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GIGAスクール特需が過ぎ企業向けネットワーク機器市場は成熟期へ

GIGAスクール特需が過ぎ企業向けネットワーク機器市場は成熟期へ

2021年08月05日更新

企業向けネットワーク機器市場は成熟期へ

Network Device

 IDC Japanは、企業向けのイーサネットスイッチ、ルーター、無線LAN機器で構成する国内企業向けネットワーク機器市場に関して、2019~2025年の市場動向と予測を発表した。

 2020年の国内企業向けネットワーク機器市場の前年比成長率は10.1%で、市場規模は2,704億2,200万円となった。背景には、「GIGAスクール構想」による児童生徒1人1台環境を支える校内LAN整備、高速大容量の通信環境の実現に向けたネットワーク構築への需要増加が挙げられる。GIGAスクール構想に伴うネットワーク構築需要は、同市場内のイーサネットスイッチ市場と無線LAN機器市場にも大きな影響を与えた。それにより企業向け無線LAN機器市場は前年比成長率で54.2%と大きく成長し、市場規模は468億5,100万円となった。2020年の同市場においてGIGAスクール向けの機器が占める割合は、4割近くに達したと見込んでいる。

 今後の国内企業向けネットワーク機器市場は、企業ネットワークの進展に伴う無線LANの新規需要は期待できるものの、基本的には成熟した市場だ。そのため、2020~2025年の年平均成長率は、2020年のGIGAスクール特需の反動により、国内企業向けネットワーク機器市場全体でマイナス2.3%を予測している。

クラウド管理型の動向に注目

 IDC Japanが本調査内で注目しているのが、クラウド管理型ネットワークソリューションの動向だ。その中で最も先行しているクラウド管理型無線LAN機器市場について、同社は2020年のGIGAスクール向け特需の影響を除いた2019~2025年の年平均成長率を13.1%と予測している。その背景には、コロナ禍以降のネクストノーマルの企業ネットワークにおいて、運用管理の一元化や自動化、省人化がこれまで以上に求められていることが挙げられる。

 IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーである草野賢一氏は、注目が集まっているクラウド管理型ネットワークソリューション市場の成長に向けて、以下のように提言している。「各社が注力するクラウド管理型ソリューションで差異化を図るためにも、アジャイル開発を基にした短期間での機能リリースがソリューションの強化に有効である。また、サブスクリプション型サービスの顧客の満足度を維持向上するためにも、高頻度の機能追加は効果的であり、顧客の継続利用に対する意欲を高めることが期待できる」

コロナ禍でPLMはSaaSへシフト

Product Lifecycle Management

 昨今の製造業では、製品の開発・生産からメンテナンス、あるいはリサイクルまでのライフサイクルを全般にわたり管理を行うPLM(Product Lifecycle Management)の実施が不可欠となっている。そうした状況の中、矢野経済研究所はPLMを実現するためのツールとしてCADをはじめ、製品や設計に関するデータを一元管理する製品情報管理システム「PDM」(Product Data Management)、3Dデータを使用して実物の試作品を作成せず、デザインの検証や干渉チェックなど評価を行うシステム「DMU」(Digital Mock-Up)などを対象とする国内PLM市場の市場規模推移と予測を発表した。

 2020年の国内PLM市場規模は、前年比6.2%減の2,615億7,000万円となった。背景には、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞で、製造業の設備投資が落ち込んだことが挙げられる。2020年1~3月までは前年同様好調に推移していたが、コロナ禍が本格化した2020年4月以降、一転して低調な傾向が続いている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、設計部門でもWeb会議が行われるようになった。しかしWeb会議ツールの画面共有でデザインレビューまで行うのは困難なため、今後は3Dビューワーを使ったデザインレビューシステムの普及が見込まれると矢野経済研究所は分析している。

 テレワークの普及とともに、製造業でもクラウドの利用が急速に拡大した。大手ITベンダーがSaaS提供に舵を切る動きも見られ、今後はPLMがSaaSに移行していく見込みだ。

 矢野経済研究所は、2021年の国内PLM市場規模を前年比1.7%増の2,660億円と予測している。今後、大企業における設備投資が再び活性化すれば国内PLM市場も本格的に回復すると見込まれ、2024年の同市場は3,020億円に達すると予測している。

ハイブリッド環境の増加でクラウド管理ツールに注目

Cloud Management

 アイ・ティ・アールは、仮想化/クラウド環境を対象に管理を行い、仮想マシン監視、キャパシティ管理、プロビジョニング/構成管理、課金などの機能が含まれるクラウド管理ツールの国内市場の規模推移および予測を発表した。

 2020年のクラウド管理ツールの市場規模は174億5,000万円で、前年度比8.7%増となった。2021年度も同8.6%増の伸長を見込んでいる。背景には、ハイブリッドクラウド環境やマルチクラウド環境を志向する企業が、コロナ禍を契機に増加したことが挙げられる。これにより、各企業のクラウド管理へのニーズが徐々に高まりつつある。それを受け、各種運用管理機能を提供する総合ベンダー各社は、国内クラウド管理市場の製品・サービスの強化を進めている。新規参入ベンダーも徐々に増加していることから、同市場の2020~2025年の年平均成長率は9.9%、2025年度には市場規模が280億円に達するとアイ・ティ・アールは予測している。

 アイ・ティ・アール コンサルティング・フェロー 藤 俊満氏は、クラウド管理ツールの今後の市場動向について「企業システムの運用管理の中心となっていくでしょう」と予想している。

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