キヤノンマーケティングジャパン
Privacy Talk MD-100-GY

リモートワークと出社のハイブリッドな働き方が広がってきた現在の悩みで多いのは、外出先のカフェや移動中の電車でオンライン会議に参加しなければならないときの対応だ。いつでもどこでも働ける利便性は、一方でプライバシーやセキュリティへの配慮という課題を突きつけてくる。メールやチャットであれば、画面ののぞき見を防止して対処できたが、オンライン会議での会話となると、周囲に聞かれたくない情報も漏れてしまう。こうした課題を解決してくれるのが、キヤノンマーケティングジャパンの装着型減音デバイス「Privacy Talk MD-100-GY」(以下、Privacy Talk)だ。
text by 森村恵一

高い減音効果を発揮するデバイス

 Privacy TalkはBluetoothによる無線接続や、Type-C to Cの有線接続でPC/スマートフォンと接続可能だ。本体は口元に当てるマイクと左右の耳に入れるカナル型イヤホンで構成されている。

 Privacy Talkは、人の声が持つ特定の周波数帯の音を効果的に吸収できる「音響メタマテリアル技術」によって、マイナス20dB程度の減音効果を発揮する。一般的な会話は60dB程度といわれているので、マイナス20dBの減音で40dBになると、図書館のような静けさになる。40dBならば、カフェで隣に座っている人に会話の内容を聞かれる心配は減る。新幹線でも、わざわざ通路まで移動せずに通話やオンライン会議を実施できる。

 マイク付近には空気の循環を促進する「換気用ファン」を内蔵するので、長時間の会話でも口元が蒸れにくい。加えて本体には、ファンの音を拾う「ファン稼働音取得用マイク」と、話し声を拾う「音声取得用マイク」の二つが搭載されている。それぞれのマイクでファン稼働音と音声をそれぞれ取得し、ノイズとなるファン稼働音を打ち消す処理を行うので、通話相手にファンのノイズがないクリアな音声を届けられるのだ。

 もちろん一般的なマイクとは違い、口元を減音のためにふさぐので、通話相手に届く声は少しこもった感じになる。そのため、声が鼻に抜けないように口元だけで発音するなど、少し話し方を工夫しなければならないが、慣れてくると通常のオンライン会議よりも小さな声で会話できる。

ダブルマイクでファンのノイズが打ち消されるので、クリアな音声を届けられる。

テレワークでもオフィスでも活用

 マスク型の減音デバイスという外観から、利用シーンは移動中の電車や混雑しているカフェが中心になると想像しがちだ。しかし実際の導入事例をキヤノンマーケティングジャパンに取材してみると、より幅広いニーズがあると分かった。

 例えば、オフィスで活用が進んでいるという。Privacy Talkの減音効果により外部に話し声が漏れにくくなるので、自席で重要な会話がしやすくなるそうだ。機密情報を取り扱う内容や人事査定に関する会話をはじめとした、同僚や上司にも聞かれては困る話も、Privacy Talkがあれば自席から離れずに秘匿して行える。

 また、都内のカフェで実証実験を兼ねたモニタリング調査を行ったところ、利用してみたいという感想のほかに「あの席の大きな声の人に着けてもらいたい」という意見もあったという。リモートワークが日常的になると、周囲の迷惑を考えずに声を張り上げる人もいるだけに、声の大きな人に向けてそれとなく周囲への配慮をもたらすガジェットとしても注目されているようだ。

 さらに、Privacy Talkのマイクは話者の声だけを拾うので、工事現場のように周囲の音が騒がしい環境でもオンライン会議を快適に行えるメリットもある。工事現場ほどではないが、在宅のリモートワーク環境でも、家族の発する生活音や子供の声など、仕事先に聞かれたくないノイズは多い。そうした課題も、Privacy Talkは解決してくれる。

防音室を持ち歩くように使える

本体重量は約106gなので、長時間装着しても重さが気にならない。

 Privacy Talkは、キヤノンマーケティングジャパン初の企業内起業である「ichikara Lab」が生み出したガジェットだ。ichikara LabがPrivacy Talkをクラウドファンディングに登録したところ、目標額の100万円を大きく上回る1,095万3,000円の応援購入額が集まり、大きな成功を収めた。この実績からも、Privacy Talkには潜在的な需要があると推測できる。

 オフィスにおけるPrivacy Talkの減音効果は、数十〜数百万するテレワークブースや防音室に匹敵する。中小企業では、資金の問題でテレワークブースや防音室の設置が難しいケースがある。仮に設置できたとしても、一度に1人しか利用できないとなると、投資対効果は低い。こうした課題にも、Privacy Talkは応えてくれる。Privacy Talkは、キヤノンオンラインショップでは2万3,650円(税込)で販売されている。Privacy Talkを着用すれば、高額なテレワークブースを設置せずに防音やプライバシー保護を実現可能だ。

 すでにキャノンマーケティングジャパンでは、部長クラスの意思決定者や管理職がPrivacy Talkを持ち歩き、移動中の電車からオンライン会議に参加しているという。上司や管理職がPrivacy Talkを使い始めれば、業務環境を問わない迅速な意思決定が可能になる。

 ハイブリッドな働き方はこれからも加速していく。電車での移動が多い首都圏のビジネスパーソンを中心に、持ち歩けるテレワークブースのようなPrivacy Talkはさらに需要を伸ばしていくだろう。