ゼネックコミュニケーションの「IoT Station」は、さまざまなIoT機器から収集されるデータを一元的に管理して可視化するIoTプラットフォームだ。工場や商業施設、建設現場などに設置されたIoTセンサーからのデータを直感的で見やすいダッシュボードで表示して、業務の効率化や省人化をサポートする。柔軟なカスタマイズ性能と高い拡張性を備え、多くの施設で遠隔監視や設備管理の効率化、省人化に活用されている。
二つのサービスラインアップ
ゼネックコミュニケーションが提供するIoTプラットフォームの「IoT Station」には、「IoT Station Lite」と「IoT Station EX」という二つのサービスラインアップがある。
IoT Station Liteは、初めてIoTを利用する事業者でも簡単かつ手軽に導入できるIoTプラットフォームだ。IoT Stationと連携済みのIoTセンサーを利用するため、機器の設定が不要で、短期間で利用を始められる。主な連携済みのIoTセンサーは、ソラコムのGPSマルチユニットやクラウド連携型カメラ、マスプロ電工の温湿度センサー、キーエンスの流量センサーなどがある。IoTセンサーとの接続数は制限なく、標準仕様のダッシュボードを利用する。初めてIoTセンサーを導入する事業者にとっては、短期間で遠隔監視やデータの見える化を実現できる手軽なサービスだ。
もう一方のIoT Station EXは、多様なセンサーと通信規格に対応するハイエンド向けのサービスだ。対応するIoTセンサーの種類や数に制限はなく、ダッシュボードも自由にカスタマイズできる。ユーザー数の制限もなく、多様な運用形態に対応する。
ゼネックコミュニケーションによれば、ユーザーはまず試験的にIoT Station Liteを導入して、IoTセンサーの一元管理の利便性を検証する。その上で、本格的なIoTセンサーの一元管理を行うために、IoT Station EXへ移行するケースが多いという。
収集したデータは、IoT Stationのダッシュボードで一括監視できる。ダッシュボードは、業務の内容に合わせて柔軟にカスタマイズ可能だ。ウィジェットと呼ばれる各種ゲージやグラフなどがあらかじめ用意されているため、IoTセンサーのデータとウィジェットを連携させて、データの状況をダッシュボードに表示できる。既存のウィジェットで対応できないときには、個別開発にも対応している。
既存のシステムとのAPI連携も可能で、収集したデータを他の業務へ活用できる。さらに、センサーからのデータ収集だけでなく、IoT Stationから対応するIoT機器に対して遠隔制御や双方向通信が行えるため、現場に行かずに設備の操作や設定変更などの制御も可能になる。IoT機器のモニタリングに加え、統合的な運用管理も行えることから、センサー機器メーカーがOEMでIoT Stationを利用しているケースもある。
商業施設や工場での導入例
こうした特長を持つIoT Stationには、どのような活用事例があるのだろうか。例えば、IoT Station EXを導入している商業施設では、温湿度や電力をモニターして、各テナントの空調が最適化されているか、冷やし過ぎなど電力消費に無駄はないか、といった運用状況を管理している。大規模な商業施設の温湿度と電力を人力で把握しようとするならば、定期的な巡回検針と記録が必要になる。必要な人材と記録の収集にかかる時間やコストを考えると、IoTセンサーとIoT Stationによるデータの自動的な収集・可視化は、大きな省力化と省電力への貢献になる。
温度や電力のモニタリングは工場でも活用されている。大規模な工場では、稼働する工作機械によって電力消費量や周辺温度が異なるためだ。機器ごとの電力消費量や温度を監視することで、設備の異常を早期に把握できるほか、周辺で作業する従業員の健康管理にも役立てられる。熱中症対策の一環として、工場各所の温度をモニターして、適正な環境かを継続的に確認する事業者が増えているのだ。
特に、2025年6月1日の「労働安全衛生規則」の改正により、WBGT値(暑さ指数)が28度以上、もしくは気温31度以上の環境で連続1時間以上、もしくは1日4時間以上の作業が行われる現場での熱中症対策が罰則付きで義務化された。このことで、対策を急ぐケースが多いという。
また、ユニークな導入効果として、自治体によるため池のモニタリング事例がある。自治体が管理するため池では、溢れていないか、漏れていないか、という二つのチェックが必須になる。溢水は、大雨になれば明らかに警戒できるが、漏水は、職員が現地に出向いて確認しなければならない。離れた地点に複数のため池を有する自治体では、確認作業に職員の労力が割かれてしまっていた。そこで水位センサーとIoT Stationで、現地に行かなくとも状況を確認できるモニターシステムを構築して、ため池のチェック作業の省力化を実現した。
熱中症対策からAIの学習データ収集まで
IoT Stationのモデルケースとして、電力量の計測など単一の目的で導入した後で、可視化の効果を実感して水量や温湿度センサーへ拡張する工場や施設が多いという。
また、中小規模の事業者では、導入のコストと期間を短縮するためにIoT Station Liteを選ぶケースも多い。一方IoT Station EXでは、多様なIoTセンサーに対応できるため、冠水センサーで地下駐車場をモニターしたり、漏水センサーで機器や施設のトラブルを未然に防いだりする取り組みもある。
さらに、AIによる故障予知のために学習用のローデータを収集する目的でIoT Station EXを活用している企業もあるという。そのほかにも近年の熱中症対策への関心の高まりを背景に、温湿度モニタリングを入り口としてIoT Stationを提案するといったことも有効だろう。
IoT Stationの今後の展開について、ゼネックコミュニケーションでは、2026年度中に自然言語でIoTデータを検索できるAIチャット機能や、用途に応じたダッシュボードの自動おすすめ機能などのリリースを予定している。同社では、単なるデータの可視化にとどまらず、現場の意思決定を支援できるプラットフォームへの進化を目指し、IoT Stationによる現場の働き方改革に貢献していく考えだ。

