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DXと公共分野での利用の拡大が鍵となるクラウド基盤サービス市場

DXと公共分野での利用の拡大が鍵となるクラウド基盤サービス市場

2021年11月08日更新

IaaS/PaaS市場は順調に成長

Infrastructure as a Service & Platform as a Service

 矢野経済研究所は、クラウド基盤サービスIaaS/PaaSの国内市場の規模推移やクラウドベンダーの動向を発表した。

 2020年のクラウド基盤サービス市場規模は、前年比123.2%の8,500億円になったと推計した。背景として、リモートワークの進展やDXなどの変化に迅速に対応できるシステム環境を構築するケースが増えたことが挙げられる。加えて、動画サイトやECサイトのトラフィック急増によるオーケストリング機能への需要増加も市場規模拡大の要因としてあるという。

 市場が拡大した2020年のクラウド基盤サービス市場の中でも、サービス分野によっては新型コロナウイルスの影響を受けて一時的に成長が鈍化したものもあった。従来、市場をけん引してきた基幹系システムなどのクラウドへのリフト&シフトは、長期的かつ大規模な案件のために停止や延期になったケースもあるが、予算の確保ができていた企業などでは予定通りに進行した。そのため、同市場への大きな影響はなかったとみている。

 同市場は今後もDXへの投資の活発化やデータ利活用のプラットフォームとして順調に成長していくと予測している。また、ハイブリッドクラウド環境の容易な構築や、企業の安定的な業務遂行のためのBCP対策への取り組みなどユーザー企業の災害対策意識の向上も市場の成長を後押しすると見込んでいる。

DXと公共分野での利用の拡大が鍵

 今後クラウド基盤サービス市場の成長の鍵となるのは、DXと公共分野における利用の拡大だ。例として、総務省が2020年10月に「第二期政府共通プラットフォーム」をAWS上で運用をスタートしたことを挙げ、公共系クラウドサービス導入はAWSが他社よりも前進している印象があると矢野経済研究所は指摘した。しかし中央省庁をはじめとした公共分野においてクラウドに移行する事業領域の余地は大きく、今後はAWS以外の他社クラウドサービスの導入が進む可能性も極めて大きい。

 また、競争力の維持・向上のため、民間企業はDXに取り組むことが急務になっている。もっともDXは一度取り組んで終わりではなく、ビジネス環境や自社の状況に合わせて継続的に行っていくものである。しかし、社内情報システムの複雑化などを理由にDXが思うように進められないユーザー企業も多い。そのためクラウド関連ベンダーには、情報システムの在り方について上流工程から伴走できる力が求められている。今後は上流工程からの伴走が可能な大手SIerやコンサルティング企業とクラウドベンダーの協業が、クラウド基盤サービス市場の成長加速に貢献していくと矢野経済研究所は分析している。

国内トラディショナルPC市場はマイナス成長に

PC

 IDC Japanは、デスクトップPC、ノートPC、ワークステーションを「トラディショナルPC」として分類し、国内トラディショナルPC市場の出荷実績値を発表した。

 2021年第2四半期(4~6月)の同市場の出荷台数は328万台、前年同期比は17.3%減となった。背景には、GIGAスクール構想や在宅勤務、オンライン学習でのノートPC需要が一段落したことがある。またCPU、モニター、ICチップなどの部材不足によって需要の一部を逃したこともマイナスに転じた要因として挙げた。

 2021年第2四半期のカンパニー別の出荷台数シェア上位5社は、レノボ/NEC/富士通グループがトップで36.8%、2位は日本HPが16.0%、3位はデルの14.1%、続いてAppleが8.6%、シャープ(Dynabook)が7.3%となった。前年同期比でみると、増加したのはM1チップ搭載のノートPCとデスクトップPCが好調なAppleのみで、レノボ/NEC/富士通グループ、日本HP、デルの上位3カンパニーは20%以上落ち込んだ。上位3カンパニーのシェアが落ち込んだ理由として、GIGAスクール構想の対象が小中学校から高等学校にシフトしたことに伴う需要規模の減少がある。加えて、部材不足によって需要をタイムリーに取り込めなかったことも影響しているとIDC Japanは分析している。

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は、国内トラディショナルPC市場調査について「トラディショナルPC市場の刺激材料はWindows 11ですが、どれほどのアップリフト効果があるかについては慎重に見極めたいです」とコメントしている。

DXの推進で電子契約の利用が拡大

Electronic Contract

 アイ・ティ・アールは、契約書類の処理作業から締結までにかかるリードタイムの短縮、事務経費コストや印紙税の削減などを支援する電子契約サービス市場の規模と動向について発表した。

 2020年度の電子契約サービス市場の売上金額は100億7,000万円で、前年度比72.7%増となった。2021年度も同75.0%増の176億2,000万円を予測している。背景には、従来の電子署名法において、手作業の押印処理などを代替する電子契約サービスの取り扱いが不明確だった点がある。これにより、テレワーク推進に影響するのではないかという懸念が生じていた。そうした懸念を解消するため、2020年6月19日に内閣府、法務省、経済産業省が契約書への押印不要の見解を示している。これによって、パンデミックや自然災害時にも出社を必要とせず契約締結が可能になり、電子契約サービスの導入が加速している。

 DXに取り組む企業では、ペーパーレス化や事務作業の効率化などから電子契約サービスを導入する動きが拡大している。また、DXの一環として同サービスの導入に向けた実証実験を開始している自治体も増加している。こうした動きに呼応して電子契約サービス市場への参入ベンダーが増加し、今後も好調な伸びが期待される。そのため、同市場の年平均成長率(2020~2025年度)は34.3%、2025年度には市場規模が440億円に達する見込みだ。

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