen 3」
本ラインアップのうち、ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition、ThinkPad X1 2-in-1 Gen 11 Aura Editionは4月7日から発売予定、ThinkPad T14s Gen 7、ThinkPad T14s 2-in-1 Gen 2、ThinkPad T14 Gen 7、ThinkPad T16 Gen 5、ThinkPad X13 Gen 7、ThinkPad L14 Gen 7、ThinkPad L16 Gen 3は5月中旬以降発売予定、ThinkPad X13 Gen 7 AMDは5月下旬以降発売予定、ThinkPad X13 Detachable Gen 1は7月下旬以降発売予定となっている。
会見ではまずレノボ・ジャパン 執行役員 副社長 開発担当 塚本泰通氏が登壇し、新ラインアップの紹介に先行して、以下のように切り出す。「当社がMM総研に調査を委託し、法人におけるPC利用動向調査を行ったところ、会社・もしくは一部部門でAI活用を進めている割合は60%でした。その中で、次回PC調達時にCopilot+ PCを含むAI PCの要件化を検討している割合は、57%でした。加えて、テレワーク制度が導入されている企業や組織の割合は、58%となっています。このようにAIの登場で働き方が変わってきている中、ThinkPadはそれをどう支えていくかを考えています」
さらに塚本氏は、2026年のThinkPad新ラインアップに込められたイノベーションをこう話す。「今回の製品の大きなコンセプトに『スペース・フレーム』があります。我々はThinkPadがIBMからレノボに変わった最初の年に、『ロール・ケージ』というコンセプトを導入し、堅牢性の塊のようなThinkPadを投入しました。そこから20年以上たった現在、技術の進化と共にそのコンセプトに立ち戻ったものが、スペース・フレームです」

また新しいThinkPadシリーズは、テレワークにおけるWeb会議で役立つよう、1,000万画素のウルトラワイドMIPIカメラを搭載している。広角110度のレンズとソフトウェアによる独自のゆがみ補正や、AIを活用したノイズ低減とHDR補正が可能で、Web会議を行う際のさまざまなペインポイントを解決する。
また塚本氏は、新しいThinkPadシリーズはメンテナンス性に注力していると語る。「新製品のThinkPad T14 Gen 7は、電子機器や家電製品などの修理に関連する情報提供を行う企業『iFixit』と協業し、メンテナンス性を高めました。バッテリー、SSD、キーボード、USB Type-C、メモリー、冷却ファンといった、あらゆる部品がユーザー自身で交換可能です。このメンテナンス性の高さは、サービスコストにも貢献すると考えています。例えばUSB Type-Cに不具合が起きた場合、メモリーが高騰している中でマザーボードを全て交換するのは、コストがかかります。しかしThinkPad T14 Gen 7であれば、USB Type-Cコネクターだけ交換すればよいのです」

最後に塚本氏は、ThinkPadのセキュリティについて次のようにアピールした。「ThinkPadはビジネスPCとしてお客さまのデータを保護し、ビジネスに貢献します。まず信頼の基点となるファームウェアを、日本国内で開発しています。加えて、第三者機関によるファームウェアの安全性評価を通じた、客観的と透明性の確保を行っています。また、米国国立標準技術研究所(NIST)が定める技術標準に準拠しています。開発チームから独立した米国拠点のプロダクト・セキュリティ・オフィスによって、厳格な評価を実施しているのです。さらに当社は、部品調達から製造、出荷、デリバリーまで、一気通貫の安全なサプライチェーンを構築しています」
全ての筐体デザインでCopilot+ PCを
選択可能な新ラインアップ
塚本氏に次いでレノボ・ジャパン 製品企画本部 プロダクトマーケティング部 部長 元嶋亮太氏が登壇し、今回発表するラインアップについて「今回は全ての筐体デザインで、Copilot+ PCに対応します」とアピールする。

「Copilot+ PCに対応したThinkPadを初めて出したのは、日本においては2024年8月でした。そこから1年半強が経過した今日、お客さまにより良いAIの体験を提供するために、全筐体デザインでCopilot+ PCを選べるようにしました」
今回発表したモデルのうち、ThinkPad T14 Gen 7のAMD Ryzen PRO 200シリーズ プロセッサー搭載モデルと、ThinkPad T16 Gen 5のAMD Ryzen PRO 200シリーズ プロセッサー搭載モデルのみCopilot+ PC非対応だ。そのほかのモデルは全て、Copilot+ PC対応機種となる。

また新ラインアップは、最軽量構成で約977gとなるThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition、最軽量構成で約936gとなるThinkPad X13 Gen 7などをそろえ、シリーズを横断して可搬性にフォーカスしている。さらに元嶋氏は、軽量化以外にも持ち運びたくなるポイントを用意していると話す。「従業員体験の中には、持ち運びたくなるデザインも含まれます。この持ち運びたくなるデザインを実現するために、ThinkPadはThinkPad T14 Gen7とThinkPad T14s Gen7のインテル Core Ultra シリーズ3 プロセッサー搭載モデルで、『Cosmic Blue』という新しいカラーを選べるようにしました。暗めの青色のカラーで、表面に微細な凹凸を設けて、対指紋付着性を向上しています」

加えて今回の新ラインアップでは、ThinkPad X1 Carbon/2-in-1、ThinkPad T14s(インテル/AMD)、ThinkPad T14s(Snapdragon)、ThinkPad T14s 2-in-1、ThinkPad X13 Detachableにおいて、左右両面にUSB Type-Cポートを備えている。使用場所に合わせた柔軟な給電が可能になり、場所を問わない業務をよりサポートしていく。
そして今回は全ての製品で、オプションとして内蔵5Gもしくは4G LTEを組み込み可能だ。またこれらのカスタマイズを行った上で、同社の5年間データ通信容量制限なしの5G/4G LTE接続利用権を付帯するサービス「Lenovo ConnectIN」を選択できる。Lenovo ConnectINは国際ローミング対応のラインアップを追加したため、日本から海外へ出張へ行く際も、Lenovo ConnectINをそのまま使えるようになったのだ。
最後に元嶋氏は、新ラインアップについて以下のように強調した。「常にAIとつながり続けられる筐体、デザイン、設計、そして体験をしっかり提供することで、場所を問わない生産性の向上に寄与します」
冷却性能の向上を目指して
ユニボディ構造を根本から見直す
会見の最後にはレノボ・ジャパン 大和研究所 機構開発プロジェクト#1 筐体設計リーダー 堀内茂浩氏が登壇し、今回のラインアップのコンセプトについて以下のように切り出す。「ThinkPadはお客さまのニーズや時代背景に合わせて、その都度最適な構造を見直してきました。そして今の時代は、AI時代に適応できるパフォーマンスは当たり前として、メモリーやストレージが高騰する中において、高いメンテナンス性も求められています。その時代背景に応えながら、薄くて軽くてスタイリッシュなデザインを守るにはどうしたらよいかを考えました。そこで10年以上続けてきた『ユニボディ構造』を根本から見直し、スペース・フレームへ進化させました」

ユニボディ構造では、コンポーネントを全て底面側から組み付けていた。そのためマザーボードに実装されるCPU、メモリー、コネクターなどは、全て底面カバー側にあった。これによりPCのパフォーマンス向上を目指すに当たって、冷却性能の改善でとある問題が起きた。
高い冷却性能を実現するには、より大きなサーマルモジュールが必要になる。しかしユニボディ構造では、サーマルモジュールの周辺に、CPUといったほかの部品が敷き詰められていたのだ。つまりは、サーマルモジュールを大きくできる余裕がなかった。もし無理に平面的に大きくすると、PC自体も大きくなり、可搬性と相反する設計になってしまう。
そこで同社は、平面的に拡大するのではなく、3次元的に各コンポーネントのレイアウトを見直した。コンポーネントをマザーボードの両面に実装すれば、その分マザーボードのタイルを小さくし、空いたスペースをサーマルモジュールの大型化に使えると考えたのだ。しかしユニボディ構造では、キーボード面にコンポーネントを組み付けられない。
それを解決したのが、スペース・フレームだ。マザーボードを両面実装にするとともに、筐体も両面からアクセス可能になるよう、再設計を行った。これにより、ユニボディ構造では底面にしか配置できなかったコンポーネントを、キーボード面にも実装できるようにした。デザインの制約を突破し、サーマルモジュールの大型化につなげたのだ。

スペース・フレームのメリットは、サーマルモジュールの大型化以外にもある。例えば、モニター駆動のために必要なパワー基盤の移動だ。従来は天板の方に配置していたため、天板はドームのような形になっていた。しかしスペース・フレームによって、空いたスペースに移動が行えたため、フラットな天板を実現できたのだ。
またコネクターの両面配置によって、マザーボードが18%小型化している。この小型化によって生まれたスペースは、余すことなくサーマルモジュールの大型化に使われている。ちなみにサーマルモジュールは、前世代比で81%大型化した。もちろん部品の材料や構造を見直すことで、サイズは大きくなりながらも、重量の削減に成功しているのだ。

新ラインアップはサーマルモジュールの大型化で冷却性能を上げたことに加え、取り入れた外気を直接熱源に供給する「AeroCore 冷却テクノロジー」によって、より冷却性能を上げている。さらにはキーの隙間から補助外気を取り入れる機構を採用し、どこにどう空気が出るかを突き詰めた設計をしている。こうしたテクノロジーの採用や設計機構によって、表面温度のさらなる低減と併せて、ファンノイズの削減も行っているのだ。
スペース・フレームによるメリットはまだある。Wi-Fiアンテナは、前世代までヒンジ部分に内蔵していた。しかしスペース・フレームで空いたスペースに移動させることで、ヒンジエリアを小型化したのだ。これによりキーボードが上方向に移動したため、タッチパッドを前世代比で23%大型化できた。またキーボードについても、カバーを丸ごと外せるようになったため、交換に要する時間を従来比で90%削減したのだ。
最後に堀内氏は、今回の新ラインアップについて「時代に合わせたお客さまの生産性向上をサポートしていきます」と意気込みを語った。
