体験を「カタチ」にするブラザーの新施設
最新テクノロジーで「ものがたり」と「ものづくり」をつなぐ
ブラザー販売は、東京都中央区にあるブラザー東京ショールームに、「BROTHER JOYFACTORY TOKYO」(ブラザージョイファクトリー)を2026年6月30日から開業する。BROTHER JOYFACTORY TOKYOは、「ものがたり×ものづくり」をテーマにした体験型のアミューズメント施設だ。日本文化をテーマにしたアクティビティを通じて、来場者にどのような体験価値をとどけるのか、その狙いをメディア向け発表会と内覧会の様子から見ていこう。
ブラザーの多様な事業領域を
体現する新施設をオープン
続けて、今回のBROTHER JOYFACTORY TOKYOのプロジェクトリーダーを務めたブラザー販売 取締役 兼広友里恵氏が登壇し、BROTHER JOYFACTORY TOKYOの企画開発について説明を行った。今回のプロジェクトをスタートしてから約3年が経ったと振り返る兼広氏は「事業部や会社を超えてBROTHER JOYFACTORY TOKYOの価値を作り込んできました。それを本日、沢山の方々にお披露目できることを嬉しく思っています」と語った。
同社は、BROTHER JOYFACTORY TOKYOを「ものがたり」と「ものづくり」をシームレスに融合するサイバー・フィジカル拠点と位置づけている。本施設では来場者が自分の体を使ってアクティビティに没入し、心が動いた瞬間がデータ化される「ものがたり」と、その感動をすぐにアウトプット機器と連携することで、リアルなグッズを出力する「ものづくり」をシームレスに融合させている。体験から出力を一気通貫させ、楽しさ(JOY)を増幅させる仕組みになっているのだ。
BROTHER JOYFACTORY TOKYOでは四つのアクティビティを提供する。
一つ目は「SAMURAI LEGEND」だ。これは来場者が実際に日本刀を握って侍衣装を身にまとい、「伝説のサムライマスターの弟子になって剣術を習う」というストーリーで演武を体験する。体験中の侍姿は撮影・加工され、自身の姿をプリントしたオリジナルTシャツとして出力される。

代表取締役社長
安井宏一 氏

取締役
兼広友里恵 氏
体験×ものづくりを実現する
四つのアクティビティを提供



二つ目は「KARAOKE RECORD」だ。録音ブースの中で、用意された約100曲の中から好きな曲を選び、レコーディング体験をするアクティビティだ。レコーディング前にAIによる音声チューニングを行い、デジタル処理をすることでプロのシンガーのような歌声を収録できる。また歌詞にはローマ字によるルビを振ることで日本語話者ではない訪日外国人旅行者でもスムーズに歌えるような工夫がなされている。レコーディングした歌声はレコードと音声データに出力される。


三つ目は「SHODO STAGE」だ。書道家になりきってプロジェクターに映された手本をなぞり、美しい筆文字を書く体験を行う。書いた筆文字は画像としてデータ化し、箔印刷掛け軸として出力される。


四つ目は「SEWING STUDIO」。プロの仕立屋になりきり、和柄の生地を用いたオリジナルグッズを作れる。選んだ生地を使って巾着やポーチを作るにあたり、ブラザー販売のミシンが活用されている。


これら四つのアクティビティで作られたグッズは、全て持ち帰ることが可能だ。基本料金はBROTHER JOYFACTORY TOKYOと侍伝説体験がセットで8,800円(税込み)になっており、他のアクティビティを体験したり、Tシャツ以外のオリジナルアイテムを作ったりしたい場合は別途料金が発生する。Tシャツ以外にもトートバッグやマグカップ、ワッペン、缶バッジなどの10種類のグッズをその場で製作できる。



体験を価値に変える
新しいビジネスモデル
このような「思い出の形をその人だけの形にできる」という点は、ブラザーの強みだという。例えばオリジナルTシャツに、ブラザーの高精細ガーメントプリント技術による鮮やかな発色で、クオリティの高い印刷を実現している。ブラザーが長年培ってきた多様なプリント・加工技術が、アクティビティを通じて取得したデータを、その場でグッズとして制作できるというBROTHER JOYFACTORY TOKYOの魅力に繋がっている。この魅力が、既存のエンターテイメント施設との差別化にも繋がっているのだ。
また、体験の思い出を形にするという取り組みをスタートした背景には、市場の変化もある。兼広氏は「推し活やIPビジネスの広がりに見られるように、消費者は単に製品を購入するのではなく、その過程で得られる体験を重視するようになっています。同時に、インバウンド需要が過去最高の10兆円近くに達し、自動車産業の輸出額12兆円に続く大きな産業となっています」と語り、日本文化を体験するアクティビティが、訪日外国人観光客から大きな需要があることが語られた。
体験コンテンツのクオリティにもこだわっている。侍伝説やカラオケレコード、書道ステージといったアクティビティには世界的なIPを手がけるトップランナーが体験設計や監修に参画している。「攻殻機動隊SAC_2045」の監督を務めた荒牧伸志氏が映像演出、モーション監修として参加したほか、「モンスターハンター」のプロデューサーを務めた小嶋慎太郎氏がゲーム体験の監修を行っている。また生成AIやインタラクティブ体験の設計および実装を齋藤雄一氏(LVM代表)や坂本航太郎氏(東京大学松尾・岩澤研究室特任研究員)が担当するなど、エンターテイメントやAI開発のトップクリエイター陣が携わっている。
兼広氏は「体験とものづくりの二つを同時に、高いレベルで実現できる施設はBROTHER JOYFACTORY TOKYO以外なく、圧倒的な優位性であると捉えています。また今後は、このBROTHER JOYFACTORY TOKYOの体験×ものづくりという仕組みを、ビジネスモデルとして提供していきたいと考えています。日本から、東京から、世界中へ。新しい“JOY”の体験プラットフォームを発信するべく、このBROTHER JOYFACTORY TOKYOという体験プラットフォームを、世界中のさまざまなパートナーさまとの協業実装へつなげていきたいですね」と語った。
発表会最後には今回のアクティビティ開発に携わったクリエイターセッションが実施され、ブラザー クリエーション事業本部 若山 勝氏、ゲームプロデューサーの小嶋慎太郎氏、SOLA DIGITAL ARTS 執行役員 CTO 笹倉逸郎氏、LVM 齋藤雄一氏が登壇し、今回のアクティビティ実装に向けた技術的な課題や、来場者自身の体験がコンテンツになるという考え方の重要性、BROTHER JOYFACTORY TOKYOという施設の魅力などが語られた。


