リネットジャパングループは、2000年にリユースを軸に創業し、現在はリサイクル、障害福祉、海外HRへと事業を広げている。その中核を担うリネットジャパンリサイクルは、「小型家電リサイクル法」に基づく認定事業者として全国750以上の自治体と連携し、PCや小型家電の回収・再資源化を推進してきた。IT資産の適正処理においても、データ消去からリユース・リサイクルまで一貫した体制を構築し、企業や自治体に安心を提供している。

認定事業者が築く
全国回収網と安心の仕組み

リネットジャパングループ
常務執行役員
リネットジャパンリサイクル
代表取締役社長
中村俊夫

 リネットジャパンリサイクルは、2014年に小型家電リサイクル法の大臣認定を取得した企業で、全国に約60社しか存在しない認定事業者のうちの1社である。10万社以上の廃棄物処理業者の中で認定事業者はごくわずかであり、同社はその希少な枠組みに属する。また、佐川急便との業務提携により、宅配便を活用した全国対応の回収網を整備し、認定事業者ならではの強みを発揮している。

「通常、宅配便で廃棄物を送ることは違法になります。しかし当社経由であれば、佐川急便さまを通じて適法に送ることができます。これは認定事業者としての強みであり、安心してご利用いただける仕組みとなっています。全国どこからでも申し込み一つで回収が可能となり、これまで処分が難しかったPCや小型家電を誰もが気軽に廃棄できる環境を整えています。廃棄のハードルを下げることで、多くの人が資源循環に参加できる社会的な仕組みを実現しています」とリネットジャパングループ 常務執行役員/リネットジャパンリサイクル 代表取締役社長 中村俊夫氏は語る。

 さらに同社は全国750以上の自治体と協定を結び、約9,000万人の住民が自治体の案内を通じてリネットジャパンの回収サービスを利用できる体制を整えている。誰もが資源循環へ参加できる社会的基盤となっているのだ。

 このように、法制度に基づく認定と自治体との協働により、同社は回収プラットフォーマーとして唯一無二の存在感を示している。自治体との連携は、市民が日常的にリサイクルへ参加できる仕組みを浸透させる社会的役割を果たし、持続可能な都市づくりへとつながっている。家庭から企業まで幅広い利用者が参加できる仕組みを整えることで、リサイクルを特別な行為ではなく日常生活の一部として根付かせられるのだ。

リユース・リサイクルが拓く
循環型社会と社会的包摂

 IT資産の適正処理において最も重要なのは、データ消去の確実性だ。リネットジャパンリサイクルでは約2,000坪のデータ消去センターと約6,000坪の物流センターを備え、回収した端末を全て単品管理し、専用ソフトや物理破壊を組み合わせた消去プロセスを徹底している。さらに、外部警備員による監視体制や死角のない防犯カメラの設置といったセキュリティ対策を強化している。「性善説で考えてはいけません。企業で使ったPCには必ず機密情報が入っています。だからこそ、委託先が本当に消去できる能力を持っているかどうかを確認することが重要です。当社ではその点を徹底し、確実な消去体制と厳重なセキュリティ対策を整えています」と中村氏は強調する。

 こうして安全に処理された端末は、資源循環の一環として再利用へとつながる。同社では、再利用可能なものはリユース販売へと回し、創業事業であるネットオフの顧客基盤を生かして500万人規模のユーザーに直接販売する仕組みを持つ点も特長だ。

 一方、リユースできない機器は自社で分解し、約60種類に分別して再資源化を行っている。「我々の再資源化率は83%です。プラスチックの熱回収を含めれば98%に達します。PCメーカーが行うリサイクルの再資源化率を上回る水準であり、ほぼゴミを出さない処理を実現しています」と中村氏は説明する。

 こうした高い再資源化率は埋立処分量の削減につながり、環境負荷を大幅に低減している。資源を循環させる仕組みは国内の循環型社会形成に直結し、持続可能な都市づくりの基盤となっている。

 加えて、同社では「都市鉱山」の活用を掲げ、日本国内に眠る年間65万トンの小型家電からレアメタルを回収し、資源循環モデルを構築している。これは循環型社会の形成に直結する取り組みであり、持続可能な社会づくりを支えている。

 資源循環の取り組みは、社会的な側面にも広がっている。同社は、分解工程に障害のある人材を積極的に雇用し、福祉との連携も実現している。資源循環と社会的包摂を両立させる取り組みは、持続可能な未来を形づくる原動力にもなっている。

・PCメーカーの実績は、経済産業省「資源有効利用促進法に基づく自主回収及び再資源化の各事業者等による実施状況の公表について」のデスクトップ・ノートパソコンの実績から試算。
出所:リネットジャパンリサイクル

企業と教育現場の更新需要に対応
安心のITADサービスを提供

 Windows10のサポート終了に伴い、企業での端末更新が急速に進んだのは言うまでもない。「大企業の多くはすでに1年以上前からリプレースを進めていましたが、中小企業は対応が出遅れている印象です。その影響で、今年8月以降から回収量が急激に増えています」と中村氏は説明する。

 一方、教育現場ではGIGAスクール構想第1期の端末更新が始まっており、使用済み端末の回収需要が高まっている。「GIGAスクールに関して、政府から小型家電リサイクル法で処分するように方針が出ています。これを受けて、自治体から当社への依頼も増えています。教育委員会や学校単位での対応が必要となるため、我々は事務局としての役割を担い、ベンダーや自治体と三者で調整しています」と中村氏は語る。

 こうした状況下で、同社はデータ消去サービスや端末の買い取り提案を行い、自治体や企業に安心を提供している。特に教育現場では、子供が使用した端末に残るデータの重要性が高く、セキュリティガイドラインに基づいた消去が求められる。「教員によっては端末の使い方が異なるため、データの重要性の分類が現場で曖昧になりがちです。だからこそ、当社では、分類レベルにかかわらず、全ての端末に対して最高水準のデータ消去を徹底して実施し、情報漏えいのリスクを完全に排除しています」と中村氏は述べる。

 こうした徹底した取り組みを背景に、同社はITADにおける安心と信頼を提供し、企業や自治体にとってIT資産の適正処理を担保する重要なパートナーとなっている。単なる資産処理にとどまらず、循環型社会の推進や環境負荷低減にも寄与する存在として、その役割はますます重要性を増している。今後も持続可能な社会の実現に向け、リネットジャパンリサイクルはさらなる価値創出に挑み続ける。