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整備の対象はハードからソフトへシフト―その多様な製品群をリポート

整備の対象はハードからソフトへシフト―その多様な製品群をリポート

2021年07月16日更新

2021 EDIX REPORT

教育ICTは端末整備の次のステップへ

第12回教育総合展EDIX東京(以下、EDIX)が、2021年5月12日(水)~14日(金)に東京ビッグサイト青海展示棟で開催された。緊急事態宣言下の実施となった今回のEDIXは、東京都のイベント開催ガイドラインに基づき、感染症対策を徹底した上で行われた。本企画では編集部がEDIXで独自に取材した、注目の教育ICTソリューションをリポートする。

ニューノーマル時代の新しい学校

Introduction

コロナ禍においてGIGAスクール構想が加速し、小中学校では1人1台の端末環境が一気に整備された。2021年度はその環境で、本格的に学びがスタートする年になる。それ故に、EDIXでは学習者用の端末(▲Device)よりも、その端末上で利用する教材コンテンツ(▲Contents)や、校務支援サービスの出展が目立った。また2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育は裾野が広がり、幼稚園教育から高専(高等専門学校)に至るまで、幅広い層を対象にしたプログラミング教材が出展されていた(▲Programming)。

GIGAスクール構想によって多くの学校へ導入が進んだのがChromebookだ。今回のEDIXではそのChromebookのOS、Chrome OSへの対応をうたうコンテンツが増えたことも印象的だった。また、教員の管理負担を低減するためのパッケージなども登場していた(▲Chrome Support)。

1人1台の学びの環境を支援するため、電子黒板も大きく進化していた。電子黒板はプロジェクターを黒板に投映するタイプと、大型ディスプレイに表示させるタイプに大別できる。どちらも生徒のタブレット画面などを並べて表示したり、教員の端末から資料となる映像を表示したりといった用途で活用できる。EDIXではディスプレイ型の電子黒板の4K対応や大型化が見られた(▲Interactive Whiteboard)。

コロナ以前と比較して、学校で大きく変わったのは集会の在り方だろう。3密を避ける必要があるため、従来のように体育館などに集まって校長の話を聞くといった集会のスタイルは行いにくい。そこで需要が高まっているのが全教室に映像を配信するための製品だ(▲Streaming)。また、海外をはじめとした遠方への移動が制限されていることで、修学旅行が中止となる学校も出てきている。そうした児童生徒たちに少しでも修学旅行の楽しさと、そこから得られる学びを提供するため、VRの活用(▲VR)にも注目が集まっている。ニューノーマル時代の学校現場に求められる教育ICT製品群を見ていこう。

小中から高校へ端末整備の対象が移る

Device

小中学校のGIGAスクール構想による端末整備が全国的に広がったことで、PCやタブレットなどの端末出展はやや落ち着いた印象だ。しかしGIGAスクール構想の標準仕様書に準拠した2in1端末がデル・テクノロジーズやDynabookなどから出展されていたほか、レノボ・ジャパンのブースでは文部科学省の「スマート専門高校」の実現に向けた取り組みに対し、CADが扱えるワークステーションを提案するなど、新たなデバイス需要も生まれている。

Dynabookの教育向け10.1インチデタッチャブルPC「dynabook K60」と5in1ノートPC「dynabook V83」。ニーズに合わせて選べるラインアップだ。
デル・テクノロジーズのブースではGIGAスクール向けラインアップとして、ChromebookとWindows端末を展示。堅牢性をキーワードに、教育市場に訴求する。
(上、右)レノボ・ジャパンのブースでは文部科学省のスマート専門高校の実現事業に向けたワークステーションを展示。

教材提示の電子黒板は大型化&高精細化

Interactive Whiteboard

1人1台の端末環境が整備されたいま、教室のICT化も急務だ。電子教科書や電子教材の提示のため、電子黒板のような大型提示装置が普通教室に求められている。そうした電子黒板のEDIXでのトレンドは、大型化や高解像度化と言えるだろう。電子黒板2台分の画面サイズの「ワイード タッチ」は圧巻で、画面を分割して必要な数式などを残しておき、残りのスペースで教材を提示するような活用が可能だ。4K解像度の電子黒板など、教材を高精細に見せる製品の出展も目立った。

ひときわ目を引くサカワのスライド式黒板と、その中に収納されたウルトラワイド電子黒板「ワイード タッチ」(プロトタイプ)。ワイード タッチは縦1.09×横2.5mと従来の電子黒板2台分の画面サイズ。2021年度中に販売予定だ。
(上)シャープのBIG PAD Campusと(右)アイ・オー・データ機器の75インチ液晶ディスプレイ(LCD-M4K751XDB)など、4K対応の電子黒板やディスプレイが目立った。高精細で地図などへの書き込みも見やすい。

圧倒的シェアのChromebook対応製品が続々登場!

Chrome Support

チエルの「Chromebook活用パック」は運用支援から学習履歴の活用までをトータルでサポートする。QRコードで簡単ログインできる機能は小学校低学年に好評だという。
記述式テストをスキャナーで読み取って自動採点などを行えるスキャネットの「デジらく採点2」もGoogle Classroom連携機能を搭載。※
※レポートパック出力オプション機能が必要
ベンキュージャパンの短焦点プロジェクター「EW800ST」はAndroid OSを搭載しており、Chrombookからのワイヤレスでのミラーリングに対応する

児童生徒の学びを支援する教材コンテンツ

Contents

小中学校では、2021年度から本格的な1人1台端末環境での学びがスタートした。しかし、コロナ禍の影響でGIGAスクール構想が前倒しになったことにより、端末だけ先行して整備してしまい、端末上で使用する教材は十分に整備されていない自治体や学校も少なからずある。今回のEDIXでは、1人1台環境の次のステップとして、教材コンテンツの出展が多く見られた。弱視の子供でも見やすく学びやすいモリサワの「UDデジタル教科書体」は教員の教材作りに向いており、教育機関向けのサブスクリプションライセンスも用意されている。

(上)Libryのデジタル教材プラットフォーム「Libry」と(右)エスペラントシステムが運営し銀の鈴社が監修する読書支援サービス「読書館」。端末整備の次は、中身の教材コンテンツが求められている。
モリサワは今春リリースした「UDデジタル教科書体 筆順フォント」を出展。文字を書いていく課程を収録しており、書き順学習などに活用できる。
ソニーマーケティングは、表示したいデジタル教科書を一覧で表示できる「指導者用デジタル教科書ポータル」を参考出展。
シャープの辞書教材サービス「Brain+」はGIGAスクール向けにWeb版をリリース。英文の難易度を事前確認できる学習機能などが搭載されている。

スムーズな動画配信システムに需要

Streaming

コロナ禍で学校の様子も大きく様変わりした。その一つが、密を避けるため全校集会を行わなくなったり、頻度を減らしたりしている点だ。その代わりに、教室にいる児童や生徒に向けて一斉に朝礼などの動画配信を行うなど、集会もデジタル化が進みつつある。そうした動画配信をより簡単に、円滑に行うためのストリーミングBOXや、動画対応アクセスポイントを利用し、オプション追加で最大50教室のディスプレイにミラーリングする機能などが紹介されていた。

密を避けるための動画配信システムにも注目が集まっている。上はアイ・オー・データ機器のiPad連動型ストリーミングBOX「GV-LSMIXER/I」をはじめとしたストリーミングBOX製品。
「GV-LSMIXER/I」は簡単に操作できる点が魅力だ。
フルノシステムズの「新・一斉放送システム」

コロナ禍で再び注目されるVR

VR

国外への移動が大きく制限された影響で、児童生徒たちの思い出作りの一つである修学旅行が中止となるケースが相次いだ。そうした修学旅行の代替手段として、EDIXで注目が集まったのがVRだ。ワールドスキャンプロジェクトは、バーチャル修学旅行としてVRゴーグルと小型ドローンを用い、世界遺産の探検や、ドローン飛行体験を提案。修学旅行の代替として楽しさを提供しながらも、課題解決能力や論理的思考力を育み、学びにつなげている。

レノボ・ジャパンは東京書籍とエンジンズとともに、教育仮想空間「バーチャルスクールVR」に取り組むことを仮決定している。画像の黒いVRヘッドマウントディスプレイは国内未発売製品。
VRを活用した社会科見学も提案しており、通常は立ち入れない建造物の内部を見られるなど仮想空間ならではの学びを訴求する。
ワールドスキャンプロジェクトは、VRゴーグルを用いた世界遺産の探検と調べ学習といったバーチャル修学旅行を提案。

プログラミング教育は幼児から大学生まで

Programming

2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育。その学びは、小学校から徐々に広がりつつあるようだ。工作機械などの専門商社である山善は、工学部や高等専門学校(高専)向けに協働ロボット「TECHMAN」を出展。ビジュアルプログラミングでロボット自動化のプログラムが組め、工業教育・職業訓練教材として活用できる。マタタラボやKUMIITAのような、幼児向けのプログラミング教材も登場しており、保育園や幼稚園から大学まで、STEAMの学びが幅広く求められている。

山善は、大学の工学部や高等専門学校(高専)向けに協働ロボット「TECHMAN」を出展。
学校教材メーカーのアーテックはICT授業支援コンピューター「eduコン」を出展。
「eduコン」はロボットプログラミングだけでなく、書画カメラと連携して実物投影機としても使えるオールラウンダーなデバイスだ。
幼児向けのプログラミング教材も増えてきた。上はくもん出版の「マタタラボ」で、4歳からプログラミングが学べる。
KUMIITAが提供する「KUMIITA」は7カ月からプログラミングを体感できる教材だ。
NTT ドコモ「embot」

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