EPC Japanは、東京センチュリーグループの一員として2017年に設立されたITADサービスを展開する企業である。IT資産に係るデータ消去などのリファービッシュ事業を展開してきたTRYを前身とし、2023年12月にグローバル標準かつ高品質なITADサービスの提供を目的に、EPC Japanへと社名変更した。現在は年間約36万台のIT資産を安全に処理できる体制を整え、循環型社会への貢献を掲げて顧客に信頼されるサービスを提供している。
厳格基準に基づく消去体制
内製化でリスク排除と信頼性を実現

代表取締役社長
上條雅和 氏
企業のIT資産処分においては、情報漏えいリスクをいかに防ぐかが最大の課題となる。こうした課題に対し、EPC Japanでは“安心・安全”を徹底した体制を築いている。「当社はデータ消去業務を全て内製化し、外部委託は行っていません。外部委託で懸念されるのは、消去の不備や品質のばらつき、作業工程の不透明さから情報漏えいにつながる危険性です。委託先では作業品質や実施状況を十分に確認できないため、リスクを排除するには自社で徹底するしかありません。そのため、工程の標準化と従業員教育を徹底し、情報漏えいのリスクを未然に防ぎながら、常に高い安全性と信頼性を維持しています」とEPC Japan 代表取締役社長 上條雅和氏は話す。
さらにセキュリティを徹底するため、世界的に評価の高いBlanccoの消去ツールを導入し、国際標準に基づく消去プロセスで国内トップレベルの品質を確保している。万が一ソフトウェアでもデータを消去しきれない場合は、物理破壊を行うなど、復元の余地を残さない確実性を備えている。
物理破壊においても穴あけ方式ではなく、グローバル基準に基づきシュレッディング(粉砕処理)方式を採用していることも特長だ。「当社では、SSD用とHDD用それぞれの専用破砕機を備え、最適な方式で物理破壊を行っています。SSDは米国国家安全保障局(NSA)の標準規格に準じて2mm単位で破砕を行い、HDDは3〜5cm角に処理することで磁気ディスクを完全に破壊し、データ復元を不可能にしています。国内でこの水準を満たす企業は数少なく、当社の強みを裏付けるものだと考えています」と上條氏はアピールする。
ほかにも、NISTガイドラインを基盤に社内基準を策定し、デバイスごとに最適な処理を行うなど、セキュリティにとどまらない包括的な体制を構築している。こうした取り組みを制度的に裏付けるのが、同社が取得している各種ISO認証である。EPC JapanではISO9001(品質)、ISO27001(情報セキュリティ)、ISO14001(環境)、ISO45001(労働安全)を取得し、業務全体の品質と安全性を国際基準で担保しているのだ。
循環型社会を支える
リユースと再資源化の取り組み
セキュリティ面での徹底に加え、環境への配慮も欠かせない。EPC Japanでは、東京センチュリーグループの経営理念「循環型経済社会の実現に貢献」と、「捨てるをなくす」という考え方を基盤に事業に取り組んでいる。動かなくなった機器や部品、さらには破砕されたシュレッダー片までを「廃棄物」ではなく「資源」と捉え、再販・再資源化を通じて新たな命を吹き込むことで、持続可能な社会と経済成長の両立を後押ししている。
上條氏は「当社では回収した機器を単に廃棄するのではなく、データ消去から再資源化までを一貫して管理しています。安全性を確保しながら、再販可能なものは市場に戻し、破砕片も資源として循環させる仕組みを整えています」と説明する。
こうした取り組みは、単なるリユースやリサイクルにとどまらず、“循環型経済社会の実現”を具体的に体現するものだ。資源を無駄にせず新たな価値を生み出す姿勢も、EPC Japanの強みである。


内部統制とセキュリティを確立
企業のガバナンス強化を後押し

EPC JapanのITADサービスは、顧客企業のガバナンス強化にも寄与している。ある企業では、全国の支店と子会社がそれぞれ独自に端末処理を行っていたため、消去方法や報告書の形式がバラバラで、統制が効かない状況にあった。そこでEPC Japanに依頼し、統一基準でのデータ消去を実現した。これにより、情報セキュリティのリスクを低減するとともに、経営層が全国規模で一貫した管理体制を確認できるようになり、内部統制の強化につながったのである。
このように、EPC Japanは単なる処理業務の受託にとどまらず、顧客の内部統制や情報セキュリティ強化に貢献している。こうした姿勢を踏まえ、上條氏は次のように意気込みを示した。「ITADはコストではなく保険であり、企業価値を高める武器だと考えています。情報漏えいは訴訟や損害賠償に直結する重大リスクであり、適切な業者選定は経営課題そのものです。当社は全てのお客さまに対し、グローバル基準の技術を提供すると同時に、循環型社会への貢献を実現し、信頼に応える存在であり続けます」






