コロナ禍がもたらしたビジネス転換期に対応
データ保護やセキュリティ機能をまとめて提供

「Acronis Cyber Protect Cloud」アクロニス

新型コロナウイルスの感染拡大は企業に多大な影響を与えた。サプライチェーンの寸断によりプロジェクトの先送りや中止、発注案件数の減少などが発生した。これらが要因となり、業績不振に陥った企業も多い。コロナ禍に便乗したサイバー攻撃にも警戒が必要だ。政府の外出自粛の要請に伴い、リモート化が急速に進んだことで、その隙を狙ったサイバー攻撃も増加傾向にある。コロナ禍を乗り越え、業績悪化に歯止めをかけるためにはどのような対策を講じるべきか。アクロニス・ジャパンで代表取締役社長を務める嘉規邦伸氏にコロナ禍における戦略や施策を伺った。

コロナ禍で相次ぐ業績悪化
クラウドの活用が一つの解

アクロニス・ジャパン
嘉規邦伸氏

 コロナ禍において企業活動に大きな変化が起きたのは言うまでもない。2020年4月に政府から出された緊急事態宣言を受け、企業のテレワークの導入は一気に加速し、従業員の働き方は一変した。こうしたビジネス環境の変化に伴い、課題となっているのが、オンプレミス中心のシステム運用や社内システムの複雑化である。「欧米に比べ、日本企業はいまだにオンプレミスのシステムがメインとなっています。在宅勤務が普及したコロナ禍では、オンプレミス中心のプロジェクトは延期や中止が余儀なくされ、業績悪化につながっています。加えて、情報システム部門が管理する企業内のシステムは、複数のツールを組み合わせている場合が多く、管理が煩雑になりやすく負荷も増大しています。コロナ禍で事業を継続していくためにも、オンプレミスからクラウドへの移行や管理システムの見直しを進めていく必要があります。今まさにビジネス環境の転換期が訪れていると言えるでしょう」とアクロニス・ジャパン 代表取締役社長 嘉規邦伸氏は説明する。

 コロナ禍ではサイバー攻撃による被害も深刻化している。アクロニスが世界各国3,400社を対象に2020年6月から7月に実施したセキュリティ調査「Acronis Cyber Readiness Report」によると、約31%の企業が1日に1回サイバー攻撃のターゲットになっているという結果が報告された。オンライン会議ツールを狙った攻撃や、アカウント情報を狙ったフィッシング攻撃などテレワークの普及が攻撃増加の一つの要因となっている。こうした攻撃を防ぐためにも、高度なデータ保護とセキュリティ対策が実現できるソリューションが求められる。

 その解決策となるのが、アクロニスが提供するオールインワン型バックアップ統合ソリューション「Acronis Cyber Protect Cloud」だ。「Acronis Cyber Protect Cloudはネットワークにつながっていればいつでもどこでも活用できます。オンプレミスのシステム運用のように出社せざるを得ないといったこともありません。働く環境に柔軟性が求められる現在だからこそ、クラウドの活用は有効です」(嘉規氏)

拡散するIT資産を統合管理
ホワイトラベルも選択可能

 Acronis Cyber Protect Cloudは、アクロニスが主力サービスとして展開してきたデータ保護機能やセキュリティ機能を単一のソリューションとして統合した製品だ。バックアップやディザスタリカバリー(災害復旧)などの機能に加え、AI技術を活用したランサムウェアやマルウェア対策、パッチ管理、脆弱性評価、URLフィルタリング、リモートアシスタンスによるデータセキュリティ保護およびこれらのレポーティングといった機能を提供する。複数の異なるツールを活用して行っていたバックアップ、セキュリティ対策、IT資産管理などの業務をリモートかつ一つの管理画面で実行できる。煩雑になりがちだったIT管理者の業務をサポートし、負荷を軽減する。「Acronis Cyber Protect Cloudは、データ保護からセキュリティ対策まで企業のシステム管理に必要な機能の全てを網羅しています。一つの管理画面で操作でき、難しい操作もないため、情報システム部門を持たないような中小企業のIT資産管理にも適しています」(嘉規氏)

 Acronis Cyber Protect Cloudは、アクロニスのクラウドサービスとして販売パートナー経由でエンドユーザーに販売するビジネスモデルの展開に加え、販売パートナーが自社ブランドとしてAcronis Cyber Protect Cloudの機能を組み込んだ製品を展開(ホワイトラベル)できるプラットフォームを提供するハイブリッドモデルの展開も行っている。例えば、管理画面に販売パートナーのロゴが入ったAcronis Cyber Protect CloudとPCを組み合わせて提供し、導入後の端末管理などのサービスを販売パートナーが担うといった展開も可能だ。

「アクロニス・ジャパンは、販売パートナーさまにさまざまな選択肢を用意しています。サブスクリプションの再販だけではなく、自社ブランドとしてのサービス提供で他社と差別化を図れます」と嘉規氏はアピールする。

雷でサブスク提供を開始
パートナーに価値を創出

 Acronis Cyber Protect Cloudは、2020年11月16日からダイワボウ情報システム(DIS)のサブスクリプション管理ポータル『iKAZUCHI(雷)』での提供を開始している。嘉規氏は「コロナ禍だからこそ、DISさまと全国の販売パートナーさまとともにエンドユーザーさまに対して提供できる製品があると考えています。Acronis Cyber Protect Cloudは、製品を販売したら終わりではなく、エンドユーザーさまの要望に応えて機能拡充を図っていくなど進化を続けていきます。販売パートナーさまにとっても新たなクラウドビジネスの商材として貢献できる製品となるでしょう」と意気込む。

 2020年11月17日、アクロニスはサイバーセキュリティのコンサルティングを行うCyberLynxの買収を発表している。ITセキュリティ監査、侵入テストなどのCyberLynxが提供していた専門技術をアクロニスの既存製品に追加し、セキュリティ機能を強化していく考えが示された。今後、Acronis Cyber Protect Cloudにもさらなるシステム強化や機能追加が行われる予定だ。