気象データ活用サービス市場は緩やかに拡大傾向

Weather Data

 矢野経済研究所は気象データ活用サービス市場を調査した。調査によると、2022年度の同市場は前年度比6.8%増の453億円となった。

 市場拡大の背景には、予報業務許可事業者が提供する気象データが増加していることや、気象情報サービスを利用する企業が増えていることがある。企業における防災や減災、リスク回避、対策意識の高まりによって、気象情報サービスの利用が広がっているのだ。加えて、ビジネス機会の拡大および機会ロスの低減などを目的とした、気象データの活用による需要予測のニーズが増加している。結果として、市場は緩やかな拡大を見せているのだ。また、予報業務許可事業者数の増加も市場の拡大を後押ししている。

 同市場は好調に成長を続け、2023年度は前年度比6.9%増の484億3,000万円、2024年度は前年度比7%増の518億4,000万円を予測している。

 市場拡大を支える要因として、気象データ活用サービスの需要が継続することが挙げられる。昨今激甚化・頻発化の一途をたどる自然災害によって、企業や自治体などでは防災・減災、リスク回避、対策意識がますます高まることが予測されるのだ。さらに、企業・産業界における気象データの活用による需要予測の有用性の認知向上が進むことも、市場拡大を支える要因になると矢野経済研究所は分析している。

気象データの新たな利活用が進む

 同調査では、気象データの利活用の用途についても調査している。

 気象データはさまざまなデータと組み合わせ、高度に分析することで、ビジネスにおける意思決定や業務プロセスの改善、生産性向上といった用途に活用される。これまで気象情報や気象データは、防災・減災や危機管理、リスク回避といった目的での利活用が主流であった。

 しかし近年では、製造分野や小売分野といったさまざまな分野における利活用が進んでいる。製造分野では気象データに即する需給予測に基づいた生産管理による廃棄ロスなどの削減に、小売分野では気象データを利用した需要予測に基づく販売計画を通じた売上拡大に活用されている。さらに農業分野やレジャー・観光分野でも利活用が進んでいる。農業分野では気象データに基づく適切な栽培管理を駆使した収穫量の増大、レジャー・観光分野では気象データを用いた需要予測に基づく割引などの料金サービス提供を通じた来客数の増加・売上拡大に利活用されているのだ。

 このように、気象データを活用した需要予測に基づくビジネス機会の拡大や機会ロスの低減をはじめ、既存商品・サービスの付加価値向上、新たなビジネスの創出といった期待が高まっていると矢野経済研究所は分析している。

※予報業務許可事業者の売上高ベース。(国、地方公共団体、報道機関を除く)
※2023年度は見込値、2024年度は予測値。

ワークスペースの高度化で市場は拡大の見込み

Collaborative Workspace

 IDC Japanはコラボレーティブワークスペース市場を調査した。調査によると、2023年の同市場は前年比成長率が8.7%の3,818億3,000万円となった。

 市場の拡大の要因として、ワークスペース高度化に関する新たな機能需要が挙げられる。コラボレーション・タスク管理ツールや従業員エンゲージメント向上のための双方向の情報発信機能、デジタルアダプションツール搭載のニーズに応える形でワークスペースが高度化し、市場が拡大しているのだ。

 同市場は2024年以降も好調な成長を見せる予測だ。2023〜2028年の年平均成長率は6.3%で推移し、2028年には5,170億5,400万円になるとみている。好調な市場拡大の背景として、生成AI機能を活用するためのアプリ刷新需要と、その活用効果を最大化するための非構造化データ活用への要求拡大がある。各企業は自社の生産性向上のために生成AIの活用・投資意向が高く、それを受けベンダー各社は生成AI機能の組み込みによる付加価値向上を狙っている。さらに労働人口減少に伴うデジタル化/生産性向上に関する継続的な課題も市場の拡大を後押ししている。

 同社 Software & Services シニアリサーチアナリスト 太田早紀氏は、同市場が今後も成長を続けるための取り組みについてこう語る。「ITサプライヤーは生成AIの発展によるビジネス機会を獲得し、労働人口減少に対処した業種/業務別ソリューションの強化とユースケースの訴求や自社製品を通じた非構造化データの活用範囲の拡大支援を通じて、ユーザー企業における生産性向上の実現を支援すべきです」

※2024年以降は予測値。

AI OCRソリューションを中心に市場拡大

Optical Character Reader

 デロイト トーマツ ミック経済研究所はOCRソリューション市場を調査した。同調査ではOCRソリューションを、AIを使用せずに文字認識・ノイズ処理・誤認識の修正を行う「汎用OCRソリューション」と、AIを活用して文字認識・ノイズ処理・誤認識の修正を行う「AI OCRソリューション」に分類して調査を行った。

 調査によると2022年度の同市場は前年度比6.4%増の542.2億円となり、汎用OCRソリューションの横ばい推移やAI OCRソリューションのライセンス不更新の影響で低調であった2021年度と比べて回復の傾向を見せた。2023年度の同市場は、企業におけるインボイス制度・電子帳簿保存法の施行への対応やDXの推進により成長を続け、2024年度には前年度比6.7%増の610.6億円が見込まれている。

 2027年度には同市場全体で728億円、汎用OCRソリューションは417億円、AI OCRソリューションは311億円と、市場の拡大が予測される。市場拡大が見込まれる背景として、企業や公共機関におけるDX推進とAI OCRソリューションの需要拡大がある。汎用OCR ソリューションでは対応できなかった手書き帳票といった非定型帳票のデジタル化ニーズに、AI OCRソリューションが応えていくことが見込まれるのだ。結果として、AI OCRソリューションを中心に市場の拡大が続くとデロイト トーマツ ミック経済研究所は予測している。

※2023年度は見込値、2024年度以降は予測値。