2024年の国内ITサービス市場は7兆205億円
IT Service
IDC Japanは、国内ITサービス市場予測を発表した。本調査では、ユーザー企業について18の産業分野(小分類)別の分析に加え、六つの産業分野(大分類)別、および三つのサービスセグメント(中分類)別にITサービス支出額をまとめている。また、AIユースケースやPoC(Proof of Concept)から実装へのAI活用フェーズへの進展など市場の詳細を述べた。
2024年の国内ITサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けた旺盛な需要を受けて、前年比7.4%増の7兆205億円となった。サービスセグメント別に見ると、幅広い産業分野における既存システムのクラウド移行/モダナイゼーション、デジタルイノベーションのためのシステム構築への支出の拡大により、ITコンサルティングやSIなどのプロジェクトベース市場が最も高い成長率に達した。また、マネージドサービス市場は、従来ITシステムの運用管理サービス支出は減少しているが、マネージドクラウドサービスやサービスプロバイダー向けのホールセールコロケーションサービスの拡大などの影響で、堅調な成長を遂げている。
産業分野別に見ると、官公庁での大型の既存システムの刷新プロジェクト、地方自治体での自治体システム標準化の本格化を背景に、政府/公共が最も成長率の高い産業分野となった。このほか、既存システムのクラウド移行/モダナイゼーション、顧客エクスペリエンス(CX)向上やデータおよびAIの利活用に向けた支出拡大の影響で、金融業、製造業、流通業は相対的に高い成長を遂げた。
AIの実践へのフェーズ移行は投資の促進要因に
2025年以降、国内企業のデジタルビジネス化に向けた既存システムのインフラ/アプリケーションのモダナイゼーションへの投資と新たな価値創造に向けた新システムへの投資の持続的な拡大を背景に、同市場の2024〜2029年の年平均成長率は6.6%で成長する見込みだ。2029年には9兆6,225億円に達すると予測している。また、AI利活用におけるPoCから実践へのフェーズ移行、およびAIユースケースの発展は、これらの投資の促進要因になるとみている。
IDC Japan Software&Servicesのシニアリサーチアナリストの村松 大氏は同市場について次のように述べている。「国内ITサービス市場では、幅広い産業分野で、既存システムのクラウド移行/モダナイゼーション、およびデジタルイノベーションの実践に向けた新システム構築に関連した需要の拡大が見られます。2025年以降、これらの需要に加え、カスタム開発におけるシステムのモダナイゼーションの本格化も相まって、ITサービス支出の持続的な拡大が見込まれます。国内企業でのAI利活用におけるPoCから実践へのフェーズ移行、およびAIユースケースの発展は、その促進要因となるでしょう」

健康管理市場の2023年度の売上金額は60億円
Health management
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内の健康管理市場規模推移および予測を発表した。健康管理市場の2023年度の売上金額は60億円、前年度比20.0%増となった。2024年度は同22.5%増を予測している。本市場は、少子高齢化による人材不足が進む中、健康管理システムの導入によって従業員の健康リスクを低減し、離職や休職の防止にもつながるとして、年々注目度が高まっている。また、従業員への健康投資を行う「健康経営」に取り組むことは、企業価値の向上につながるとの意識も高まりつつある。同市場に新規参入するベンダーも増加傾向で今後も成長が見込まれることから、2023〜2028年度の年平均成長率は20.6%を予測している。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、次のようにコメントしている。「働き方改革関連法により、2019年4月1日から『産業医・産業保健機能』と『長時間労働者に対する面接指導等』が強化され、労働者の健康確保ならびに健康経営は、ESG経営のSに位置付けられる社会的責任と認識されています。健康経営により、従業員や組織がもつポテンシャルを最大限に活用するためには、従業員の健康および労働の状況に関する情報を一元的に管理・共有しつつ、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないようにしなければなりません。そのためには、拠点ごとに散在する健康データを一元管理できる健康管理システムの導入を出発点とし、従来の人事・人材システムでは管理しきれなかった産業医や産業保健師が必要とするデータを容易に管理・分析できるシステムを構築することが求められます。健康経営を支援するシステムへの企業の投資は、今後も継続的に拡大すると予測しています」

タブレット端末の出荷台数は4年振りの増加
Tablet
MM総研はタブレット端末の国内出荷台数を調査した。タブレット端末の国内出荷台数は、635万台で前年比6.7%増となった。2020年は小中学校を対象としたGIGAスクール構想による需要がピークに達したことを背景に、969万台を出荷した。2021年も特に1〜3月期はその恩恵が続き、939万台と2年連続で900万台超を記録したが、2022年から2024年は2020年の約3分の2に低迷している状況だ。しかし、2024年はGIGAスクール構想の第2期開始を受けての買い替え需要が始まり、前年比40万台増と僅かながら4年振りの増加に転じた。
2024年暦年のメーカー別出荷台数シェア1位はAppleで、暦年出荷台数として15年連続で1位を獲得した。出荷台数は327.7万台で、シェアは51.6%となった。2023年は2013年以降で初めて300万台を割り、シェアは50%未満となったが、再び過半数を獲得した。以下、2位はNECレノボグループ、3位はマイクロソフト、4位はアマゾンの順となった。
Appleは3月12日、M3チップを搭載した新型のiPadおよびiPad Airを発表した。既存モデルを含めてiPad AirやiPad Proでは生成AI機能「Apple Intelligence」にも対応しており、2025年4月に日本語にも対応した。スマートフォン市場を見ると、Androidでは生成AI機能を搭載したAIスマホが数多く発売されており、新しいテクノロジーとして消費者の興味関心を集めている。
2025年のタブレット市場は、2020年に普及が進んだ小中学校向けGIGAスクール端末の本格的な買い替え需要が見込まれ、100万台規模で増加するとみている。
