通信品質

通信要件を満たすエリアを事前把握可能

 NTTは3月3日、ネットワークスライシング(以下、スライシング)環境において、特定エリアで通信要件をどの程度満たせるかを事前に推定する技術を実証したと発表した。スライシングとは、物理ネットワークを仮想的に分割し、多様なニーズに対応する技術を指す。

 技術開発の背景について、NTT ネットワークイノベーションセンタ ネットワークオペレーションプロジェクト 担当課長 高橋謙輔氏はこう話す。「ドローンや遠隔監視などのサービスでは安定したモバイル通信が不可欠ですが、都市部や観光地などでは、トラフィック集中により不安定になる場合があります。この課題を解決するために、スライシングへの期待が高まっています。社会インフラ・産業用途でスライシングを活用するには、どのエリアで通信要件を満たせるかを事前に把握することが重要です。地点ごとの通信状況を予測できれば、拠点設置や通信経路、運用体制を計画しやすくなり、現場での手戻りやリスクも減らせます」

 本技術では、電波品質や無線多重数、通信安定化リソース利用量などの中間指標を機械学習で推定する。その上で、用途別に独立した論理ネットワークである「ネットワークスライス」(以下、スライス)の安定化方針を反映し、最終的にスループットなどの観点から通信要件を満たせるかを推定する。これにより、各スライスが利用用途にどの程度応えられるかを、より実態に近い形で精度高く推定できるようになるのだ。

 また本技術の有効性を検証するため、NTTとNTTドコモは2025年12月に都内で実証実験を行い、従来手法に比べ推定誤差を51%低減したことを確認した。さらに結果をヒートマップで可視化することで、エリア内の地点ごとに、利用用途に応えやすい場所の違いを視覚的に把握できることも明らかにしている。

 最後に高橋氏は「技術を発展させることで、災害時の情報共有やインフラの遠隔監視、ドローン点検など、通信条件が変動しやすい環境における社会課題解決と新たな価値創出を目指します」と語った。

特定のエリアや用途ごとに通信の安定性をヒートマップ形式で事前に把握できる。