情報漏えい対策からIT資産管理まで
企業を総合的に支援する「MaLionCloud」

本連載では約2年にわたって、Chromebookをテーマにビジネス分野での活用方法を紹介してきた。今月号からはChromebookのみならず、WindowsやMacと対象の範囲を広げ、ニューノーマル時代の働き方にマッチする商材をピックアップしていく。今回は新しい働き方に柔軟に対応するクラウドサービスとして導入が広がっているインターコムの「 MaLionCloud」を取り上げる。

一つのサービスで三つの管理を実現

 インターコムの「MaLionCloud」は、従業員の働き方の管理と、企業で利用しているPCやアプリなどのIT資産管理、情報漏えい対策という三つの機能を一つのクラウドサービスとして提供する。Windows OSとmacOSに対応しており、ライセンス管理をはじめ、ファイルアクセス制御やログ分析/レポートなどの社内PCの総合的な運用管理に必要とされる機能一式を標準で搭載している。

 コロナ禍以前は、PCなどのIT資産管理ツールをオンプレミスで運用している企業も多かった。しかし、コロナ禍で急速に在宅勤務が広がったことで、オンプレミスからクラウドへと移行するケースが増えている。

 また、働き方改革が加速する中で、時間や場所を選ばないワークスタイルが普及したことで、これまでのような出社とタイムカードによる労務管理が限界となりつつある。そうしたニーズに応える製品として、MaLionCloudは需要を拡大させている。

 MaLionCloudはクラウドサービスなので、サーバーの構築・メンテナンスがいらず、利用者数分のライセンスを契約するだけで良いため、初期投資が抑えられる。そのため、大企業から小規模事業者まで、手早く手軽に導入できるメリットがある。コロナ禍を経て広がった柔軟な働き方と、的確な労務管理を両立させたいと考えている経営者や人事部門にとって、MaLionCloudは解決策となるだろう。

社員の働き方を可視化

 接客業やフィールドワークが必要な仕事を除けば、多くの働き方の中心にはPCの利活用がある。バックオフィスでの事務処理をはじめとして、企画の立案/ミーティング、プレゼンテーション、資料の収集/整理、マーケティング/リサーチ、システム開発/サポート、顧客対応/コミュニケーション/コラボレーションなど、PCとアプリで成り立っている業務は多い。それだけに、今やPCの利用が業務時間に直結している。

 MaLionCloudのPC管理機能では、業務で利用するPCの稼働時間をモニタリングして、的確な労務管理を実現する。PCを利用している時間の管理が、社員の働き方を正確に記録する指標となる。MaLionCloudの「端末稼働レポート」を使うと、PCを使用していた状況が色分けされたグラフで可視化されるので、社員一人ひとりの働き方を正確に検証できる。可視化される作業ログは、PCの画面に動きがあるアクティブウィンドウ、画面が動いていないスリープやスクリーンセーバーの状態、電源のオン/オフとログイン/ログオフ状態などに分けられる。これらの状態が可視化されることにより、長時間労働などの働き方の異常も検知できるようになる。

 MaLionCloudのサンプル事象によれば、「トータルのPC稼働時間が12時間を超えているにもかかわらず、実際の操作時間が7時間ほどしかない」という状況を可視化した場合、空白の5時間を追跡して隠れ残業や過剰な休憩時間を掌握できるという。また、出退勤の時刻とPCの利用時間を比較して、疑わしいPCの利用の察知も可能だ。こうした潜在的なリスクの発見だけではなく、MaLionCloudを他社の勤怠管理システムと連携させて、より利便性の高い労務管理も実現できる。

セキュリティ対策にも効果を発揮

 MaLionCloudによるPCのモニタリングは、働き方の可視化につながるだけではなく、内部不正を見抜くセキュリティ対策にも効果がある。かつて、ある偉大な経営者が「人に罪をつくらせないシステム」の重要性を経営哲学として唱えた。人の心の弱さを念頭に、ダブルチェックのような仕組みをつくることで、不正を行わない管理体制が重要なのだ。MaLionCloudでは、アクセス権の範囲を明確に定めて、適切な制限を行い機密情報への不正アクセスを抑止する。

 また、未許可のUSBメモリーの使用を一律に禁止するといった端末制御により、不正なデータの持ち出しを予防できる。さらに、PC上での各種操作に対してセキュリティポリシーに反する行為を検出した際に、警告画面を表示する機能も備えている。時間外の利用や疑わしいアクセスを繰り返すといった行為に対して警告することで、不審な行動の抑制にもつながる。

 MaLionCloudは、こうしたセキュリティ対策機能に加えて、モバイル端末管理(MDM)機能を搭載しているため、社員がうっかり外出先でPCを紛失したり盗難にあったりしても、リモートで大切な情報を保護できる。柔軟な働き方が日常になった今だからこそ、PCの管理を通したセキュリティ対策の強化は社員を守るために必須の取り組みといえる。

 MaLionCloudの導入には、管理者環境の導入や管理される側への端末エージェントの展開などの作業が必要となり、ある程度のIT知識が求められる。しかし、導入後はクラウド経由で管理コンソールを操作するだけなので、IT部門だけではなく総務や人事などの管理部門でも容易に利用が可能だ。労務管理やIT資産管理などは、情報システム部よりも業務に直結する部署で行う方が、収集されるデータを的確に処理できる。システムのアップデートやサーバーの運用管理が不要というクラウドサービスの利点もあり、情報システム部門の手離れが良い。インターコムでは、同社の技術員がサポートを行う「導入支援メニュー」などを用意しているため、IT部門がなく、ITスキルに長けた人材を確保していない小規模事業者でも安心して運用できる。

 労務管理やセキュリティ対策といった観点からも企業の経営規模にかかわらず、MaLionCloudのようなPC管理ツールの利用は、今後さらに求められるようになるだろう。そうしたニーズに対して、MaLionCloudは、Windows OSだけではなくmacOSに対応しているというアドバンテージがある。映像制作やグラフィックデザインといったクリエイティブな業種ではmacOS、総務・経理部門ではWindows OSといったように企業内で複数の端末を利用しているケースも多い。OSが混在する環境で、的確に端末の管理を行うのであれば、MaLionCloudは的確なソリューションとなるだろう。