国内PCの出荷台数は2年連続減

PC

 MM総研は2022年の国内PC出荷台数を調査した。2022年の国内PC出荷台数は前年比14.7%減の1,127.2万台と、2年連続の減少結果となった。出荷台数が減少した要因として、生産用部品の不足や不安定な中国の生産ラインによる製品の供給不足と、円安による値上げを挙げる。

 メーカー別の出荷台数シェアでは、NECレノボ・ジャパングループがシェア24.2%と、前年度比5.2ポイント減少しつつも首位を維持、出荷台数は272万4,000台となった。次いで2位は日本HP、3位は前年から順位を一つ上げてデルとなった。デルの順位上昇は、設計変更などを含めた対応により法人向けを中心として堅調に実績を伸ばしたことによると分析している。一方個人向け市場では、Appleの新CPU「M2」搭載モデルが人気となりシェアを拡大した。

 また同調査では、2022年の出荷平均単価についても調査している。2022年の出荷平均単価は10万7,594円で、2021年の8万4,336円から2万3,258円上昇した。2008年以来14年ぶりに単価が10万円を超えた結果だ。背景として、在宅勤務やWeb会議などが増えたことによる、ハイスペックなモバイルノートPCの需要の増加を挙げる。さらに、年後半の円安による製品値上げも影響したとみている。単価が上昇した結果、2022年の出荷金額は1兆2,128億円と、出荷台数が減少しながらも、前年比8.8%増を維持した。

2023年は検証・準備の1年

 同調査では、2023年のPC出荷台数を予測している。2023年のPC出荷台数は、個人向け、法人向け市場共に縮小し、前年比3.7%減の1,086万台を見込んでいる。

 個人向け市場の出荷台数は368万台と、縮小幅が大きい。しかし、世界的なPC需要の冷え込みでメモリーなどの主要部品の価格が下がり、ゲーム市場向けなどの高性能機においては割安な製品が出始めている。さらに、不確定要素も多いが、店頭流通でのプロモーションが活発化しており、需要の盛り上がりを期待できる。また、法人向け市場の出荷台数は、2020年から市場を押し上げたGIGAスクール向けの需要が一巡しており、718万台と減少が続く。しかし、GIGAスクールを除く法人向けは、2022年の687万台に対して、704万台と増加に転じる予想だ。

 2023年の国内PC市場は上記の通り縮小が見込まれるが、需要に向けた検証や準備の1年になると予測している。背景として、2025年前後にGIGAスクール市場での大型入れ替え需要が発生するとみており、2024年から機器選定が始まる可能性を指摘している。加えて、同時期に法人を中心としたWindows 11搭載PCへの入れ替え需要も発生する見通しだ。DXの推進など国全体でデジタルを活用する機運も高まっており、今後は労働生産性に直結する従業員PCの性能や機能向上のために投資を増やす企業が増加するとMM総研は分析している。

労務管理市場は急速な拡大を続ける

Human Resource Management

 アイ・ティ・アールは、労務管理の市場規模予測を発表した。同調査では、労務管理を「各種人事系業務の申請・承認機能などから構成される、従業員の労働に関する業務を法律や就業規則に基づいて管理するシステム」と定義し、分析している。なお労務管理の目的としては、「従業員の働き方や環境の構築、運用の支援」と定義している。2021年度の労務管理市場の売上金額は前年度比61.5%増の84億円と、急速な拡大となった。

 市場拡大の背景には、主要ベンダーの積極的な広告・宣伝による市場認知度の向上がある。加えて、近年の労働および社会保険に関する行政手続きの電子申請の義務化に伴い、労務管理業務のデジタル化が急速に進展している。その流れを受け、各ベンダーは人事システムなど各種システムとの連携機能を拡充し、利便性の向上を推進した。結果として、新規ユーザーの増加に加えて、既存ユーザーのシステム拡張が進みつつある。

 これらの要因によって、2022年度の同市場は前年度比35.7%増を見込み、2021〜2026年度にかけての年平均成長率は26.3%、2026年度には市場規模が270億円に達するとみている。

 同社のプリンシパル・アナリスト 浅利浩一氏は、同市場の増加傾向を次のように分析する。「企業における労務管理は、雇用と就業に関するアナログな業務のデジタル化を行うことにより、従業員の労働環境を円滑にサポートしつつ、生産性向上への貢献も期待されています。また、社会保険や労務に関する法令は改正も多く、その判断には高い専門性が求められます。SaaS型の労務管理は、こうしたニーズを背景に企業の従業員規模や業種を問わず成長を続けてきました。雇用の流動化が進む中、労務管理市場は今後も成長が見込まれるでしょう」

業種、規模を問わず多様な業務領域で採用

Mega Cloud

 デロイト トーマツ ミック経済研究所はメガクラウドを活用したCIサービス(インテグレーション&マネージド)市場(以下、メガクラウドCIサービス市場)の売上高を予測している。同調査では、メガクラウドを「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」「Salesforce Platform」、CIサービスを「クラウドを活用した『インテグレーション:システム開発・構築』『マネージド:運用・保守』」と定義し、分析している。2021年度のメガクラウドCIサービス市場の売り上げ金額は前年度比19.0%増の1兆2,000億円となった。内訳としてインテグレーションは前年度比18.6%増の8,000億円、マネージドは前年度比19.7%増の4,000億円であった。

 インテグレーションでの増加要因として、近年のSaaSなども含めたクラウド利用の裾野拡大を挙げる。ユーザー企業・団体の業種、規模を問わず、基幹業務システムを含む多様な業務領域で採用されるようになったのだ。一方、クラウド環境下では開発スピードを上げるアジャイル開発や生産性をアップするDevOpsにより、小規模かつ高速の開発と運用フェーズの繰り返しが多くなった。このことにより、マネージドでも採用が増加したとみている。

 2027年度のメガクラウドCIサービス売上は、3兆3,759億円であり、2021年度から2027年度までの年平均成長率は18.8%増となる見通しだ。好調な成長を支える背景として、初期採用層の追加構築と、後期追随層の新規構築案件の増加を挙げた。