デジタルリユースは、2001年の創立以来、IT機器のリユース・リサイクルに特化した事業を展開してきた。年間取り扱い台数は50万台を超え、累計700万台以上のIT機器が同社の手によってリユース・リサイクルされている。高いリユース・リサイクル率を誇る同社の「ITADサービス」の強みを見ていこう。

3Rの概念と共に歩んできた
デジタルリユースの事業

 デジタルリユースが創業した2001年は、ちょうど循環型社会形成推進基本法が施行された年だ。本基本法では、「Reduce」(リデュース)、「Reuse」(リユース)、「Recycle」(リサイクル)という3Rを推進していくことで、環境負荷を低減した循環型社会の実現を目指すことが示されている。デジタルリユースはこの3R時代の黎明期からデジタル機器のリユース・リサイクルに取り組み、持続可能な社会基盤の形成に貢献してきた。

 デジタルリユース 営業本部 営業部次長(兼)営業第2課長の阿部幸司氏は、同社が取り組む事業について次のように語る。「当社では創業以来、一貫して適正なIT資産の処分を行うITADサービスを事業の軸に据え、持続可能な社会の実現に貢献してきました。累計で700万台以上のIT機器を取り扱った実績が当社の強みの一つです。“Reuse, Refine, Recreate.”という理念の下、IT資産の循環がより良い未来を創造するように、持続的な社会基盤の形成に向けた取り組みを進めています」

 IT機器を処分する際、まず廃棄を選ぶ企業が多いだろう。しかし、使用済みの製品や物を捨てずに繰り返し使うリユースや、廃棄物や原材料をエネルギー源として再利用するリサイクルを選択することは、処分コストの削減につながる。またCO2削減など、環境への配慮を実現できるため、企業に課されている環境課題への貢献にも役立つ。

 一方で使用済みの機器を繰り返し使うリユースは、その端末から安全にデータが消去されているかどうかというセキュリティ面での配慮も重要になる。デジタルリユースでは設立以来、データ漏えい事故ゼロ件を実現し続けるなど、大量の機器を扱う中でもセキュリティへの配慮を重視している。環境とセキュリティ、双方に配慮している企業といえる。

専用破壊機による物理的破壊を行う。写真は破壊前のHDD(左)と破壊後のHDD(右)。デジタルリユースは、シリアルナンバーや作業を行った社員IDなどの情報を含めて写真を記録し、信頼性を高めている。

ソフト消去と物理破壊で
確実なデータ消去を実現

 デジタルリユースのITADサービスでは、端末の引き取りからデータ消去、リユース端末の検品までをトータルで手がける。

 阿部氏は「当社はさいたま市と東大阪市に直営のセンターを構えています。防犯カメラ、ビデオによる入退出管理システムによる監視や記録、機器の持ち込みや持ち出しを防ぐためのゲート型金属探知機の設置などを行うことで、お客さまの大切な情報資産を安全に処分する体制を整えています」と説明する。

 この関東センター、関西センターでは主に、持ち込まれた端末のデータ消去作業や、データ消去された端末への「Microsoft Authorized Refurbisher」(MAR)プログラムを適用した正規OSのインストールなどが行われている。

 データ消去作業は、大きく分けて二つに分かれる。一つ目はソフト消去だ。デジタルリユースではBlanccoのデータ消去ソフト「Blancco Drive Eraser」などを活用してデータ消去を行っている。「SSDはHDDよりも完全なデータ消去が難しい媒体です。当社ではSSD消去を考慮したNISTのデータ消去基準に準拠したデータの完全な消去を行うことで情報漏えいを防止しています」と阿部氏。

 二つ目は物理破壊だ。これはHDD故障などでソフトウェア消去ができない場合や、顧客からの指定があった場合に専用破壊器による物理破壊を行う。

デジタルリユースではこの物理破壊を行った際に、専用の機材を用いて、記憶媒体が入っていた筐体の情報やシリアルナンバー、作業を行ったセンターの社員IDやタイムスタンプなどの情報をフレームに表示して、一つの画像に格納した上で破壊前、破壊後の写真を撮影している。ソフト消去と異なり物理破壊はエビデンスが残りにくいため、情報を付加して顧客に報告している。

 MARプログラムを適用した正規OSのインストールも同センターで行われている。MARとは、再生事業者向けに正規Windowsを提供するマイクロソフトのプログラムだ。MARの正規ライセンスであれば、Windowsの公式によるセキュリティアップデートや最新の機能が提供されるため、リユースPCを購入したユーザーにとってセキュリティリスクがなく安心して使える。デジタルリユース 取締役 営業本部 営業部長 尼子 亨氏は「当社は2009年からMARプログラムに参加しており、この正規OSを搭載したMAR PCを数多く出荷しています。2015年から2021年まではジャパントップセールスを記録しているほか、2023年からは継続してMARプログラムのライセンス取り扱い数がアジア・パシフィック部門で1位を獲得しています。再生PC市場では、正規OSを使わずグレーなライセンスで販売する事業者も少なくありませんが、正規OSをインストールした再生PCは安心感が違います。実際、私が現在使用しているノートPCもMAR PCです。筐体も非常に奇麗ですし、性能も高いので快適に使えています」と実体験を交えて語った。

(左から)
デジタルリユース 営業本部 営業部 エグゼクティブマネージャー 寺倉直幸
デジタルリユース 取締役 営業本部 営業部長 尼子 亨
デジタルリユース 常務取締役 営業本部長 庄司和孝
デジタルリユース 営業本部 営業部次長(兼)営業第2課長 阿部幸司

リユースPCの取り扱いが
販売店の競争優位性を高める

 2025年はGIGAスクール構想第1期で導入した学習者用端末のリプレースや、Windows 10 EOSに伴うビジネスPCのリプレースなど、PCの更新需要が高まった年だ。その一方で古いPCの処分数も増加した。

 デジタルリユース 常務取締役 営業本部長 庄司和孝氏は「当社の親会社であるJECCはIT機器のリースを事業の一つとしているため、GIGAスクール構想では非常に多くの端末を学校現場に納品しました。それが現在契約満了で返却され、iPadやWindows端末は当社でのデータ消去などの作業を経てリユースできるよう、作業を進めているところです。一方でGIGAスクール構想で多く導入されたChromebookは、もともと低コストで導入できる端末のためリユース端末としての価値が出しにくい点と、中古市場のニーズはWindows端末の方が高いという点から、基本的には物理的な破壊を行った上でリサイクルを行っています」と語る。iPad やWindows 端末も、破損が激しい端末はリサイクルしているという。

「官公庁からの依頼もあります。官公庁のお客さまは特に情報の取り扱いに配慮されているため、センターでのデータ消去作業に立ち会うことを要望されるケースもあります。当社ではセンターでの立ち会いのほか、お客さま先でのデータ消去作業時の立ち会い、リモートでの立ち会いなどに対応していますので、確実な安心感を提供できます」と阿部氏。

 リユースPCは新品のPCと比較しても安価に導入できるため、ビジネスシーンにおいては、セカンドPCとしての導入や、勤怠打刻などの専用機としての導入に適している。

 デジタルリユース 営業本部 営業部 エグゼクティブマネージャー 寺倉直幸氏は「私は以前SI企業に勤めていましたが、その当時の肌感覚としてもビジネス市場におけるリユースPCの需要は高まっていると感じています。当社ではMAR OSのインストールや、PC本体の検品作業を経て、奇麗なリユースPCを出荷していますので、ビジネスシーンで活用する端末としても有用です。昨今、PC価格の高騰が進む一方で、お客さまのPC購入予算は限られています。新品のPCに加えてリユースPCも提案の選択肢とすることで、販売店の皆さまの商談優位性も高まるでしょう。またPCビジネスにおいて、意外と機器の処分は見落とされがちです。そういった機器の処分にお困りの販売店さまも、当社のサービスをご活用いただければ顧客満足度の向上にもつながりますし、LCMサービスの提供も可能になります。ぜひお声がけいただけましたらうれしく思います」と呼びかけた。