ドローン・自動配送ロボット市場は2025年度から本格化
Drone / Automatic Guided Vehicle
矢野経済研究所は、ドローンおよび自動配送ロボットを活用した物流市場規模予測を発表した。調査によると、現在の同市場は実証実験から社会実装に移行すべく、技術開発・法整備・サービス/ビジネスモデルの構築が進められている黎明期であり、本格的な市場の立ち上がりは2025年度ごろになる見込みだ。
2025年度の同市場規模は23億2,000万、2030年度には198億3,000万円と市場の拡大が予測される。市場拡大の予測の背景として、ドローンおよび自動配送ロボット共にビジネスモデルが確立し、導入が進むと見込まれていることがある。
ドローンの導入目的として、過疎地域における物流課題の解決がある。高齢者が多い過疎地域では買い物難民が増加している。さらに物流事業者も、一配送当たりの物量が少ない、長距離のため配送効率が悪く採算が合わないといった課題を抱えている。こうした過疎地域の課題を解決し、既存の輸配送手段と組み合わせた持続可能な物流網の構築を行うための手段として、ドローンが今後も導入されていくとみられる。
低速・小型の自動配送ロボットは機体のコストが高く実証実験を行うハードルが高いことから、これまで行ってきた実証実験や短期サービスを基に、ユーザーニーズと合わせたビジネスモデルの構築が行われている段階だ。しかし2030年度ごろには、ビジネスモデルが構築され、機体の量産化が行われることで運用コストも下がっていく見込みだ。
また中速・中型の自動配送ロボットは、今後法律の整備やルールが策定されるとともに、2030年度ごろまでに地方都市を中心に社会実装が進んでいくと矢野経済研究所は予測する。
ドローンの実証実験は過疎地域を中心に進む
同調査では、現在行われているドローンと自動配送ロボットの実証実験についても調査している。
2023年のドローンの実証実験は、過疎地域を中心とした実証実験が進んだのに加え、これまで実証を重ねてきた地域の社会実装へ移行するケースも見られた。2023年末には、市街地など有人地帯を飛行する「レベル4」飛行と、補助員や看板を設置し無人地帯を飛行する「レベル3」飛行の中間に位置付けられる「レベル3.5」飛行の新設がされた。そのため2024年度以降は、機体や制度の面からレベル4飛行ができる体制が整うまで、レベル3.5飛行によるドローン物流の実装が進むと予測する。
低速・小型の自動配送ロボットは、都市部や住宅地を中心にサービス展開や実証実験が行われている。その背景として、2023年4月に道路交通法の一部を改正する法律が施行され、公道を走行する低速・小型の自動配送ロボットによる配送サービスが可能となったことがある。また中速・中型の自動配送ロボットは、郊外を中心にサービス展開や実証実験が行われている。制度が始まって間もないため、2024年度以降届出制に基づき、徐々に自動配送ロボットを運用する事業者が増えていくとみている。
書式が定まった紙面の転記/照合での活用進む
Robotic Process Automation
ノークリサーチは、年商500億円未満の中堅・中小企業におけるRPAツールの用途と導入状況についての調査、分析を行った。同調査ではRPAツールを適用する場面や用途として、「書式が定まった紙面の転記/照合」「非定型である紙面の転記/照合」「手書きを含む紙面の転記/照合」に分類している。そしてRPAツールの導入状況を、「2022年導入済み」「2023年導入済み」「2023年導入予定」、一旦導入したが、2023年時点で廃止してしまった「2023年導入あり&廃止」の4通りに分けて調査を行った。
同調査によると、2023年導入予定の割合はそれぞれ、書式が定まった紙面の転記/照合が36.9%、非定型である紙面の転記/照合が27.7%、手書きを含む紙面の転記/照合が30.8%となり、書式が定まった紙面の転記/照合が最も割合が高い結果となった。この結果から、今後は最も基本的な用途である書式が定まった紙面の転記/照合が再び増えていくとノークリサーチは予測している。
またRPAツールを適用する場面や用途として、「ファイルを定期的に配置する」「メールを定期的に配信する」でも同様の調査を行っている。
同調査によると、ファイルを定期的に配置すると回答した割合は、2022 年導入済みが23.3%、2023 年導入済みが22.8%、2023 年導入予定が22.1%と、導入状況によって目立った変化は見られない。その一方でメールを定期的に配信するという回答の割合は、2022年導入済みの13.1%と比べて、2023年導入済みは22.5%と増加しており、2023年導入予定も同程度の20%となっている。しかし、2023年導入あり&廃止と回答した割合が23.3%と高いことから、メール誤送信などのトラブル発生によってRPAツール活用が中断するリスクを考慮する必要があるとノークリサーチは指摘する。
エッジAIソリューション市場は前年度比36.4%増
Edge AI Solution
デロイト トーマツ ミック経済研究所はエッジAIソリューションの市場予測を発表した。同調査ではエッジAIソリューションを、「SIサービス」「アプリケーション開発」「エッジAIプラットフォーム」「AIエンジン」「エッジAIコンピューター」「エッジAIカメラ」「カメラ」「センサー」の八つに分類して調査を行った。
2022年度のエッジAIソリューション市場は、前年度比36.4%増の約109億円となった。市場拡大の背景として、エッジAIコンピューターとエッジAIカメラの成長がある。
エッジAIコンピューターは、従来製造業での異常検知や状態監視が中心であった。しかしカメラと接続することで、人流・人物解析・侵入検知の用途で利用されるケースが増えている。その結果、前年度比57.1%増と大きな成長を見せた。
エッジAIカメラは、立入検知や防犯といったセキュリティ用途が中心だが、カメラで人や車などを集計し、店舗や公共施設の混雑状況を可視化する目的で導入が進んだ。さらに、性別や年齢といった来場者の属性も解析し、マーケティングに活用するケースも増加している。こうした人物画像データの活用はプライバシー侵害の課題があるが、エッジAIカメラは個人を特定できないように処理したデータのみをサーバーに送信する。そのため、プライバシーを確保しながらデータを活用できるとして、導入が進んでいるのだ。
こうした傾向は今後も継続し、2027年度には市場規模が369億円に達する予測だ。