カスタマイズ項目は豊富、こだわりの仕様を選べます
今回借用したのは、プロセッサーが「Core Ultra 7 268V」、メモリーが32GB(LPDDR5)、ストレージが1TB(PCIe Gen5 x4接続SSD)、ディスプレーがWUXGA IPS液晶(タッチ対応)という構成のカスタマイズモデル。本製品のカスタマイズ項目は下記のとおり多岐に渡っており、こだわりの仕様を選べます。
- 【プロセッサー】Core Ultra 5 226V / Core Ultra 7 256V / Core Ultra 7 258V / Core Ultra 7 266V / Core Ultra 7 268V
- 【メモリー】16GB/32GB(LPDDR5)
- 【ストレージ】512GB/1TB/2TB(PCIe Gen5 x4接続SSD)
- 【ディスプレー】14インチ2.8K OLED(2880×1800ドット、タッチ非対応)/ 14型WUXGA IPS液晶(1920×1200ドット、タッチ対応)
- 【キーボード】日本語配列 / 英語配列
- 【タッチパッド】クリックパッド / 触覚タッチパッド
- 【WWAN】なし / あり
「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」には、40~48TOPSのNPU「Intel AI Boost」を内蔵するプロセッサー「インテルCore Ultraプロセッサー(シリーズ2)」が採用。AI処理を高速、低消費電力で実行可能です。
本製品で慎重に選びたいのがディスプレー。OLEDとIPS液晶の2種類が用意されていますが、OLEDは解像度が2880×1800ドットでタッチ非対応、IPS液晶は解像度が1920×1200ドットでタッチ対応です。
解像度の高さや色域の広さを重視するか、タッチ操作の利便性を選ぶかは悩ましいところ。またOLEDは「反射防止」、IPS液晶は「光沢なし」とディスプレーの表面処理が異なっています。


もうひとつ悩ましいのがタッチパッドの選択。ThinkPad伝統の物理ボタンが配置された「クリックパッド」と、圧力を検知しクリック感をバイブレーターで再現する「触覚タッチパッド」の2種類が用意されています。
クリックパッドには物理ボタンを確実に使い分けられるというメリットが、触覚タッチパッドにはより広い面積でジェスチャー操作できるというメリットがあります。操作感という点では甲乙つけがたいので、こちらは好みでお選びください。

ビジネス向けマシンならではの仕様が、ユーザーが交換可能な大容量バッテリーを採用していること。メーカーや修理店に送る必要がないので、高いセキュリティーポリシーの企業でも運用でき、またバッテリー交換期間中に仕事が止まることもありません。ユーザーによる交換を前提とした設計なので、作業が容易なのも嬉しいところです。

インターフェースは右側面に3.5mmコンボジャック×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、HDMI×1、左側面にUSB 3.2 Gen1 Type-A×1、Thunderbolt 4×2を用意。WWAN搭載モデルは、左側面にnanoSIMスロットが追加されます。
個人的には電源供給、外部ディスプレー接続に利用するThunderbolt 4は左右に振り分けてほしかったところですが、基板設計の複雑化を避けて、左側面に集中させたのだと思われます。

本製品の売りのひとつが、「Copilot+ PC」においてThinkPad初の1kg切りの軽量ボディーを実現したこと。ただし1kg切りはOLED搭載モデルのみ。フットプリントは約312.8×214.75mmで共通ですが、厚み/重量はOLEDモデルが約16.95mm/約986g~、IPS液晶モデルが約17.95mm/約1.1kg~となっています。とは言え、厚み、重量とも使い勝手が大きく変わるほどではないので、この点は気にしなくてよいでしょう。

NPU「Intel AI Boost」によりAI処理を高速、低消費電力で実行可能
「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」は全モデルがCopilot+ PCに準拠。AI処理を高速、低消費電力で実行可能です。
たとえばウェブカメラに背景効果や自動フレーミングなどのエフェクトを適用できる「スタジオ効果」利用時には、CPU、GPUではなくNPUが処理を担当することで、消費電力が抑えられます。つまりバッテリー駆動で、より長時間ビデオ会議に参加できるわけです。

ただし、すべてのAI処理がオンデバイスで実行されるわけではありません。たとえば「Copilot」で画像を生成させた場合、クラウド上でAI処理が実行されるので、ノートPCのプロセッサー内のNPUは仕事をしません。
とは言え、今後多くのアプリがNPUに対応予定。クリエイティブ系アプリなどでも、これまでCPU、GPUが処理していた作業をNPUが受け持つことにより、高速化、高効率化されるはずです。


RAW画像の現像や動画編集も実用的な速度でこなせる処理速度
今回はCore Ultra 7 268V/32GB(LPDDR5)/1TB(PCIe Gen5 x4接続SSD)/WUXGA IPS液晶(1920×1200ドット)という構成のカスタマイズモデルを借用しています。
定番ベンチマークを実行したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は10806pts、CPU(Single Core)は2016pts、「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク Ver.1.1」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは8287(快適)、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は13607.75MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は9931.84MB/秒を記録しました。
わかりやすい例として「ファイナルファンタジーXIV」に注目してみると、平均フレームレートは57.33fps、最低フレームレートは29fpsとなりました。ファイナルファンタジーXIV クラスの3Dゲームが、標準品質で60fpsに近い平均フレームレートで動作するわけです。
GPUはクリエイティブ系アプリの処理にも利用できますし、ストレージはPCIe Gen5 x4接続対応SSDを搭載しているだけに非常に高速。今回の貸出機の構成であれば、RAW画像の現像や動画編集なども実用的な速度でこなせると言えます。




高いセキュリティーポリシーが要求されるユーザーにとって魅力的な1台
「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」は性能、品質、使い勝手において優れたビジネス向けモバイルノートPCです。特に軽量ボディーや高速AI処理が魅力です。NPU対応アプリがもっと増えれば、さらに利便性は向上することでしょう。
インテルCore Ultraプロセッサー(シリーズ2)が搭載されているので、ARM系プロセッサーを搭載したCopilot+ PCのようにアプリの互換性に悩むことはありません。ただしその一方で、ARM系Copilot+ PCのほうが、現時点ではAIアプリが先行して提供されています。この点だけ気にしないのであれば、本製品は高いセキュリティーポリシーが要求されるユーザーにとって、魅力的な1台と言えます。