トレンドマイクロ、インターネット詐欺動向を発表

国内詐欺動向

 トレンドマイクロは4月16日、日本国内におけるインターネット詐欺の動向を解説するWebセミナーを開催した。日本国内において注目すべきインターネット詐欺は2種類ある。

 一つ目がフィッシング詐欺だ。クレジットカード情報の窃取を目的としたフィッシングサイトは業種を問わず確認されている。さらに国税庁を装った偽のWebサイトに誘導して暗号資産を窃取する手法や、免許証などの本人確認書類を狙うフィッシングサイトも登場している。加えて、法人を対象にしたフィッシング詐欺も増加傾向にあるのだ。法人を対象にしたフィッシングサイトでは、連絡先電話番号や連絡希望時間といった入力項目が用意されている。このことから、サイトではボイスフィッシングの新たな標的を探っている可能性があると同社はみている。

 二つ目がサポート詐欺だ。2024年のサポート詐欺の被害報告は6,322件で、過去最大となった。その要因として、サポート詐欺の巧妙化が挙げられる。GoogleやYouTubeでの正規の広告を経由したものや、Webページのボタンに偽装した不正広告が常態化している。以前は不審なWebサイトの広告を避ければ良かったが、それだけでは不十分となっているのだ。さらにサポート詐欺においても法人の被害が目立ち始めている。サポート詐欺の被害に遭うとPCが遠隔操作されてしまうため、保存している個人情報や機密情報が窃取されてしまうリスクが高い。2024年には最大4万件の個人情報が漏えいしたケースがあり、サポート詐欺は法人にとっても大きな脅威となっている。

 同社 詐欺対策チーフアナリスト 本野賢一郎氏は、インターネット詐欺の実態について以下のように指摘する。「あらゆるインターネットの接点や体験に詐欺のリスクが潜んでいます。インターネットを利用する以上、詐欺を回避することは困難となってきているといえるでしょう」

社会全体に求められる対策

 本Webセミナーでは、インターネット詐欺の対策も解説された。本野氏は、まずは一人ひとりがその手口を知って、警戒することが有効な対策だと語る。さらにサイバー犯罪者は流出した情報を基にインターネット詐欺を行うため、個人情報がダークウェブに流出しているか確かめるツールを用いて、自身や関係者の情報がどの程度流出しているか知ることも重要だ。

 インターネット詐欺対策は社会全体に求められるようになっている。本野氏は「業界の垣根を超えた知見の共有や産官学によるデータ連携を通じて、より効率的かつ効果的なインターネット詐欺対策を行っていくことが重要になるでしょう」と今後の対策に関する見解を語った。

NTT、ドローンを利用した落雷対策の技術を発表

防災対策

 NTTは4月18日、ドローンを利用した雷の誘発・誘導に成功したことを発表した。落雷による年間被害額は1,000〜2,000億円と推定されており、大きな社会問題となっている。落雷対策としては避雷針が広く使われているが、避雷針が雷を受ける範囲は限定的だ。さらに風力発電の風車や屋外のイベント会場など、避雷針の設置が困難な場所も存在する。

 こうした背景の下、同社は雷対策としてドローンを活用する実証実験を行った。実証実験は2024年12月〜2025年1月の間、雷が多く発生する島根県浜田市山間部にて行われた。

 今回の実証実験において、キーとなった技術は二つある。一つ目が、ドローンの耐雷化技術だ。NTTはドローンに雷が直撃しても誤作動・故障せず市中のドローンに具備できる耐雷ゲージを独自開発した。雷直撃時の大電流を迂回させることによって、ドローン本体に雷電流が流れないようにするのだ。また雷電流を放射状に流すことで、大電流により発生する強磁界を打ち消し合い、ドローンへの磁界影響を低下させることを実現している。

 二つ目が、電界変動を利用した雷誘発技術だ。飛行させたドローンと地上を導電性のワイヤーで接続し、地上にスイッチを取り付ける。スイッチを操作することで、ドローン周囲の電界強度を急激に上昇させ、雷の誘発を促すという仕組みだ。

 NTT 宇宙環境エネルギー研究所 レジリエント環境適応プロジェクト主任研究員 長尾 篤氏は、今後の展望を以下のように語った。「ドローン誘雷の成功率を上げるため、高精度な発雷位置予測や雷の発生メカニズムに関する研究開発を推進していきます。そうすることで街やインフラ設備を守り、雷被害ゼロの社会を目指していきたいですね」

NTT独自の耐雷ゲージを具備したドローン。