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コロナ禍の個展にリコーの360度カメラを活用

コロナ禍の個展にリコーの360度カメラを活用

2021年07月14日更新

Special Feature 2

ウィズ/アフターコロナ時代のデジタルミュージアム

コロナ禍を契機に、現在に至るまでテレワーク(在宅勤務)を実施している企業もある中で、テレワークとオフィスへの出社の勤務形態を比較して「雑談のような気軽なコミュニケーションが取りにくい」「自宅で一人で仕事をしていると孤独を感じる」といったマイナスの意見も出てきている。とはいえ、一度定着した働き方が大きく変わることはないだろう。そこで現在注目を集めているのが、オフィスの空間を仮想的に再現する、バーチャルオフィスだ。

展示空間をアーカイブする360度カメラ

RICOH THETA

空間を360度切り取る全天球カメラ「RICOH THETA」。スティック型の握りやすい本体に、二つの超広角レンズを搭載し、上下左右全ての空間をワンショットで撮影できるデバイスだ。そのRICOH THETAが、コロナ禍でさらに活躍シーンを広げている。博物館や美術館での導入もその一つだ。

コロナ禍で打撃を受けた文化芸術

リコー
稲葉章朗 氏

「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出が制限されました。特に緊急事態宣言下では、大型の商業施設の休業をはじめ、博物館や美術館でも休館を余儀なくされました」と宣言1回目の当時を振り返るのは、リコー Smart Vision事業センター データサービス事業室 室長 稲葉章朗氏。博物館は、資料収集・保存、調査研究から展示、教育普及といった活動を一体的に行う施設であり、文化庁の定義上は美術館も博物館の一種だ。そのほか、歴史や科学博物館、動物園、水族館も博物館に含まれる。実際に来館者が施設に訪れ、展示物などの実物資料に触れることで、その学びにつながる。しかし前述したように、コロナ禍においては人の動きを抑制するため、実際に施設に訪れてそれらの資料などを閲覧することがかなわなくなった。

 また、博物館や美術館といった文化施設においては、時系列などストーリーに基づいて通年で資料を展示する常設展のほか、公開する期間を定めてテーマに沿った展示を行う企画展が存在する。企画展ではその施設内の資料以外にも、国内や海外の文化施設から資料・作品を借りて展示するため、休館によって展示期間が短縮されると、十分な展示を行えないまま資料を返却することになる。もちろん休館期間中は来館者もいないため、収益は得られない。また、アートギャラリーなどで行う個展は、作家の写真や美術品を展示するだけでなく、それらを販売することで収益を上げている。コロナ禍による施設の休館・休廊は、文化芸術に大きな打撃を与えているのだ。

THETA Z1
RICOH THETAシリーズの中で最高画質を実現したフラッグシップモデルで、約23メガピクセル(6,720×3,360、7K)の静止画撮影と精度の高いつなぎ処理で、自然な360度画像を記録できる。美術品や展示物などは高精細に撮影できたほうがよいため、フラッグシップモデルの使用がお薦めだ。

360度見渡せる仮想空間の個展

 そうした打撃を少しでも軽減するため、注目されているのが冒頭に紹介したRICOH THETAだ。ワンショットでその空間を360度切り取るRICOH THETAを活用し、コロナ禍において“VR個展”を実施した事例が増加したのだという。

「毎年佐賀県の大型商業施設で個展が行われていましたが、昨年はRICOH THETAで撮影した360度画像を、バーチャルツアー作成サービス『THETA 360.biz』で360度コンテンツ化してVR個展を実施しました。コロナ禍で移動が制限される中でもVR個展であれば、スマートフォンやPCから場所を選ばずに閲覧が可能です。そのため佐賀県外に住む方々もアーティストの作品を楽しんでもらえたようです。また、アートギャラリーにおける売り上げはそこで販売するグッズによる収益が大きいのですが、VR個展のグッズ販売もリアル個展と同等の金額を売り上げるなど、大きな効果が得られたようです」と稲葉氏。

 実際にリコーのグループ会社リコーイメージングが運営するギャラリー「リコーイメージングスクエア」でも、RICOH THETAを活用している。「PENTAX」ブランドで一眼レフや「GR」などのデジタルカメラを提供するリコーイメージングは、そのユーザーであるカメラマンの作品や、芸術的価値の高い貴重な写真をリコーイメージングスクエアで展示している。このギャラリーをRICOH THETAで撮影し、「360°バーチャルギャラリー」として昨年から公開しているのだ。RICOH THETAで撮影した360度画像を、バーチャルツアー作成サービスTHETA 360.bizを使いコンテンツ化している。360°バーチャルギャラリーでは、ギャラリーの空間全体と、展示されている写真の拡大画像を組み合わせ、実際にその場にいるように展示された写真を楽しめる。

360°バーチャルギャラリー
作家、アンドレアス・ファイニンガーの写真展「ニューヨーク」のバーチャルギャラリー。リコーイメージングスクエアのギャラリー内4地点から360度周りを見渡せる。
マークした場所をクリックすると展示作品がアップで表示でき、実際にギャラリーに行ったような感覚で作品を楽しめる。

デジタルで体験の“幅”が広がる

 稲葉氏は「ギャラリー運営者や作家にとっては、美術品や写真などを実際にその目で見て感じてほしいという強い思いがあります。その半面、ロケーションの問題などでコロナ禍以前から実際にギャラリーに足を運ぶことができないお客さまがいたことも事実です。RICOH THETAとTHETA 360.bizによるバーチャルギャラリーやVR個展は、そうしたロケーションの問題や移動の安全の問題を解決し、一定のクオリティーでギャラリーの作品を楽しむことが可能になるのです」と、360度コンテンツによる可能性を語る。

 展示された内容を360度コンテンツとして記録することで、展示作品のアーカイブ化も可能になる。日本現代美術振興協会では、開催したアートの展示イベントを360度コンテンツ化し、Web上に「360 ART ROOM」として公開。人数制限が必要なコロナ禍においても多くの人に作品を楽しんでもらえるようになっただけでなく、イベント開催後においても長期にわたってその作品をWebサイト上で閲覧することが可能になった。

「こういった展示物のアーカイブは、例えば恐竜展など、博物館の企画展にも応用できるでしょう。過去の企画展示をアーカイブ化できれば一過性でない楽しみ方やビジネスが生まれます。またWeb上に公開することで、世界中の人がアクセスできるようになるため、アーカイブのコンテンツ閲覧数に応じて収益が得られるような仕組みがあれば、博物館や美術館などの新たな収入源になり得ます。コロナ禍によって、全てがデジタルに切り替わるわけではなく、デジタルとリアルの両方があることによって、これまで立ち入りが制限されていた場所にも擬似的に行けるようになるなど、ミュージアム体験に新しい幅が広がるようになっていくでしょう」と稲葉氏は語った。

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