皆様、こんにちは。
Nutanix担当の井原です。
今回は、VeeamとNutanix AHVの連携についてご紹介いたします。
近年、Nutanix AHV環境でのバックアップやリストアに関するご相談を多くいただいており、Veeamとの統合による利便性の高さに注目が集まっています。
本記事では、VeeamによるAHV保護の概要から、V2V(Virtual to Virtual)移行のポイントまで解説いたします。
ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
Veeamとは?
Veeam Softwareは、仮想環境・物理環境・クラウド環境を問わず、システム全体のデータ保護と復旧を実現するバックアップソフトウェアを提供しています。
主力製品の「Veeam Backup & Replication」は、VMware・Hyper-V・Nutanix AHVなど複数のハイパーバイザーを一元的に保護し、物理サーバーやクラウド環境も含めた統合バックアップを可能にします。イメージレベルバックアップ、Instant Recovery(即時復旧)、レプリケーション、CDP(継続的データ保護)などを備え、高速かつ信頼性の高い復旧を実現します。
さらに、Immutable(変更不可)バックアップやマルウェア検知機能によるセキュリティ強化、マルチクラウド対応も特長です。
直感的な管理UIと豊富な自動化機能により、企業の業務継続性(BCP)を強力に支援します。

Veeamの機能を理解するうえで重要なのが、次にあげる各種コンポーネントの役割です。
Veeam Backup Server
すべてのバックアップジョブやレプリケーションジョブを管理する中核コンポーネントで、スケジューリングやポリシー制御を担います。
Veeam Backup Proxy
バックアップ対象からデータを効率的に読み取り、リポジトリへ転送する役割を持ちます。負荷分散や転送モードの選択によりパフォーマンスを最適化します。
Backup Repository
バックアップデータを保存するストレージ領域で、オンプレミスだけでなくAWS S3やAzure Blobなどのクラウドストレージにも対応しています。Immutable設定によるランサムウェア対策も可能です。
さらに、Nutanix AHV環境ではVeeam AHV Proxy Applianceが重要な役割を果たします。PrismとAPI連携し、スナップショットを取得してエージェントレスでイメージレベルのバックアップを実現します。アプリケーション整合性にも対応し、クラスタ間やクラウドへの転送も柔軟に行えます。
これらのコンポーネントが連携することで、Veeamはオンプレミスからクラウドまで、幅広い環境において効率的かつ安全なデータ保護を提供します。
VeeamによるNutanix AHV環境の
バックアップ構成
Nutanixの製品群は年々拡充されており、インフラ関連の広範な分野をカバーしています。そのNutanixが提供しているKVMベースのハイパーバイザーがNutanix AHVです。
Nutanix AHVは、軽量かつ高信頼なハイパーバイザーであり、AOSおよびPrismと連携してシンプルな運用を実現します。
VeeamはこのAHV環境に対して、Veeam Backup for Nutanix AHV(Veeam AHV Proxy Appliance)を介してバックアップ・リストアを実行します。
構成としては、AHV Proxy ApplianceがPrism CentralまたはPrism Elementと連携し、Snapshot APIを活用してイメージレベルのバックアップを取得します。
さらに、Veeam Backup & Replicationサーバーから操作を行うことで、Nutanix環境だけでなく、他の仮想基盤やクラウド環境も含めた統合管理が可能になります。
また、アプリケーションの整合性を保ったApplication-aware Backupにも対応しており、データベースや業務アプリケーションを含む仮想マシンを安全かつ確実に保護できます。
これにより、Nutanix上のVMをエージェントレスで保護し、同一クラスタ内・別クラスタ・クラウド(AWS/Azure/S3など)へのバックアップ転送も行うことが可能です。

V2V移行(Virtual to Virtual)への活用
Veeamのもう一つの強みは、V2V(Virtual to Virtual)移行を容易に実現できる点です。
例えば、以下のようなシナリオに対応可能です。
- VMware vSphere / Hyper-V → Veeam AHV Proxy Applianceを介してバックアップ → AHVへリストア
- Nutanix AHV → VMware / Hyper-Vといった移行にも対応し、双方向移行もサポート
これにより、マルチハイパーバイザー環境における柔軟なワークロード移行を実現します。
テスト・検証環境から本番環境への移行や、異種仮想環境間でのDR構成にも非常に有効です。
さらに、Nutanixの仮想基盤移行の際には、Nutanix社が提供する「Nutanix Move」も選択肢となりますが、VeeamではNutanixから他の基盤への移行も可能です。加えて、前述の通り様々なパターンの環境に柔軟に対応できるため、移行前後のバックアップやDRまで含めた統合的な基盤運用を検討できるソリューションとなっています。

メリットのまとめ
VeeamとNutanix AHVの連携により、次のようなメリットを得ることができます。
エージェントレスバックアップの実現
仮想マシンごとにエージェントを導入する必要がなく、管理・運用管理に掛かる工数を削減できます。
シンプルな運用管理
Prismから直接バックアップジョブやリストアの実行状況を確認でき、運用負荷を大幅に軽減します。
柔軟なバックアップ先の選択
オンプレミスだけでなく、AWS・Azure・S3などのクラウドストレージを含めた多様なバックアップ先を選択可能です。
V2V変換によるハイパーバイザー間移行の容易化
Veeamの変換機能により、VMware・Hyper-V・AHV間での仮想マシン移行をスムーズに実現します。
高いセキュリティとランサムウェア対策
Immutable(変更不可)バックアップやマルウェア検知機能を備え、バックアップデータの改ざんを防止します。
運用効率と業務継続性の向上
自動化機能や直感的なUIにより、バックアップ運用を効率化し、障害発生時の迅速な復旧を可能にします。
他にも様々なメリットがありますが、今回はここまでとします。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

