Health Tech
富士経済は健康経営関連サービスとデータヘルス計画関連サービス市場を調査した。2014年度に開始した経済産業省の「健康経営銘柄」の選定制度から健康経営の概念が浸透し、サービスの導入が進んだことから、同市場は拡大している。また、2016年度から経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」の推進とそれに伴う企業の意識の高まりも市場を後押しした。
健康経営優良法人認定制度の広がりは、従業員の健康に関するサービスだけでなく、従業員エンゲージメントに関するサービスの活用にも影響を与えている。タレントマネジメントシステムや従業員エンゲージメント管理システム、福利厚生代行サービス、従業員向けPHRサービスなど従業員が主体となる分野も伸長している。今後も人材の獲得や定着に関する課題は続くと予想されるため、それらへの対応を目的として各サービスは伸長を続け、2030年度に向けて引き続き市場は拡大するとみられる。
2024年度のデータヘルス計画関連サービス14品目の国内市場は前年度比4.3%増の1,382億円が見込まれる。市場背景には、介護福祉の領域でICT活用や科学的介護情報システム「LIFE」の導入が進み、介護報酬改正によりLIFEの活用が加算評価されるようになったことなどがある。LIFE対応の介護請求支援システムの導入が促進され、市場拡大をけん引した。2024年度から自治体の介護事業でインセンティブ交付金制度が始まり、介護施設と自治体共に導入を進めているため、今後も市場拡大が予想される。
PHRサービスに期待
スマートフォンアプリやWebサービスを通じてバイタルデータや食生活データといった「PHR」(Personal Health Record)データの記録・管理を行うサービスのうち、法人や健康保険組合向けの従業員向けPHRサービスについても調査している。従業員の離職や転職などが増える中、福利厚生として従業員の健康増進を図る企業が増加している。これを理由として、2024年度の従業員向けPHRサービスの市場は49億円が見込まれる。
今後は、収集したPHRデータのAIを活用した健康リスク分析など予防施策の高度化や、健康経営による生産性向上への注目などにより、引き続きサービス導入が進むとみられる。また、PHRデータの一次利用や二次利用などで健康保険組合との積極的な連携もあることから、2030年度の同市場は2023年度比3.7倍の成長が予測される。

AIエージェント ソリューションサービス市場は拡大傾向
Artificial Intelligence
デロイト トーマツ ミック経済研究所は、AIエージェント ソリューションサービス市場を調査した。2024年度のAIエージェント ソリューションサービスの総市場は、65億円の見込みだ。続く2025年度は前年比232%で152億円、2026年度は前年比208%で316億円の予測で、LLM/生成AIブームを背景に急拡大を示している。ユースケース別の適用業務ウエートは、2024年度の見込みではビジネスプロセス/バックオフィス業務が6.4%、フロントオフィス業務が93.6%となった。2025年度の予測ではビジネスプロセス/バックオフィス業務が30.0%、フロントオフィス業務が70.0%に変化している。
中期予測として、2028年度の総市場規模は1,216億円、年平均成長率は107.7%と予測する。「プロダクトライセンス」が、当該市場を引き続きけん引する見込みだ。これは「プロダクトライセンス」に含まれる「ホリゾンタルSaaS」が、高水準で推移していくことに起因している。「ホリゾンタルSaaS」は、業界業種に関係なく業務課題を解決する業界横断利用型SaaSを指す。「ホリゾンタルSaaS」は、「フロントオフィス業務」に位置する「営業支援」「マーケティング」のユースケースの高さを反映している。今後は、デジタル労働力の適用による「フロントオフィス業務」の省力化、効率化の流れが追い風となっていくとみている。

2024年度の画面操作監視市場は22億4,000万円
Monitoring
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内の画面操作監視市場規模推移および予測を発表した。画面操作監視市場の2023年度の売上金額は前年度比19.0%増の19億4,000万円となった。2024年度は同15.5%増の22億4,000万円を予測している。
背景として、操作画面の録画によってテキスト形式の操作ログでは把握しきれない操作内容を把握できることがある。インシデント発生時の迅速な原因究明が実現可能になり、内部不正対策などのガバナンス強化に有効であることから、需要が拡大している状況だ。今後もこのような動きから市場の成長が期待され、同市場の2023〜2028年度の年平均成長率は7.5%、2028年度には27億8,000万円に達すると予測している。
ITRのコンサルティング・フェローである藤 俊満氏は、次のようにコメントしている。「情報漏えいなどの内部不正の痕跡を把握するには、複数のログを突き合わせ、SIEMなどで相関分析する手法が一般的になりつつありますが、ログだけでは操作の経緯や詳細を把握できないことが多くあります。特に、システムコンソールのような重要なオペレーションを行う環境においては、従来のログ取得に加えて、操作画面を監視・記録することで、ログだけでは分からない操作の詳細を把握することが望まれます。また、オペレーションミスを検知する際にも、ミスの箇所と内容を特定するのに役に立ちます。加えて、システムのクラウド化によって操作もリモートで行われるケースが増加していることも、画面操作監視の利用が拡大する要因といえます」
